あきの忘備録

あきのの外部記憶装置

9話「Awaken the power」に込められた願い

 あきのです(*> ᴗ •*)ゞ

 

 

 

 私は渡辺曜ちゃんに生まれたかった。

 

 子供の頃から「みんな」の輪に入っていくのが苦手なタイプの人間でした。

 教室には居場所がなくて、休み時間はいつも図書館で過ごし、自分だけの世界に閉じこもってやり過ごしていました。

 そんな過去を持つ私には9話『Awaken the power』はどうしても、神の目線で俯瞰して見ることができず、ある種の痛みを強いられました。「学校」という息苦しい集団生活の中で窮屈な思いをしてきた人ならご多分に漏れず、4人の一年生の勇気ある行動の数々に、どうしようもなく心を動かされたことでしょう。

 

 

 

 できるかな? できる!

 叫ぶこころが(欲しがる輝き)

 目の前で君に見せるんだ

 

 

 

 7話でそう歌って輝いて見せたAqoursの勇気が、また新たな勇気を呼んで誰かの背中を押す。9話はそんな小さな彼女たちが踏み出した、大きな大きな一歩の輝きを描いたお話でした。

 

 

 前回の記事はノリと勢いだけで突っ走りましたが、今回の記事は冷静にじっくりと書いてみようかと思います。

 

 

 

 

 

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歌いませんか?

いっしょに曲を

お姉ちゃんにおくる曲を作って

この光のなかでもう一度

 8話のラストでルビィは「この光のなかでもう一度」と言って理亞を誘いましたが、「このツリーの下で」とは言ってなかったんですね。

 自分にとっての憧れである「輝き」を見上げている視点からの脱却。ふたりの姉の前で歌うシーンでは、展望台の上から輝きを背にして歌う構図になります。

 

 

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 "100万ドルの夜景"とも称される函館の「輝き」を背景に歌ったふたり。その姿は見事な夜景にも負けない「輝き」として、ふたりの姉の目には映ったことでしょう。

 敢えてクリスマスツリーの光の下で歌わなかったのは、「ラブライブの輝きの円環構造」の象徴であるツリーの電飾の光を受けずとも、ラブライブ!以外の場所で、自らが「輝き」を放つ姿を見せることで自立を表現したかったのかもしれません。

 

クリスマスツリーの電飾は、ツリーの周囲を螺旋状に彩る「輝きの円環構造」そのものを体現した「輝き」だったんですね。そしてその輝きは高みへと高みへと上って行き、クリスマスという短い期間の中で精一杯の「輝き」を放つのです。

「HAKODATE」をメタ的に読み解いてみた話 - あきの忘備録

 

 

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 並木道を彩る電飾の光で浮かび上がる街並み。その坂道の上でひときわ大きな輝きを放つ星こそが11人の「輝き」でした。並木道をクリスマスツリーに見立てて、自分たちが光に照らされるのではなく、その頂点で自分たちが「輝き」そのものになって街並みを照らす光景。多くの観客の心を魅了したことでしょう。

 ふたりだけで放つ輝きではふたり分の心しか照らせなくても、9人なら、11人ならもっとたくさんの人の心を照らす、大きな輝きを生むことができます。

 

クリスマスツリーの電飾は人の手で作られた「輝き」であり、誰かの幸せを願って灯された「光」の象徴でもあります。

「HAKODATE」をメタ的に読み解いてみた話 - あきの忘備録

 

 ふたり分の「輝き」よりも、みんなで手を取り合って生み出した「輝き」の方がたくさんの人を幸せにすることができる。より高い場所で輝いた方が、より遠くまで「輝き」を届けることができる。だからこそルビィたちは、11人でクリスマスツリーの頂点で輝く星になることを思いついたのかもしれません。

 

 

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 星型のフォーメーションは、9個の点を繋いでも生み出すことができない「輝きのカタチ」。Aqoursの9人では生み出せない輝きが、11人の点を繋ぐことで生み出すころができす。9人でできないことが、11人ならばできる。

 ラブライブという大会の枠を超えて、スクールアイドルとしての垣根も超えて、新たな点と点を繋ぐことで広がっていく「輝きの可能性」

 

「ラブライブは大きく広がってゆきます。皆の、スクールアイドルの素晴らしさを、これからも続いてゆく輝きを、多くの人に届けたい!私たちの力を合わせれば、きっとこれからも、ラブライブは大きく広がっていく!」

 劇場版ラブライブ!The School Idol Movieより 高坂穂乃果

 

 まさに劇場版ラブライブの穂乃果たちの願いが現実になったような光景でしたね。8話から続いていた、劇場版ラブライブの物語をなぞらえた流れが美しくここに帰結されましました。しかし、単純に11人の絵を描きたいがためにこの筋書きが用意されたわけではありませんよね。その裏にあった彼女たちの「願い」を振り返ってみたいと思います。 

 

 

☆ 

 

 

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 「結局ステージのミスって、ステージで取り返すしかないんだよね......」

 2期8話「HAKODATE」より 松浦果南

 聖良はAqoursの前では「後悔はしていません」と8話で語っていましたが、当然そんなはずはありません。しかし彼女にはもう、再びステージに立つ機会は残されていませんでした。もう一度「Saint Snowとして」妹と共にステージに立ち、自分たちの輝きを取り戻す機会が。また彼女自身も、「スクールアイドルに憧れ続けた人生」を納得のいくカタチで結びたかったことでしょう。

 

 

One more chance time !

 

 

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 姉・聖良が見つけてくれたというスノードームの話をした時、理亞はステージでのミスへの後悔を口にしました。しかしそれに対してルビィはただ一言、「きれいだね」と。

 

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 姉と共に歩んできた理亞にとっての宝物のような日々に、たった一度の失敗で負い目を感じてしまっていた理亞。彼女のこれまでの日々を肯定してみせたルビィの、そのたった一言に彼女の願いが詰まっていました。姉・聖良と共に過ごしてきた夢のような日々を、どうか悲しいものにして欲しくないという願いが。

 

 

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 自分の姉にもただひとつ、廃校を阻止できなかったことへの心残りがありました。そのことに胸を痛めていたルビィだからこそ、聖良が隠していた本心にも気付くことができたんですね。

 姉妹という誰よりも近い距離のふたりであるがゆえに、お互いに踏み出せない一歩があることもルビィは知っています。だからこそ、第三者である彼女がふたりを巻き込んであげたのでしょう。

 

  

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 かくして11人でのライブを行うことで、「妹に自分の足で、自分だけの道を歩んで欲しい」というふたりの姉の願いのみならず、「もういちどSaint Snowとして歌いたい」という鹿角姉妹の願いをも成就させたサプライズでした。さらに、函館という舞台でライブを行ったことで取り戻せた輝きと、新たに手に入れた輝きがありました。

 

 

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 取り戻したのはスクールアイドルとしての「Saint Snowの輝き」、そして手に入れたのはひとりの女の子としての「理亞の輝き」。

 1期ではステージ上であれほどまでに輝き、強者としての貫禄を見せつけてきた理亞でしたが、1年生組との卑屈な会話の中で「私も学校では......結構そうだから」と打ち明け、普段の意外な一面が明らかになりました。

 

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 昔から恥ずかしがりな性格で、誰ともなかなか話せなかった理亞。クラスメイトともうまく打ち解けられずにいたようでした。

  親しい友人もいなかったであろうその様子からは、姉・聖良が理亞に対して抱いていたもうひとつの心配事が浮き彫りになりました。自分が卒業した後もスクールアイドルとしての活動を続けて欲しい、という願いだけでなく、妹がクラスメイトともうまくいってなかった事もさぞかし心配だったでしょう。もっとも、理亞は姉に心配を掛けまいと内緒にしていたでしょうけれども。

 聖良は妹の学校生活はもちろんのこと、理亞ひとりで共にスクールアイドルとして活動してくれる、新たな仲間を作ることができるのか。そういったことも考えたはずです。

 

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 似た境遇を持つルビィだからこそ見抜けた「もうひとつのわだかまり」でしたが、とは言えこの場に理亞のクラスメイトが来ていたことは、4人にも想定外の出来事でした。

 期せずしてスクールアイドル活動の中で「スクールアイドル以外の自分」をも救われる結果となった理亞でしたが、これは聖良と理亞のこれまでの活動の積み重ねがあったからこそ。

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「私たちも行って良いの?」

「え?」

「それと、今更だけど、ラブライブ予選は......ごめんなさい」

 「いいんだよ。私たちの方こそ、嫌われてるのかなって。会場にも行けずに、ごめん」

「理亞ちゃんや聖良先輩が、みんなのために頑張ってたのは知ってるよ」

「Saint Snowは学校の、私たちの誇りだよ」

  「いいんだよ」「Saint Snowは私たちの誇りだよ」と言ってもらえたことで、その一言でどんなに理亞は救われたことでしょうか。「敬愛している姉と、学校の名前に泥を塗ってしまったのではないか」そう思い、理亞は自分は許されない存在であると考えたはずです。

 しかし嫌われているのではないか、と思い込んでいたのは理亞だけでなく、クラスメイトもまた同じでした。思いがけずして、会場に行けず応援もできなかったことで残ってしまった、クラスメイトの心のつかえまでも解消されることになるとは。

 ルビィが踏み出した小さな一歩がだんだん周りに波及して、やがてたくさんの人を巻き込んだ大きな流れになっていく。「輝き」は広がっていく。

 

  

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「『Saint Snow』のライブです!理亞ちゃん出ます!」

 ルビィの意思が表れた言葉ですよね。開口一番で "Saint Snowのライブ" って言い切っているところに、最初から11人でのライブを行うべくして計画されていたこと、彼女の決意の固さが伺えます。

 Saint Snowとしての面目も含めて、学校のみんなの前で「輝き」を取り戻すためにも、もう一度「Saint Snow」として輝ける舞台が必要だったんですよね。

 

 人見知りなルビィが、自分以外の誰かのために勇気を出して前に出る場面は胸が苦しくなります。私はこのシーンだけでも一生分の涙を使い果たしました。

 

 

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 ラジオで公表したユニット名も「Saint Aqours Snow」でしたね。最初は理亞が緊張のあまり、勢いで言ってしまったから安直でド直球なネーミングなのかと思いましたが。捻りも何もない真っ直ぐな歌詞を書くような子ですから、最初からこのネーミングに決めていたのでしょう。ここでもやはり、最初から11人でのライブを計画していたであろうことが伺えます。

 9人でなければ「Aqours」ではないし、2人でなければ「Saint Snow」ではないし、11人でなければ「Aqours Saint Snow」ではない。この4人が「Aqours」と「Saint Snow」に対して抱いている「あるべきカタチ」の姿が明確になる、そんなシーンでした。

 

 

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 聖良と理亞はホームである函館で、応援してくれていた学校のみんなの前で「Saint Snowとして」ライブを成功させたことで、「Saint Snowとして」の面目躍如を無事に果たすことができました。

そればかりかそこに至る経緯の中で、理亞が学校での友人関係をも前進させることにも繋がったのは「全ての出会いに意味がある」ということなのでしょう。「姉を安心して卒業させてあげたい」という理亞の想いも、図らずして一度は辞めようとまでしたスクールアイドルの活動の中で成就させることができました。

 

  妹を想うダイヤの想いを受けてルビィの願いが生まれ、手を取り合う1年生組の成長を経て、ダイヤや鹿角姉妹だけでなく、学校の人たちも巻き込んで全ての願いが美しく叶えられていく様は、まさしく「みんなで叶える物語」そのものだったと思います。

 

 

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  かくして、「姉として」「妹として」そして「Saint Snowとして」、抱えていた心残りを解消して全ての迷いを振り切れたことで、未来に向けて希望への一歩を踏み出せた鹿角姉妹でした。

 

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 理亞が以前のような表情で、1期7話の聖良と同じように「見ていて」と言い放ち、笑顔で涙を振り切って前を向く姿はあまりに眩しかったです。良かったね、理亞。

 

 

☆ 

 

 

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   そんなふたりの新たな門出を見届けるAqoursですが、未来への一歩を踏み出すふたりを見る鞠莉の表情が気がかりですよね。

 

 

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「Saint Snow」としての心残りが解消されたからこそ、ふたりは前に進めた。しかし、廃校を阻止することが叶わず、心残りが残ってしまった自分たちはどうやって前に進めば良いのだろう。過去を変えることはできない、未来を見るしかない。

 

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  ずっと未来だけを見て進んできた鞠莉にも刻一刻と卒業の日は迫り、「Aqoursとしての自分」の終わりが近付いています。当然のことながら、卒業の先に「スクールアイドルとしての自分たち」の未来はありません。追い続けてきた未来が終わるとき、彼女は何を目指して歩みを進めれば良いのでしょうか。

 

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次回、「シャイニーをさがして」。変えられない過去を払拭するために、彼女たちは「未来」への希望を探します。彼女たちが見つけ出す未来の「輝き」のカタチとは。かけがえのない「想い」を胸に、宝物のような日々を抱き締めて、3年生組は「終わり」の階段へと一歩を踏み出します......

 

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・余談

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私たちはSaint Snowのライブを生で見た経験を誰一人として持っていません。しかし、この瞬間を目撃した彼女たちの感情を知っています。

「HAKODATE」をメタ的に読み解いてみた話 - あきの忘備録

 

 

 

 8話の記事ではこんなことを言っていた私ですが

 

 

 

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えっ・・・

 

 

 

 

 

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完全にこれになりましたよね

 

 

 

 

 

『DROP OUT!?』 がライブで披露される時、私たちはどんな心境で彼女たちを見守ったら良いんですか。

 

 

 

 

 

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こうですか? わかりません

 

 

 

 

 

 

それとも

 

 

 

 

 

 

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 こうですか?

 

 

 

 

なんか知らんけど試聴でクソ泣かされたし、もうどうしたらいいのこれ

 

 

※9話記事第三弾「メタ視点編」も書きたいけど間に合うかな......

 

 

♯9「Awaken the power」に隠されたコード

 あきのです(*> ᴗ •*)ゞ

 

 今回はラブライブ!サンシャイン!!2期9話「Awaken the power」の「裏テーマ」をお伝えいたします。非常に衝撃的な内容となっております。

 お手元に音楽再生ツールをご用意の上でお読み下さいますと、当社比で3110倍お楽しみいただけますので、よろしくお願いいたします。

 

 

 

 

 

 ご準備はよろしいですか?

 

 

 

 

 

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♪テーレーレーレーテーレレーレー ♪

 

♪テーレーレーレーテーレレーレー ♪

 

♪テーレーレーレーテーレレーレー♪

 

♪テッテッテッテッテッテッ♪

 

 

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(Wao!) 

 

 

Yaa-Yaa!!

 

 

やあ

やあ

やあ  

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準備はできたよ 

 

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なまえ…なまえなんだっけ?

 

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忘れたふりは

 

やだ (Yaa!) やだ(Yaa!)

  

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Aqours☆PUNCH!!  

 

 

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やあやあやあ 相談があるなら

 

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(あるなら) 

 

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すぐに…すぐに呼びなよ!(呼んでよ!)

 

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ジェットで

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マッハで

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そっちに行くから 

 

もー (Yaa!) ちょい(Yaa!) 

 

 

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待ってて

 

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無敵だって 信じたくなって

 

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いきおいで 

 

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We are HEROES

 

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おかしいなヒロインでしょ?って

 

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つっこんで

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つっこんで

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つっこんでね

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(Wao!)

 

 

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悩みを

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ぶっ飛ばすような

イメージ持って戦いましょう

 

 

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なんとなく

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なんとなく

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強くなるって気がしてる

 

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迷いもぶっ飛ばすような  

 

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イメージ持って戦いましょう

  

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なんとなく なんとなく強くなる
そんな私たち、だよだよ!

 

 

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さあさあさあ元気をだしてよ

 

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きみは…きみはだれだっけ?

 

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本当は知ってるよ

 

でも (Yaa!) でも (Yaa!)

 

 

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Aqours☆FLASH!!

 

 

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ひみつなんだっ 

 

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さあさあさあ 問題はなんだろ(なんだろ)

 

f:id:akino_oniku:20171203195111p:plainすぐに…すぐに呼びなよ

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(呼んでよ!)

 

 

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ショックでダウンで

 

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きそうなときは

 


もー (Yaa!) ちょい (Yaa!) 

 

 

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踏んばってね

 

 


ためいきに流されないで

 

 

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(つかまってよ私の手に) 

 

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これからだよ ついておいでよ 

 

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もっと前に (So!) 

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ぐっと前に (So!) 

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おいでおいでよ

 

 

 

 

く 

  

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おいでよ!

 

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願いは言ってみたくなる 

 

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ステージ乗って戦いましょう

 

かなえたい

かなえたい夢になるって気がしてる

 

 

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想いは言ってみたくなる 

 

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 ステージ乗って戦いましょう

 

かなえたい かなえたい夢になる

 

 

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きっとみんなやっちゃうはずだよ

 

 

 

 

 

  

        中略

 

 

 

 

 


 A q o u r s

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H E R O E S

 

 

そんな私たち だよだよ!

Yaa-Yaa!!

 

 

 

 

 

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天界的合致!!😈

 

 

お判り頂けましたでしょうか?

 ラブライブ!サンシャイン!!2期は既存の楽曲が話数ごとの裏テーマとして存在する、という仮説がまた実証できたかと思います。

12/4 追記

勢いで「裏テーマ」と言ってしまいましたが、訂正させて頂きます。「既存の楽曲の要素を話数ごとに取り込んでいる」と言った方が適切でした。あくまでこれはアニメ劇中歌ではない楽曲をアニメの世界線ともクロスオーバーさせているに過ぎず、物語を構成するスパイス的な要素のひとつだと考えています。つまり、あくまで話数の本質的な目的はここには存在しませんので、それとは別のものであると捉えて頂けると幸いです。

 

 

 こうして考えると、冒頭の1年生組のホテルの会話で善子が「準備とかは?」と言っているシーンの会話の違和感や、1年生組がカフェで理亞と会っている時に、梨子から善子に連絡が来た時の「この名前は何💢💢💢💢」というメッセージの違和感にも説明がつきます。脚本の中に強引に、歌詞の中の単語や要素を入れてきたことが原因かと思われます。8話の花丸が清楚系文学少女(ヒロイン)のイメージとかけ離れた姿になっていたのも、もしかするとこれが発端かもしれないですね。

 

 少々説明不足ではありますが、9話本編を何度も見返してシーンと台詞、キャラクターの心情が頭に入った状態で当記事をお読み頂ければ、こじつけがましい部分も筋が通っているように思えて来るのではないかと思います。

 信じるか信じないかは、あなた次第(*> ᴗ •*)ゞ

 

 

 さて、『君のこころは輝いてるかい?』のカップリング曲として収録された『Aqours☆HEROES』ですが、正直この曲最初はピンと来なかったんですよ。発足して間もないAqoursが「ヒーロー」を名乗って無謀な挑戦をする、という姿がいまいちイメージできなかったんですね。

 ところが発売から2年2ヶ月もの時を経た今、この曲は物語のチカラを得て新たな意味を持ちました。アニメのAqoursの物語がこの楽曲をなぞらえた展開になることで、曲のイメージがガラッと変わったばかりか、無謀にも「ヒーロー」を名乗って狼煙を上げたAqoursが本当の意味で「ヒーロー」になろうとしています。そしてそれは、アニメの中のAqouesも、中の人のAqoursも同じかと思います。

 

 

 

 2016年1月11日にキャパ1500人のメルパルクホールで、初めてステージ上でお披露目されたAqoursのライブパフォーマンス。そこで同曲も披露されていましたね。幸運にもあの日の彼女たちの姿を生で見届けた人はほんの一握りですが、それでも私たちはBD1巻の特典映像で彼女たちの最初の一歩を目撃しています。

 

 

 今になって見返してみると、1枚目の彼女たちの不揃いなジャンプの姿すらいとおしく感じますね。 あれから2年近くの時を経て、確かな実力と自信を身につけたAqours。

 今の彼女たちならば、真に「Aqours☆HEROES」として「Aqours☆FLASH」な輝きを放ってくれることでしょう。「Aqours☆PUNCH」でぶん殴られたいだけの人生だった。

 

 

 前振りが長くなりましたが、実はこれまでのファンミーティングツアーではセトリの候補には上がっていながら、『Aqours☆HEROES』だけは一度も披露の機会がなかったんですよね。

 8-9話放送直後の札幌のファンミで、もし初めて同曲が披露されれば楽曲にまた新たな物語が付与されることになりますし、それはそれで素敵なんじゃないかと思います。

 まぁ、わたし在宅なので......外野から喚いてるだけなんですけど......

 

 

 

・余談

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 『Aqours☆HEROES』で梨子ちゃんビーム撃ってくれないかなー。「普通怪獣りこっぴー」改め「アクアヒーローりこっぴー」。

 

 尚、当記事で花丸ちゃんをオチに使わせて頂いたことに関しましては、花丸推しの方々に深くお詫びを申し上げます。本当にすみませんでした。 

 

 

 

 ※真面目な9話考察記事は、10話放送までには上げる予定であります(*> ᴗ •*)ゞ

 

スクールアイドルの"if"としてのSaint Snow

 あきのです(*> ᴗ •*)ゞ

 

 先日ラブライブ!サンシャイン!!2期8話「HAKODATE」の記事を書いた際に、3000字ほど内容を削ってコンパクトにしたのですが、その部分を供養するために載っけておきます。

 

 

一切推敲せずまんまコピペで恐縮ですが、暇つぶし程度に丁度良いサイズなのでよろしければどうぞ。上記の記事のこぼれ話です。

 

 

 

 

 

μ'sがくれた"夢"に羽根があったとしたら、風に乗ってバーッと飛んで、いっぱい散らばっていって。おそらくAqoursみたいなスクールアイドルたちは全国にいて、その羽根はみんなに平等に届いています。

自分はあの羽根が1つだけじゃないと思っています。夢の数だけ、羽根がある。その1枚が、アキバから離れた内浦にも降りてきているのだと。

ラブライブ!サンシャイン!!TVアニメオフィシャルBOOKより引用  酒井和男監督

 

「A-RISE」に憧れてスクールアイドルへの道を志したSaint Snowではありますが、2期6話で「先代のスクールアイドル」へのリスペクトを語った彼女たちです。酒井監督の談にあるように、全てのスクールアイドルの元に平等に「羽根」は舞い降りている。1期12話で「羽根」を受け取った千歌たちと同じように、Saint Snowもまたアキバから遠く離れた北の地で「羽根」を受け取っていたかもしれません。

 今回は、そんなSaint Snowの輝きと共に物語に迫ってみたいと思います。

 

 

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 アニメ1期でのSaint Snowは競技としての側面を強めた、新しい時代の「ラブライブ」を象徴するような存在として登場しました。最初はAqoursの前に強敵として立ち塞がった彼女たちでしたが、1期12話では千歌の呼び出しに応じて東京まで出向いてくれたばかりか、2期でも千歌に数々の助言を与えてくれる頼もしい戦友のような存在に。

 

 はじめは無印ラブライブのμ'sとA-RISEの関係に相当するような、Aqoursのライバルの存在であるかのように思われたSaint Snowでしたが、アニメオフィシャルブックでは酒井監督は次のように語っていました。

 

2人は北海道予選を勝ち上がって来るんですけど、Aqoursのライバルというより、同じ夢を追いかけているけど、その"追い方"が違うという存在です。同じ夢を見ているけれど、アプローチが違う。だから、μ'sに対するA-RISEとはまったく違う立ち位置にいるユニットです。

ラブライブ!サンシャイン!!TVアニメオフィシャルBOOKより引用

 

 ライバルとは宿敵であり倒すべき相手ですが、酒井監督はSaint Snowを敵ではなく、Aqoursと共に同じ夢を追いかける"仲間"のような存在として考えていたのかもしれません。("仲間"と言うと語弊があるかもしれませんが) 

 そもそも「ラブライブ!サンシャイン!!」はAqoursというスクールアイドルの物語を描いた作品であり、作中でのSaint Snowは視聴者にAqoursの実力を指し示すための指標であったり、Aqoursが乗り越えていく踏み台のような存在(失礼)なのだろうと思っていたんです。最初の頃は。

 

 

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 作中でのSaint Snowというユニットには「Aqoursのスクールアイドルとしての実力を測る物差し」や「Aqoursに現実を突き付ける相手」など、物語の中での装置としての役割が与えられています。ですので、その機能を果たしたら用済みになるのかなと、お役御免となり退場するのかなと思っていたんです。

 ところが物語が進むにつれて、Saint Snowのふたりの「スクールアイドル」への情熱や信念が描かれるようになり、いつしか双方のユニットにはある種の信頼関係のようなものが芽生えていきました。

 

千歌たちは全員、穂乃果が飛ばした夢の羽根を受け取ったんです。μ'sの9人は永遠に穂乃果たちだけですが、でも次の夢をAqoursやスクールアイドルを夢見る子たちは(羽根を)すべて受け取ったんだなって。だから、本作の中に脇役はいません。

 ラブライブ!サンシャイン!!TVアニメオフィシャルBOOKより引用  酒井和男監督

 

 私はこの酒井監督の「本作の中に脇役はいません」という言葉に「ラブライブ!サンシャイン!!」の本質が込められていると思っています。オフィシャルブックを読んで酒井監督が「新しいみんなで叶える物語」を作品の軸にしてくれていることを知った時は、とても深い感銘を受けたものです。

 そして監督はこの言葉通り、Saint Snowも脇役ではなく物語の主役として、実に見事に魅力を引き出して描いてくれました。特に妹の理亞はずっと挑発的な発言を続けてきた生意気なキャラだっただけに、まさかこんなにも人間的な魅力が描かれることになろうとは、誰が予想したでしょうか。もうすっかり「スクールアイドル・Saint Snow」だけでなく「人間・鹿角姉妹」も大好きになってしまいました。皆さんも同じ気持ちかと思います。

 

 この「本作の中に脇役はいません」という言葉は1期13話のストーリーを象徴するような、「みんな」の存在を大切に描いていくという監督の意思表明とも受け取れるようなメッセージですが、2期に入ってからはより顕著にその姿勢が作品に現れていました。

 

 

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全校集会のシーンでも

 

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学校説明会のシーンでも

 

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 7話の屋上のシーンでも。

 同じ顔、同じ髪型、同じ仕草の人は誰ひとりとしていません。全ての人が描き分けられ、「みんな」を「モブ」ではなく「唯一無二の個」として存在していますね。

 

 

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 7話の結果発表後のシーンでは「奇跡」を起こしたAqoursの影で、地区予選で夢が潰えたスクールアイドルの姿が嘘偽りなく描かれています。「夢」の影で非情な「現実」へと突き落とされてしまったスクールアイドルの姿を見て、「輝き」を失った現実で生きている人たちは、自分自身の現実の姿と重ね合わせて見てしまったのではないでしょうか。

 では、夢破れ、「輝き」を失ってしまった人はもう輝けないのでしょうか?「夢」を失い「輝き」を追いかけられなくなったら、「みんなで叶える物語」の「みんな」の輪から外れてしまうのでしょうか?

 

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 そんなことはありません。Aqoursは「夢は消えない 何度だって追いかけようよ 負けないで」と力強く歌ってくれています。

 7話ではラブライブ決勝へ進出するという「夢」を掴み取ったAqoursも、「学校を救う」というもうひとつの「夢」は潰えてしまいました。しかしAqoursの「夢」が潰えた時、「みんな」が彼女たちに「夢」を預けることで、Aqoursはもう一度立ち上がり「夢=輝き」を追いかけるチカラを手にしました。

 そして 「みんな」のチカラで新たな「夢」を手にしたAqoursが、今度は「夢」を与える側に回ります。8話では夢破れて「輝き」を失ってしまったひとりの少女に、勇気を振り絞って手を差し伸べる黒澤ルビィの姿が描かれました。

 8〜9話は夢破れ「輝き」を失ってしまった全ての人を救済する、「輝きの円環」の輪を広げるお話になるのではないかと思います。夢が潰えたスクールアイドルは、夢破れた全ての人の姿を映し出した偶像です。Saint Snowが「輝き」を取り戻すことができれば、その姿は全ての敗者にとっての希望の光となります。

 

 

 「私たち」や「スクールアイドル」の未来の "if" の姿として描かれたSaint Snowを、9話ではAqoursはどのようにして救い出すのでしょうか。また、黒澤ルビィが手にした彼女だけの「輝き」はどんな光を放つのでしょうか。

 

 「輝きの物語」の分岐路に立ったひとつのスクールアイドルの新たな「輝き方」は、スクールアイドルの新時代の胎動を予感させます。

 

目醒めよスクールアイドル!!次回9話「Awaken the power」震えて待て!!!!

 

 

 

ラブライバーに刺したい今季アニメ3選

 あきのです(*> ᴗ •*)ゞ

 

 今季アニメも軒並み折り返し地点を過ぎてるので、ノリと勢いで雑にレビューを書いてみようと思います。評価基準と比較対象がラブライブのひどく偏った記事になる気がします。 なりました。

 

 思ったより長くなってしまったので、今回はあきの一押しの3作品だけに絞ってご紹介いたします!!

 

 

 

 

 

 

・ボールルームへようこそ

 

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 あきの激推しどちゃクソおもしろアニメです。パワーが半端ない。

 2クール目に突入して1クール目ほどの凄まじい勢いはありませんが、相変わらず画面にかじりついたまま体感5分で30分が過ぎ去るパワーは健在です。社交ダンス(競技ダンス)という珍しい題材を扱った作品ですが、少年誌原作らしい熱いバトルと成長物語が描かれてるので、ダンスの知識や興味がなくても一気に引きずり込まれます。

 当然の如くダンスパートのシーンが多いアニメですが、"ここぞ"という場面でアニメーション特有の「作画での動き」で魅せるのではなく、「止め絵」の一枚絵の圧倒的迫力でブン殴ってくるパワーが凄い。ダンスなのに敢えて動かさない、止め絵なのに動きを感じる、キャラクターの内から溢れ出る情熱や生命力が見事に表現されている、びっくり仰天常識覆しアニメです。

 

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  無力で何も持たない平凡な主人公が、化け物じみて才能と実力のある同世代の仲間との関係の中で、死に物狂いで努力して壁にぶつかっていく汗臭くて泥臭くてめちゃめちゃアツい展開。青春モノが好きな人にはたまらないやつだと思います。

ストーリーも実によくできていて、ダンスという競技を通してキャラクターの内面の葛藤や成長が見事に描かれてます。ライバルや仲間の過去の掘り下げやダンスを続ける動機など、キャラクターの掘り下げも丁寧に行われていて、全部のキャラが魅力的。

 「なぜダンスをやるのか」「本当になりたい自分って何なのか」「自分はなぜ弱いのか」常に突き付けられる現実と真っ向から向き合っていく、そんな人間ドラマが好きな人は絶対見ましょう。ラブライブの物語が好きな人にはクリティカルヒットするはずです。男性にも女性にもおすすめ、主題歌もUNISON SQUARE GARDENですし。

 個人的には扱いの難しいジェンダー問題、思春期特有の繊細な心の揺れなど、難しいテーマに真っ向から踏み込んで描き切ってる所も高評価です。

 

オススメ度:★★★★★ Amazon Primeで見放題だぞ!!

 

 

 

・宝石の国

 

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 あきの激推しどちゃすこ最高おもしろアニメ第二弾です。実質無印ラブライブ!

 監督は京極尚彦、キャラクターデザイン西田亜沙子、音響監督長崎行男、無印ラブライブを手がけた鬼才達が放つ、ラブライブ!サンシャイン!!と真っ向からやり合っている(かどうかは知らない)激ヤバ作品です。

 美しいCGで描かれた独創的な不思議ワールドで繰り広げられる人間ドラマ。比較対象になるような作品が思いつかない、不気味で美しくて儚い、非現実的でありながら妙に生々しい、そんな不思議ワールドとしか言いようのない唯一無二の世界観。

 市川春子手がける原作コミックスに準拠した内容になっていますが、原作も未完なので最終話まで展開が読めません。理解不能なおとぎ話感ある原作も非常に独創的で、ちょっと難解な部分もありますが、何よりもアニメ化したことでキャラクターの魅力が格段に増してます(体感には個人差がありあります)。

 

 まずこの作品「宝石」が登場人物となっていますが、「擬人化」というよりは「人間じゃない」という設定になっており、しかも「性別」という概念がない。各キャラクターに鉱物や輝石の名前が与えられており(例:ダイヤモンド、アメジストなど)それぞれの石の性質に基づいた個性が与えられています(例:硬い、割れやすいなど)

 彼らは寿命という概念がない無機質な存在でありながら、その内面はとても人間臭く、愛に満ちていて、時に傲慢で、繊細で、外見のとっつきづらさに反して実に親しみの湧く愛らしいキャラクターとして描かれています。

 そんなつい愛着を抱いてしまうような彼女たちですが、身体が石でできているので、敵と戦ったり襲われたりするとバッキバキに割れます。手とか足とか普通に取れます。なんだったらバラバラの粉々になります。欠片を集めれば復活するので死にはしませんが、見た目がめちゃくちゃ痛ましいです。石が軋み割れる音が生理的にキツく、場合によっては視聴で精神にダメージを受けるかもしれません。

 

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 残念ながら1話から主人公がこの有様です。大丈夫?引いてない?

 

 そんな不気味おもしろワールドの不思議人間たちですが、不死であるが故の自分たちの在り方や、存在理由への葛藤から来る人間模様がとても繊細かつ美しく描かれていて惹き込まれます。好みははっきり別れる作品ですが、ジェンダーレスな人物像や異性愛とも人間愛ともつかない、説明のできない愛憎関係は性別関係なく不思議な共感を呼ぶかもしれません。個人的には女性にオススメ。

 OP曲の『鏡面の波』は今季ナンバーワン。断片的で情緒的な歌詞、変拍子の織り成す不安定なリズム、ストリングスの美しい旋律など作品の世界観を見事に体現した楽曲は至高です。

 

 

オススメ度:★★★★★ 今ならGYAOで見放題だぞ!!もしくはdアニ!!

 

 

 

・アニメガタリズ

 

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これを観てないラブライバーはモグリだ!!即刻連れ出せ!!

 

 穏やかじゃない書き始めになってしまいましたが、皆さまご存知の伊波杏樹さんがメインキャストに登用されている作品です。え?ラブライバーなのに??これ観てないんですか????本魔剤!?!?うっそー信じられないぽよぽよ。ご気分を害された方、私を叩く前にこのアニメの第8話を観てから叩いてください。

 単にAqoursで高海千歌役のあんちゃんが出演してるから、という理由で推しているわけではございません。この作品の魅力を拙いながらも布教していきたいと思います。

 

 

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『アニメガタリズ』は一言で言ってしまえば「部活モノ」アニメです。アニメ研究部の仲間達とともに熱くアニメ作品への愛を語る、かと思いきやぶっちゃけそんなにアニメの話をしてないのがミソです。

 主人公の女の子が元々は全くの非オタ。アニメ文化全くわからなし、という所から始まり、アニメ研究部に集う様々なジャンルのオタクとの交流を経て、少しずつアニメやオタクカルチャーの魅力を知り、オタクへの道を突き進んでいくという青春物語です。主人公が典型的な「にわかオタク」として描かれているので、そこまでアニメオタクではない人から、わりとドップリな人まで幅広いレベルのオタクが共感して楽しめる設定になっています。

 

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 『アニメガタリズ』はタイトルに反してアニメだけに特化した題材を扱ったストーリーにはなっておらず、ラノベ、コスプレ、コミケ、聖地巡礼など、様々な分野の「オタク活動」を通して「オタクあるある」をコミカルに描いた作品です。ノリでいうとラノベ原作アニメっぽいポップな世界観になっています。

 アニメ研究部の仲間達は個性豊かで、魔法少女モノ、アイドルモノ、異世界ファンタジー、ロボット、腐、原作厨、レイヤー、などなど、幅広いオタクジャンルに特化した属性を持ち合わせたキャラクターが揃ってます。どのジャンルのオタクが見ても「あるあるwwwwww」な共感の嵐間違いなしですし、何と言っても随所にメタいネタが仕込まれていて、実在する作品のパロディーやネタが横行している所も最大の魅力です。

 

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 ここまでは一般向け。ここからはラブライバー向けに布教していきます。

 

 

 

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 はい。この子が伊波杏樹さん演じる青山絵里香ちゃん。

 3年生です。お姉さんです。声低めなクール系でちょっぴりセクシーなあんちゃんのお芝居、興味はありませんか!?えぇそうですよね?ありますよね??言わずもがな最高です。はい次行きます。

 

 

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 同じく3年生の先輩、笑顔が眩しい金髪イケメンの爽やかナイスガイですが

 

 

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 カバンに推しの缶バッジのみならずオタク棒まで装備している彼の正体は......

 

 

 

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ヲヲヲイヲー!!!!

 

 制服の下にフルグラT装備、もうこの時点で推せます。

 

 廃部の危機に瀕していたアニメ研究部を再建するべく、主人公が部員集めに奮闘するするストーリーであるところの2話。「あーなかなか部員集まんないなー」と主人公が部室で入部希望者を待っていたところに登場するのが彼ですが、登場するなりこの台詞です。

 

「ウチを入れて6人や!!」

 

 スピリチュアルやね。如何でしょうかこの強キャラ感。そろそろなんか面白そうだと思って頂けてますでしょうか。彼はアイドルアニメには全般的に精通しているのでお仕事アイドルまでバッチリです。

 この作品、監督曰く「4話から面白くなる」という話だったのですが、5話から右肩上がりになるのでちょっと試しで見てみるのは面倒かもしれませんね。ですのでまず最新話の8話だけ見て頂くのもアリかもしれません。

 

 8話のアバンは前回のあらすじの説明パートから入るのですが、「前回の!アニメガタリズ!!」という台詞からスタートする、妙に聞き覚えのある感じの台詞回しが尺もテンポも完璧な導入になっています。何と言っても音響監督がラブライブ!シリーズを手掛けている長崎行男ですから、素晴らしい仕事をしてくれています。

 もう冒頭からグイグイ引き込まれると思いますので、dアニメストアに登録してる人は今すぐ確認してみてGO!!

 

 ラブライブ!は印象的なカットやチカラのある台詞が多く、名シーンとしてその一部分だけが有名になっているシーンも多いかと思います。

 

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 そのカットを見ただけで台詞が浮かんでくるような強烈なシーンですね。

 こういったシーンは様々なアニメでパロディネタとして取り入れられていますが、『アニメガタリズ』8話はついにその領域を超えました。有名なシーンや台詞のパロディだけにとどまらず、もう脚本の構成からキャラクターの心情の動きから、動画の見せ方から物語の山場の作り方まで、作品の構造自体を全部ラブライブの技法で作ってしまったのです。

 

 構造自体はまんま『ラブライブ!』なのですが、しかしストーリーとキャラクターは当然『アニメガタリズ』なので、「なんかこれまんまラブライブだけど、でもちゃんとアニメガタリズとして面白くなってる」という実に不思議な話数になっております。

 よって『アニメガタリズ』8話を観ることで「あ、ラブライブってこうなってるんだ」という観点からラブライブ作品への理解も深まるのではないかと思います。

 

 とは言え私の拙い文章力でだらだらと説明してもピンと来ないかと思いますので、ここまで我慢してこの記事を読んで下さった方はもういいから観てください。

 

 

 

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もうこのカット載せちゃったら全部ネタバレしてるようなもんですが、予測可能回避不可能の謎の感動がありますので是非その目で確かめてみてください。

 

 

 

 オススメ度:★★★☆☆ Amazon Primeで見放題だぞ!!

とは言え全体で見れば点数これぐらいです。でも8話は満点!!!!

 

 

 

反応(PV数)が良かったらまたやります。

 

 

 

 12/11 追記

 ラブライブブログを書かれている魂さんが、ラブライバーにお勧めの映画レビュー記事を上げられてたのでリンク貼らせて頂きます。気合いが入った素敵な記事です。

ishidamashii.hatenablog.com

 

 

 

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「HAKODATE」をメタ的に読み解いてみた話

あきのです(*> ᴗ •*)ゞ

 

 ラブライブ!サンシャイン!!2期8話「HAKODATE」、とんでもない神回でしたね。30分に満たないアニメーションの中で、体感1時間分ぐらいのドラマが繰り広げられていたように感じました。

 更にその上でラブライブ作品では初となる、二話で完結するストーリー。実質劇場版並のボリュームが予想されます。これまでの全てのエピソードが一話完結で独立したストーリー構成になっていたことを踏まえても、この8〜9話における気合いの入れ様と比重の高さを感じます。

 間違いなく壮大なスペクタクルが待っているであろう、9話の布石にあたる回となる8話。現時点で考察を試みることは茶番かもしれませんが、9話への期待の意味も含めて思うことを書き残しておこうかと思います。

 

 今回はおふざけは少なめになりそうですが、どうかお付き合い下さいませ。

 

 

 

 

 

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「ここ......どこ......??」

 

 待って、言わないで。わかってる。

 

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「雪め!!あまいわ!!」

 

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「善子ちゃん!?」

 

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「避けるべし!!」

 

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「避けるべし!!」

 

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 「避けるべし!!」 

 

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「避けるべし!!!!」

 

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  ヽ(・ω・)/ ズコー
 \(\ ノ
、ハ,,、 ̄
 ̄″

 

 寒い場所ほど熱い炎のステップ ってことですかね、堕天使の謎の動き。

 

 遠ざかるほど光る一番星。

 8話は、そんなスクールアイドルに恋するスクールアイドルたちのお話です。

 

 

 

 

 

・スクールアイドルという偶像f:id:akino_oniku:20171126181733p:plain

「なんだか眠くなって......」

「わたしも......」

「だめだよ、寝たら死んじゃうよ、寝ちゃだめ」

「これは夢だよ、夢......」

 ドラマCDのアレを彷彿とさせるやり取りですが、終始浮かれた様子のAqours。これはつまり、夢に見た熱い蜃気楼なのさ。

 無印ラブライブのスノハレ回を彷彿とさせる冒頭かと思いきや、劇場版のオマージュを感じさせるアバンでした。予備予選、地区予選共にぶっちぎりのトップ通過を果たし、ゲストとして北海道地区予選に招かれたAqours。自分たちを取り巻く環境が激変したことに浮かれて戸惑う様子は、劇場版のμ'sを彷彿とさせます。

 「普通の女子高生」ではなく「スクールアイドル」としての「偶像」が自分たちの知らないところで一人歩きを始める、つまり「蜃気楼」なんですね。現実のAqoursのファンミーティングツアー札幌公演と放送時期が被っていることを踏まえても、「偶像」と「実像」をクロスオーバーさせようという意図を感じます。

 

 

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 チェキの撮影を求められるAqours。雑誌のプレゼント応募でチェキ写真を求める「おまえら」の隠喩でしょうか。ファンとしてオタク丸出しな彼女たちですが、ステージの上ではキラキラと輝いて大歓声を浴びていましたね。「おまえら」も輝けるぞ!というメッセージとして受け取るかどうかはあなた次第。

 

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 ファンサービスで快く応える曜ちゃん、神対応ですね。俺も神対応されたい。

 

 

・スクールアイドルとしての変化

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 7話では「善子ちゃんの滑り芸にみんな期待してるずら」と花丸ちゃんが言っていましたが、滑り芸(物理)はさすがに草です。しかもアバンからの天丼。

 善子だけローファーを履いていましたが、ルビィにたしなめられて雪用ブーツに履き替えています。これは外的環境に応じて「変化」を受け入れていくAqoursを表しているようであり、また新しい道を新しい在り方で進もうとするAqoursのメタファーのようでもあります。

 

 

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 ちょぼらうみょぽみ先生みたいな?おもしろ作画になってしまうAqours。「変化」を受け容れることをメタ的に視聴者にも強いてくるこのアニメ、さすがです。やることがぶっ飛んでます。残念ながらこの話数の曜ちゃんは、弁解のしようがないほど終始アホの子と化してしまっていますが、かわいいから良しとします。私も「変化」を受け入れましょう。

 花丸ちゃんに至っては「変化」と言うよりは「アーマード進化」みたいな変貌を遂げていますが、花丸推しの方にはマジで申し訳ないけど盛大に笑いました。

 

 

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 この写真で曜が左手で敬礼してるのを「変化」と解釈するのは間違いで、これは左右反転してる自撮りにいちいち突っ込みを入れるなという、オタクへのメタ的な批判ですね(嘘です)

 劇場版のラストシーンへのオマージュの意味もあるかもしれませんが、本意はおそらく彼女たちの背後にある、Saint Snowのプロフィールと学校の名前にあります。Saint SnowもまたAqoursと同じように、学校の名前と期待を背負ってラブライブに出場しているんですよね。1枚の写真の中に3つのスクールアイドルが映っていますが、背負っているものはきっとみんな同じ、ということを表しているのだと思います。

 Aqoursはラブライブで優勝することで浦女の名前を永遠に残そうとしていますが、では地区予選敗退となったSaint Snowの輝きは消えてしまうものなのでしょうか?深読みすると、9話へと繋がる問題提起を感じます。

 

 

・スクールアイドルとして背負ったもの 

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 「ものすごい差し入れずら」ですが、Saint Snowに寄せられている期待度の高さと、それに伴う大きな重圧が端的に表されています。姉・聖良は出番前でありながらAqoursの楽屋訪問を毅然とした態度で出迎えますが、彼女には姉としての立場だけでなく、前回大会で8位入賞を果たしたプライド、由緒正しき名門校の名前を背負っていることの自負など、様々なプレッシャーを背負った上で「ちゃんとした」姿を見せているのだということが想像されます。

 

 

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「それにもう、皆さんは何をしても動揺したりしない」

どういう意味ですの?」

 本番を目前にしての場外乱闘、楽屋でdisり合いのMCバトルが繰り広げられます。ラップを得意とするSaint Snowですが、すかさず負けじと韻を踏んで返すおねぃちゃぁが姉としての威厳を示します。ルビィはポカーンとしてますけど、そこは「おねぃちゃんしゅごい!」って言う場面ですよ。

 

 

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「あの時は失礼なことを言いました。お詫び申し上げます」

 Aqoursの実力を認めた上で、かつての非礼を詫びて深々と頭を下げる聖良。あまりに潔くてかっこ良すぎます。妹の非礼も含めて頭を下げているのでしょうが......。自らの非を素直に認めた上で握手を求め決勝での再開と健闘を誓う彼女の姿は、余裕を見せ付けているようでありつつ、自らを鼓舞しているかのようにも映りました。

 

 

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「千歌ちゃん」

「ここは受けて立つところデェス」

「そうそう」

 出たーーーー!!体育会系の人種特有のノリ!!!!

 っていうかあなたたち、一応話聞いてたのね......

 

 

・感情に嘘がないということ(メタ視点①) 

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「観客席から観ることで、ステージ上の自分たちがどう見えているのか」

 初めて観客席側の目線で立つAqoursですが、この目線は私たちがライブ会場で目にした光景と重なり合うものであり、

 

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「これがラブライブなんだね」

「一度ミスをすると、立ち直るのは本当に難しい」

という台詞は、私たちの目線に立った梨子が口にすることで、真に現実味を伴った強い意味を持つものになりました。このシーンで私たちは現実に存在するAqoursの、1st LIVE 2日目の「想いよひとつになれ」を思い出したはずです。

 そしてこの台詞をアフレコのマイク前で口にした逢田さんの声には、桜内梨子の声でありながら、逢田さんの生身の経験から生まれた本物の感情が乗ったはずです。

 更にこの台詞には、「ラブライブ!サンシャイン!!」の製作陣からキャストのAqoursへのエールが込められていると思います。だからこそ、逢田さんがミスを乗り越えた勇気とその功績を肯定するような台詞を梨子に言わせたのだと思いますし、あの出来事の後のMCで伊波さんから放たれた「これがライブですよ!生ですから!」という言葉を踏襲するような台詞を曜に言わせたのでしょう。

 

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「あれじゃあ動揺して歌えるわけないよ......」

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  私たちはSaint Snowのライブを生で見た経験を誰一人として持っていません。しかし、この瞬間を目撃した彼女たちの感情を知っています。

 

 嘘偽りなく、あなた自身の生身の記憶から感情が溢れ出したはずです。

 

 アニメの物語を受けて生まれた感情も、もちろん嘘ではなく本物です。しかし100%の感情を超えて更なる情動を上乗せしたのは、あなた自身が経験した感情と記憶。通常のアニメ作品では100%までしか感じるはずがない感情が、100%の限界を超えてあなたを襲ったはずです。それを偶然ではなく意図して作っている「ラブライブ!サンシャイン!!」という作品。改めて言いますが頭おかしい。(最上級の大絶賛)

 

 

"感情に嘘がない"というのは『ラブライブ!』の本質だと思うんです。人間が持つ根元の動機は、絶対"真実"じゃなくてはいけない。千歌たちが想う欲と伊波さんたちの願いは同じじゃないといけないって。それをフィルムに焼きつけて観てもらうというのが、μ'sのころからずっと続いている、この作品の魅力だと思ってます。

ラブライブ!サンシャイン!!TVアニメオフィシャルBOOKより引用  酒井和男監督

 

 

 

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 本戦進出グループの壮行会を控え室で待つと言っていたにも関わらず、誰にも告げずに先に帰ってしまったSaint Snow。律儀で誠実な彼女たちらしくないですよね。妹を気遣った聖良の判断なのでしょうが、あまりに多くのものを背負ってきた彼女たちが、「Saint Snowとしての矜持」を守れないほどに茫然自失してしまったのかもしれません。

 妹や周囲の前で気落ちした姿を見せないようにする聖良の行動は、廃校が決定した後のダイヤちゃんの気丈な姿を思い起こさせるものでした。

 

 

 ・☆

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 誰よりも優しく、姉想いのルビィだからこそ気付けた、等身大の理亞の気持ち。姉を想うが故のプレッシャー。誰よりも近い距離にいるからこそ素直に伝えられない気持ち。

 

 

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 函館の五稜郭タワーの頂上から見下ろすと、美しい雪景色の中に浮かび上がる星形の五稜郭の全貌が眼前に広がります。

 

 

 遠ざかるほど光る一番星。

 

 

 聖良とダイヤ、ふたりの姉が願うのは妹の「姉離れ」

 妹が自立して自分だけの脚で歩いて行った先で、自分だけの輝きを見つけて欲しい。そんな「遠ざかるほど光る一番星」への美しい願いが象徴されたシーンでした。

 

 

・沼津と函館の繋がり

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「なんか落ち着くねここ」

「内浦と同じ空気を感じる」 

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「そっか、海が目の前にあって潮の香りがする街で、坂の上にある学校で」

「繋がってないようで、どこかで繋がってるものね」 

 ここはもう直球でオマージュですね、劇場版のNYの摩天楼を見下ろすシーンでNYとアキバの街が似ていることに気付くシーンと重なります。坂の上から海へ展望するカットはラストシーンで効いてくるので、その布石として印象付けるために敢えて印象的な台詞を使ったのかもしれません。

 

 

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 あぁ、曜ちゃんがどんどんアホの子になっていく......でもそんな曜ちゃんも好き.......

 

 

 ・鹿角家と黒澤家

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 鹿角家の玄関に設置されたテーブルに置かれたノート。聖地巡礼で沼津に足を運んだことがある人なら、誰もが目にしたことのある光景ですね。Saint Snowの活動が地域に根ざしているものであること、地元の方々の応援を受けているであろうことが想像されます。

 

 

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 『SELF CONTROL』のステージ衣装に身を包んだSaint Snowの写真と並べて飾られているのは、スノードームのような置物。スクールアイドルの大会で手にした栄光、輝きの象徴でしょうか。「輝き」が閉じ込められたモチーフは、手の届かない過去になってしまった「輝き」をイメージさせます。

 

 

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 邂逅、それは「おたがいの願いが呼んだ出会い」なのかもしれません。写真と置物が飾られていたのは理亞の部屋でした。

 

 

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 雪に彩られた石畳の美しい街並み。分岐路の右側の道の空には雲がかかっており、左側の道の向こうには青空が覗いています。そして道路標識は見えず、パーキングの標識が見えるのみ。この先スクールアイドルを続けるか否か、その分岐路で立ち止まっている理亞ちゃんの心情をストレートに表した絵のように見えます。しかし未来への分岐路に立たされているのは、当然彼女だけではありませんね。

 

 

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「私も理亞も、ここが大好きで。」

「大人になったら、ふたりでこの店を継いで暮らしていきたいねって」

 「そうなんだ......」

 歴史の長いお家に生まれ、やがてはその家業を継ぐ道を選んだ聖良。ルビィはその姿を自分の姉と重ねて見たでしょう。不遜な態度をとる理亞ですが、 聖良は突然のAqoursの来訪にも動揺した様子を見せず持てなします。出来の良い姉と、不肖の妹。

 

 

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「いい!!だからもう関係ないから。ラブライブも、スクールアイドルも!!」

 Saint Snowはもう終わりと言い放つ理亞の姿。ルビィの目にはかつての自分や姉の姿とも重なったかもしれません。ここでスクールアイドルとしての活動を終わりにするのか、否か。その分岐路に立たされる構図は劇場版ラブライブそのもの。

 

 

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「結局ステージのミスって、ステージで取り返すしかないんだよね......」

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 果南が自らの「過去」の経験から得た教訓を語る裏で、理亞が「過去」の失敗を後悔し続けるシーンが描かれている対比が鮮やかで哀しい。「だからもう関係ないから」なんて言葉は嘘に決まっているんですよね。

 

 

・黒澤姉妹 

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 店を飛び出したルビィを追いかけて行った先で、対角線上に背中合わせで座るダイヤ。敢えて表情が見えない位置に座る姉の気遣いですよね......ダイヤはルビィをたしなめるかのように優しい言葉をかけますが...... 

 

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 それは「ダイヤ」ではなく「姉」としての立場から掛けられた言葉であり、彼女が本心にブレーキをかけて言葉を紡いでいることにルビィは気付きます。

 

 

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 ルビィが勇気を振り絞って一歩を踏み出すのは、いつだって自分以外の誰かを想って行動するときです。 

 

 

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もういらないよ胸のブレーキは

見つめあうために生まれた二人になってく

 

 

 

 

・ベッドシーン(メタ視点②) 

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いや、無理でしょ

いろんな意味で無理でしょこのシーン

 1期3話「ファーストステップ」の初めてのライブで、雨の中駆けつけてくれた美渡姉の姿を見て「泣きそうになったもん」と語る千歌。"もうひとつのAqours"の初めてのライブでステージに立った伊波さんが、会場を埋め尽くす観客を見て涙したエピソードと重ならないわけがないじゃないですか。

 このシーンの千歌の台詞も、千歌の声に伊波さん自身の過去から生まれた感情が乗ってるんですよね。無理でしょこんなの。

 

 

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「ふっふっふ......フラグ立ちまくりね」

「幸せなやつめ......クックック.....」 

 風呂上がりにおもむろに置かれたチラシに気付く善子が、「フラグ」という名の「運命」に気付く描写クソやばです。この瞬間に「運命」を「必然」として手繰り寄せるべく、よしまるがルビィのためにチカラを貸すという9話の未来が確約されました。

 そう捉えると、善子の「幸せなやつめ」という言葉に込められた想いの尊さがすごいよ(無理)

 

 

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 劇場版ラブライブでは、ホテルで真姫がシャワーを浴びている時に希が作曲ノートを手に取るシーンがありましたね。善子の「フラグ立ちまくりね」という言葉をメタ的に受け取れば、「AqoursとAqours以外のスクールアイドル両方のための曲が生まれる」という9話のシナリオへ意味が掛かってきます。

 8話での善子は『Angelic Angel』な代弁者として、メタ的なメッセージを視聴者に提示する「ストーリーテラー」もしくは「狂言回し」のような役割が与えられています。9話でも同じ役割を果たすはずなので、是非注目してみて下さい。

   

 

・ふたりの妹(背景が物を言う)

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 よく見てみると、ふたつの視点から映されたルビィの歩いている道が一致していません。これは作画ミスではなく、意図的に前後のカットの辻褄を合わせないことで視聴者に違和感を与え、絵にメッセージがあることを提示しています。

 道路の進行方向(順路)に従って、道路の雪の部分(目の前に敷かれた道)を歩いてきたという、これまでのルビィの生き方を表現したカット。

 更に次のシーンでは横断歩道を渡り、これまで歩いてきた道を横切っています。目の前に敷かれた順路を外れ、自分の意思で道を進み始めたルビィを表現しています。

 

 

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 ラブライブ世界では信号機がキャラクターの心情を代弁する装置としての機能を担っていることは有名ですが、信号機がアップになるカットは珍しいです。からの引きのカットで青信号とルビィを映すことで、見知らぬ土地でひとり立ちを果たしたルビィの心細さ、不安な心情を表現しているのだと思われます。すれ違う車の騒音が大きい所も相まって、胸がぎゅっと締め付けられるシーンです。

 

  

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 「あなた......」

「ルビィ......黒澤ルビィです」

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「あの......ルビィにも理亞ちゃ.....

 理亞さんとおなじでおねえちゃんがいて」

「黒澤ダイヤ」

「しってるの?」

  

 

 

 

キミはだれ?

なんて訊かないよ わかってる

おたがいの願いが呼んだ出会い

 

 

 

 

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「やっぱり、聖良さんのことだいすきなんだね」

「当たり前でしょ!!」

 見つめ合うルビィと理亞。お互いがお互いの中に「相手と重ね合わせた自分の気持ち」を見付けていくシーンで、ふたりが鏡合わせになる構図。最強!!!!

 

 

 

 

 こことても良いシーンなのですが、「バク転できないでしょう?」と姉・聖良の推しポイントを語る妹・理亞。あなた......

 

 

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 実は姉より強いですよね??

 

 

 

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 得意げに姉のことを語るルビィが、理亞の目には「輝き」として映っているこのシーン。めっちゃ好き......好きな人やモノを語る時、その人が輝いて見えるという構図。これこそラブライブ!って感じ。たまらん......。

 

 

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「うれしいんだって」 

「なにが?」

「お姉ちゃんがいなくても、べつべつでも、がんばってお姉ちゃんのチカラなしで、ルビィがなにかできたらうれしいんだって」

  そう話しながら歩みを進めるルビィの足が描かれているシーンで、ずっと鎖が映し出されてるのがやばやばすぎませんか。

 

 

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「きっと聖良さんもそうなんじゃないかな」 

 続くシーンが理亞の視点で、ルビィの背中を追う構図になってるのが良すぎる上に、このカットから鎖が途切れるんですよね。自らの意思で歩みを進めることで、自分で自分を縛ってきた鎖から解放されるんです。更に彼女が向かう先には「輝き」。良さみに次ぐ良さみ、良さみオブ良さみ。

 

 

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「だから、がんばってきた」

「姉様がいなくても一人でできるって、安心してって......」

「なのに......最後の大会だったのに.......」

 ルビィの真っ直ぐな気持ちを受け取った理亞が、ついに自分の心を縛っている鎖の存在を打ち明けるシーン。今度は理亞の心を縛っている過去の象徴として、再び鎖が映し出されますが...... 

 

 

 

 

  Ah!「もしも」は欲しくないのさ

「もっと」が好きAngel

 

 

 

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「じゃあ、さいごにしなければいいんじゃないかな!」

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f:id:akino_oniku:20171127221031p:plain  そう言って、震える肩を握ったルビィが理亞を連れて駆け出すんですよね。

 「鎖」の向こう側へ「輝き」に向かって。

 自らを縛っていた鎖から解き放たれたルビィが、今度は理亞を縛る鎖から解き放ってあげる展開、あまりに美しすぎる。何者にも縛られなくなった彼女たちは、純粋な想いのチカラに駆られて走り出します。

 

 

 

 こころの羽ばたきはとまらない

 

 

 

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 同じ構図での対比が効いてきます。8話ではずっと一番後ろを付いて歩いていたルビィが、 今度は先頭で手を引く側になりました。

 

 

・クリスマスツリー(輝きの円環) 

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 夢中で駆け出した先で意図せず見付けた「輝き」こそが、ラブライブ!という作品が描く「輝き」の本質的な在り方。ルビィはついに「自分だけの輝き」に自分のチカラで辿り着いたのです。

 

 

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 星空にゃ!

 劇場版ラブライブで雨の街に向かって駆け出した凛の姿を彷彿とさせるシーンでもありましたね。クリスマスツリーの電飾は人の手で作られた「輝き」であり、誰かの幸せを願って灯された「光」の象徴でもあります。

 

 

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「うたいませんか?いっしょに曲を

 お姉ちゃんにおくる曲をつくって

 この光のなかで、もう一度!」

 クリスマスツリーの「輝き」は短い期間でその役目を終えてしまう、「限られた時間の中で輝くスクールアイドル」の象徴のようでありながら、1年の時を経れば再び灯され、何度でもその「輝き」を取り戻す存在です。

 聖良の輝く場所を失わせてしまったことで自らの「輝き」を追うことを諦めてしまった理亞が、聖良のために歌うことで「もう一度」「輝き」を取り戻します。そして妹・理亞が姉・聖良のチカラを借りずに自分だけの「輝き」を手にすることで、姉・聖良の本当の願いが果たされるのです。美しい「輝きの円環構造」。

 

 クリスマスツリーの電飾は、ツリーの周囲を螺旋状に彩る「輝きの円環構造」そのものを体現した「輝き」だったんですね。そしてその輝きは高みへと高みへと上って行き、クリスマスという短い期間の中で精一杯の「輝き」を放つのです。

 いつの日か、流れ星のようにその「輝き」が消えてしまう日まで。

 

 

 

 

 

Ah! 今宵は一夜限り二度とはないPassion

燃え尽きるまで踊らなきゃダメさ

 

 

 

 

 

なんすよね......。

 

 

 

 

 

 

P.S. 黒澤姉妹の純真な愛情、取り戻した輝き、踏み出した未来への一歩 にまつわる美しいお話につきましては

 

 

 

"親愛なる"瀬口ねるさんのブログにそのうち上がると思います(丸投げ)(無許可リンク)

ameblo.jp


 

 

尚、8話並びに9話の挿入歌を軸に物語を読み解いたお話は

 

 

"親愛なる"十六夜まよさんのブログにそのうち上がると思います(丸投げ)(無許可リンク)

aqours-mayoism.hatenablog.jp

 

 

12/1 追記

 二件とも8話の記事が上がっておりましたので、リンク先をブログトップから該当記事に修正させて頂きました。

 上記の御二方とも、雑なフリで紹介してしまったことを恥ずかしく思うほどに、この上なく愛情に満ち溢れた素晴らしい記事をお書きになられております。あきの忘備録とは違い、作品と真っ向から誠実に向き合った内容となっておりますので、改めて誠意を込めてのご紹介とさせて頂きます。

 無許可リンクにも寛大な対応をして下さった瀬口ねるさん、十六夜まよさん、ありがとうございました。

 

  

 

※当ブログでは黒澤姉妹に焦点を当てて掘り下げた記事は扱いません、それは私の領分じゃないからね。僭越ながら私が絶大な信頼を置く、上記の黒澤姉妹推しのおふたりにご期待下さい。

 

 ↑8話SS番外編、こぼれ話です。

 

 

 

「残された時間」の渡辺曜ちゃんの話

あきのです(*> ᴗ •*)ゞ

 

 

 ラブライブ!サンシャイン!!2期7話「残された時間」にまつわる、渡辺曜ちゃんの話をします。今回は脚本の構成とか演出とかそういうのにはあまり触れません。

 

 まあそんなことは 気にしないっ しないでっ 全人類は渡辺曜ちゃんをすこれ。 

 

 

 

 

 

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「お願い......!!」

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 Aqoursがステージで起こした「奇跡」のチカラを信じようとする曜ちゃん。

 

 

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 Aqoursの得票数がグラフの圏外に突き抜けていくシーン、まばゆい輝きを放って突き抜けていくマリンブルーの閃光。それはさながらあまい恋の軌跡。

 

 

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 道なき道を行くAqoursは輝きを放ちます。Aqoursの輝きを受けた「みんな」もまた輝くことで、今度は「みんな」が彼女たちが進む道を作ります。7話のラストシーンと重なる構図ですね。

 

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 奇しくもソウルでのファンミーティングツアー公演は、7話の放送日と同日でした。「奇跡」と捉えるか「偶然」と捉えるかはあなた次第。脱線しました。

 

 

 Aqoursの輝きが起こす「奇跡」を未来から振り返れば、その道筋は輝く「軌跡」となります。2期3話「虹」では、ラブライブと学校の両方の輝きが繋がることで虹という軌跡が生まれました。 

 

「あたし、思うんだ。奇跡を最初から起こそうなんて人、いないと思う」

「ただ一生懸命、夢中になって、何かをしようとしている、なんとかしたい、何かを変えたい。それだけの事かもしれない」

「だから」

「起こせるよ奇跡。私たちにも!」

2期3話「虹」より

 

 2期3話で予備予選会場から学校へ走っていくシーン。Aqoursメンバーが「奇跡は、起こるのかな......」と未来への不安を口にしている時でも、曜ちゃんは一言も不安を口をしていません。それどころか上記の千歌ちゃんの言葉の後に、はっと息を呑んで彼女の気持ちに気付いた or 真っ先に虹の存在に気付いたリアクションをしています。

 6話でも曜ちゃんは千歌ちゃんを全面的に肯定し、自分たちが奇跡を起こせることを確信していましたね。

 

 

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 Aqoursは地区予選のステージで難しいフォーメーションに挑戦し、「圧倒的なパフォーマンス」と「輝き」で魅せるライブを成功させた時点でひとつの「奇跡」を成し遂げました。あとはAqoursから広がった輝きがたくさんの人のこころを動かし、想いが重なることで「運命」を「必然的に」引き寄せるだけです。 

 冒頭の曜ちゃんのシーンは、ポーズだけ見ると神に祈りを捧げていたかのようにも見えますが、彼女が信じていたのは「神」ではなく「奇跡」。Aqoursの輝きで「運命」を引き寄せたいという、曜ちゃんの切なる願いが強く現れていました。 

 

  

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「千歌ちゃん......!!」

  曜ちゃんがずっと願ってきたのは、千歌ちゃんが「輝き」を手にすること。そして千歌ちゃんにとっての「輝き」とは、Aqoursや学校のみんなと共に輝くこと。

 誰かといっしょに手を取り合って輝くことが千歌ちゃんの「輝き」である以上、曜ちゃんにとっては「Aqoursの輝き」は「千歌ちゃんの輝き」なのです。

 

 

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 曜ちゃんの「願い」の一端は千歌ちゃんに向けられていたのだと思います。千歌ちゃんの頑張りが報われて欲しかった、やっと肯定できた自分自身を否定する結果になって欲しくなかったんですね。

   

 

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 1期13話では千歌ちゃんが駆け出してAqoursが進む道を先導しました。しかし、あの時確かにそこにあったはずの「輝き」には手が届かず、Aqoursは地区予選を突破することはできませんでした。

 もしここで前回の地区予選と同じ結果になれば、千歌ちゃんは再び自身を否定することになります。深いトラウマを抱えることになるでしょう。もしかすると二度と自身を肯定することができなくなり、「輝き」を手にすることができなくなっていたかもしれません。

 

 

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 だからこそ曜ちゃんには、Aqoursが前回の地区予選で超えられなかった壁の向こう側に「前進」できたことに、他のメンバーとは異なる特別な想いがあったはずです。13話の千歌ちゃんとAqoursを肯定する意味合いを込めて、あの千歌ちゃんの姿へのアンサーとして「全速前進ヨーソロー」したのではないでしょうか。

 

 

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 ラブライブ!サンシャイン!!の物語において、曜ちゃんには、Aqoursという船の「前進」の象徴としてのポジションが与えられています。

 

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 ライブにおいてAqoursが「前進」する駆動力を担っているのは彼女も同じですね。1st LIVE 2日目でステージから花道で全速前進したしゅかしゅーは、アニメの物語をも牽引したのかもしれません。

 

 

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 曜ちゃんが先導してAqoursが指し行き先は、天に向かっています。そしてその目線の先にあるスクリーンには「ラブライブ!」の文字があるはずです。

 

 

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 13話の「MIRAI CHICKET」で輝きへの船出を果たしたAqoursが、ついに外海へと出航した瞬間でした。曜ちゃんが視聴者側に向けて敬礼&ウィンクしてくれてるのが泣けますし、千歌ちゃんも曜ちゃんと同じ目線でいるのがまた。

 

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 見てください千歌ちゃんのこの表情を。この頃から千歌ちゃんにとって曜ちゃんはずっとスーパーヒーローでしたし、曜ちゃんにとってもそれは同じでした。

 曜ちゃんは幼い頃から水泳や高飛び込みに夢中になっていました。彼女は知っていたはずです、何かに夢中になることで心が輝くこと、そして自分を好きになれることを。だからこそ千歌ちゃんが自分と同じ目線で何かに夢中になって、その中で千歌ちゃん自身を好きになって欲しかった、肯定できるようになって欲しかったのだと思います。

 それも5〜6年どころか、もしかすると10年も前から願ってきたのかもしれません。

  

 

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 空を突き抜けてそびえる電波塔。日本中に「Aqoursの輝き=学校の輝き」を広める「Aqours WAVE」「MIRACLE WAVE」のメタファーですが、ここでは輝きを広める機能的な意味での、Aqoursにとってのラブライブの象徴として登場していると思われます。

 このシーンでは分かりづらいですが、前後のシーンと照らし合わせると7人が電波塔=ラブライブの方向を向いています。つまり、曜ちゃんと鞠莉ちゃんだけが向かい合って立っています。地区予選1位通過という奇跡を成し遂げても、鞠莉ちゃんの胸中にあるのは当然入学希望者数のことでしょう。曜ちゃんは千歌キチの嫉妬ファイアー放射器だと思われがちですが、鞠莉ちゃん(嫉妬ファイアーマイスター)の事も想ってますよ。

 先ほどはステージ上でAqoursを先導するかたちで全速前進ヨーソローした曜ちゃんですから、みんなよりも一歩先に立って目の前の未来を見据えられています。

 

 

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 曜ちゃんが鞠莉ちゃんに視線を向けるのはこのシーンからですが、立ち位置から曜ちゃんの視線の延長上には鞠莉ちゃんがいたことが確認できます。

 ここでは千歌ちゃんは階段を「降りて」立ち位置が変わっていますが、直前のシーンから7話で同じ目線を共有して行動を共にする3グループに分かれています。

 

 

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  地区予選会場から学校に帰ってきたAqours。理事長室で入学希望者の正確な数を確認するシーンですが、曜ちゃんがセンターになっています。ここでも鞠莉ちゃんと向かい合う構図ですね。

 

 

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「遅いね、鞠莉ちゃん」

 心配する曜ちゃんですが、鞠莉ちゃんが「パパに電話してくる」と言って理事長室を出てから、既に1時間近くが経過しています。

 2期2話の冒頭の鞠莉ちゃんが父親と掛け合うシーンでは、8人が理事長室の外の廊下で待っていましたが、ここでは鞠莉ちゃんがダイヤちゃんと共に外に出ています。2話までは鞠莉ちゃんが理事長としてみんなのために頑張っていましたが、みんなの頑張りが鞠莉ちゃん(理事長)の力になったという変化が現れた構図ですね。

 

 

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「いま、ひとり増えた!」

「やっぱり、私たちを見た人が興味持ってくれたのよ」

「このまま増えてくれれば......」 

 梨子ちゃんと曜ちゃんの言葉も耳に入らない様子で、理事長室を出ようとする千歌ちゃんは鞠莉ちゃんにぶつかってしまいます。気持ちが先走って、周りが見えなくなってしまっているんですよね。

 

 

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「落ち着いて。大丈夫......大丈夫だよ」 

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「でも、何もしないなんて」

「信じるしかないよ、今日のわたしたちを」

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 曜ちゃんが身を呈して止めようとしても尚、千歌ちゃんはいても立ってもいられない様子でもがこうとします。それでも曜ちゃんは千歌ちゃんを信じきった表情で抱きしめます。 

 

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 ここで強引にでも千歌ちゃんを止めることができたのは、Aqoursの中で曜ちゃんだけだったはずです。だからこそふたりはこれだけの出来事があった直後でも、お互いを信頼しきった笑顔でいられたのだと思います。

 

 このシーンは腑に落ちない方が少なくないでしょうから、後述します。

 

 

 

もしこの場で曜ちゃんが千歌ちゃんを止めなければ、千歌ちゃんが残りの時間を足掻き続けたら、駅前で呼び掛ければ結果は変わったでしょうか?

 

 

 

 変わったかもしれません。

 千歌ちゃんの頑張りで残り2名の入学希望者を集めることもできたかもしれません。現実的ではないですが、奇跡は起こそうとしなければ起きないことをAqoursは知っているのですから。

 

 では、千歌ちゃんひとりが先走って孤軍奮闘した先で廃校を救えたとして、それは本当に、千歌やAqoursが望んだ未来なのでしょうか?

 答えはNOです。

 

「千歌ちゃんにとって輝くということは、自分ひとりじゃなくて、誰かと手を取り合い、みんなと一緒に輝くことなんだよね」

「私や曜ちゃんや、普通の皆が集まって、ひとりじゃとても作れない大きな輝きを作る。その輝きが学校や聞いてる人に拡がっていく、繋がっていく......」

「それが、千歌ちゃんがやりたかったこと。スクールアイドルの中に見つけた、輝きなんだ」

 1期11話「友情ヨーソロー」より

 

 千歌ちゃんたちにとって、誰かと共に手を取り合った先で掴んだ未来でなければ、それは輝きではないのです。もし千歌ちゃんがひとりで先走って行動してしまったら、それはこれまでのAqoursの輝きを否定することになってしまいます。

 

 そしてそれは誰よりも、千歌ちゃん自身の全てを否定することに他なりません。

 

 例え廃校を防げたとしても、自らの輝きを否定したAqoursはそこから前進することはできません。Aqoursの活動は、ラブライブ決勝を待たずして終わっていたでしょう。

 しかしそれが分かっていたとしても、残された時間を足掻き続けると誓ったAqoursには、前進することでしか未来を信じられない千歌ちゃんを強引に止めることはできなかったかもしれません。例え手段が間違っていたとしても、廃校を救うために今行動する ということは間違っていません。そして待つことが辛いという気持ちは全員同じ。

だからこそ彼女を止めることができたのは、廃校問題よりも、Aqoursとして取るべき行動よりも、何よりも「千歌ちゃんに自分自身の輝きを否定して欲しくない」という個人的な、嘘偽りのない純粋な願いがあった曜ちゃんだけだったのです。

 もしあの場で千歌ちゃんを止めていなければ、学校を救えようと救えなかろうと、千歌ちゃんは自分自身もAqoursの輝きも否定することになり、全員が傷つく結果になっていたでしょう。

 私は曜ちゃんが、学校よりも千歌ちゃんのことを大切にしてくれたことが嬉しかった。そしてその姿勢は曜ちゃんだけに限らず、幾度となく鞠莉ちゃんを止めてきた果南ちゃんの姿にも、6話で千歌ちゃんを止めようとした果南ちゃんの姿にも重なるものでした。

 曜ちゃんは個人的な感情で反射的に行動したかもしれませんが、結果としてAqoursの未来を救う行動になったと思います。

 

 

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「お願い!!お願い!お願い!お願いお願いお願いお願い......増えて......」

 入学希望者数が94人になった時点で、残された時間はたったの47分。必死に願う千歌ちゃんですが人数は増えず。みんな悲しい気持ちになってしまいます。

 

 

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「さすがの曜ちゃんも、睡魔には勝てないか......」

 

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「寝てないよ」

 ここで曜ちゃん、そう言って笑うんです。

 普通だったらそんな態度取れないと思いますよね、そうなんです。曜ちゃんはめちゃめちゃ優しい子なんです。つまりこの行動は、千歌ちゃんがようやく手にした輝きを、そして生まれたAqoursの輝きを絶対的に信じられているからこそ、なんですよね。

 地区予選の結果発表前に誰より強く「奇跡=Aqoursの輝き=千歌ちゃんの輝き」を信じようとした曜ちゃんは、その願いが叶えられた時点で既に「奇跡」を信じられるようになっています。だからこそ曜ちゃんは、敢えてここでは祈りを捧げ願うことをしません。

 タイムリミットまで1時間も残されていない中で、Aqoursにできることがもう神に祈ることぐらいしか残されていない。そんな中で曜ちゃんが、千歌ちゃんのためにしてあげられること。それはただ、全面的に信じてあげること。それだけでした。

 

 

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「けど、待ってるの少し疲れてきた」

 みんな疲れてるに決まってるんですよね、もう朝4時ですよ。

 改めて声を大にして申し上げますが、曜ちゃんはめちゃめちゃ優しい子です。花丸ちゃんが言っていたように「責任、感じているずらよ」ですから、他のみんなもPCの前から動けるはずがないんですよね。

 だからこそ「前進」しかできなくて明らかに待ってるのが苦手そうな曜ちゃんが、率先して休むポーズを見せた上で「疲れてきた」って言うんです。そうすることで、みんなが息抜きに行けるように。みんなが悲しい気持ちにならないように。

 

 

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 まだ太陽が登っていないんですよね。

 

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 果南ちゃんが待ってるのが良いですね。ここでも千歌ちゃんが階段を「降りて」います。そこに曜ちゃん続く感じ、「内浦」って感じがしてまた良いです。

 じっとしてられない女選手権大会 in 浦女でトップスリーを飾りそうな3人が理事長室を出て陽の光を浴びるこのシーン、大好きです。

 

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「はーあ。あと6人!お願い!!」

「お願いします!」

「味方なんだ 空もこの海も『さあがんばるんだ』と輝いてるよ」なんですよね。ようちかなんの3人をずっと見守ってきた内浦の自然をも味方につけようとします。

 

 

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 「やっっっまーーーーーー!!!!」(違う)(言ってない)(ドラマCDのやつ)

  続く果南ちゃんが「遠くへ 遠くへ 声が届くように」叫ぶのが好いです。内浦の空の色を映して青くきらめくプールの絵は、内浦の輝きを伝えようとするAqoursを象徴するようなカットですね。

 12月の浦女のプールにこんなキレイな水が貯めてある所に、上手に嘘をついた絵を見せてくれるラブライブらしさを感じます。

 

 

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 浦女の魅力を叫ぶシーンでは、プールの水面は学校を映しているんですよね。言うまでもなく浦女の輝きを伝えようとするAqoursを象徴するような絵です。

 

 

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「叫べ青春!!桜内♡恥ずかしいのは――一瞬だから大丈夫♡♡ (言ってない)(G’sのアレ)

  この流れほんとだいすき。これぞラブライブ!サンシャイン!!って感じだし、東京から来た梨子ちゃんが保証してくれるのほんとあったけぇ。この一連のシーンで「助けて、ラブライブ!」の原点に帰ってきたようで、思わずじーんと来てしまいました。

 

 

 すみません、あまりに良いシーンだったのでつい曜ちゃんと関係ない話をしてしまいました。続けます。

 

 

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 ルビィちゃんから100人まであと3人になったことが伝えられ、千歌ちゃんが懸命にPCに向かって「お願い!!」と叫ぶシーン。ここマジで涙が止まらないので記事書くのが非常にしんどいですが、この話数では「祈り」のシーンが多いので象徴的なこのシーンにも触れておきます。

 花丸ちゃん、ここでキリスト教式の祈りを捧げているんですよね......これは恐らく彼女が聖歌隊に所属してるという設定よりも、浦女がカトリック系の学校であることからの文脈で捉えた方が筋が通ると思います。

 ここで7話冒頭の曜ちゃんの祈りの仕草との違いが描かれており、結果発表前の曜ちゃんが神に祈りを捧げていたわけではないことが明確になります。

 

 

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 ルビィちゃんも冒頭ではいつものポーズでしたが、ここでは手の平を内側に向けているんですよね......

 

 

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 募集が打ち切られて廃校が決定した後のシーンですが、既に陽が昇り理事長室の窓からは陽が差しています。これまでは朝陽が上るシーンでは千歌ちゃんはリーダーとして、ひとりで太陽の「輝き」を背負ってきました。ここでは3人が千歌ちゃんの代わりに輝きを背負う構図になります。

 この3人はこれまでの人生経験から「期待」を背負って立つことのつらさを知っていて、尚且つ千歌ちゃんの一番近くにいた存在ですね。その3人が千歌ちゃんに寄り添う優しさが、あまりに切なくつらい。

 

 

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 鞠莉ちゃんもまた「輝き」をひとりで背負おうとする構図ですが、3年生組のふたりはそれを制止します。理事長としてこれ以上小原グループに歯向かうことは、彼女の将来の一切が断たれることを意味しているからです。

 

 

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 「千歌ちゃん、千歌ちゃん」

「次は移動教室だよ」

 千歌ちゃんの前ではつとめて明るい笑顔で振舞う曜ちゃん。前進の象徴である彼女は、周囲の潮流に置いていかれそうな千歌ちゃんの手を引こうとします。

 

 

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 千歌ちゃんにラブライブの話を振るむっちゃんたち。彼女たちも千歌ちゃんを元気付けようと気を遣って言ってくれていることがわかるため、曜ちゃんは止めることができません。誰も悪くないし、誰も間違ってはいないのです。

 

 

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 昼間の様子からは千歌ちゃんが無理をしている様子がわかりますが、

 

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 そんな時でも千歌ちゃんに声を掛けられるのは梨子ちゃんなんですよね。この2カットだけでも曜ちゃんからふたりへの信頼が見て取れます。

 

 

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 不意に涙を流してしまう千歌ちゃんに、うまく声をかけてあげることができない曜ちゃん。前に進むことしか知らない彼女には、千歌ちゃんの背中を押してあげることしかできないのです。夕陽色に美しく染まる空との対比があまりにも哀しい。

 

 

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 Aqoursメンバーがそれぞれの「輝き」の原点と向き合う中で、曜ちゃんはひとりバス停に佇みます。心なしか笑みを浮かべる彼女の視線の先には、三角コーン。

 

 

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 曜ちゃんの目に映るのは、千歌ちゃんと共に生まれ育ってきた内浦を、ずっとずっと見守り続けてきた茜空の色でしょうか。彼女たちに突き付けられる現実はこんなにも不条理なのに、こんなにも世界は変わらずに美しい。どんなに胸の内で悲しみに暮れようとも、希望の羽根はいつだってそこにある。

 非情な現実の中で差し出される希望は残酷ですらあります。世界が光に満ちれば満ちるほどに、希望を掴み取れない自分に影が落ちる。彼女たちは気付いたかもしれません、自分たちと学校の中の世界が終わってしまっても、学校の外の世界の日常は変わらないことに。

 

 

 「空も心も晴れるから」は2nd LIVEで2年生組が披露した際に、スクリーンに彼女たちが過ごしてきた内浦の風景が映し出されていたのも記憶に新しいですよね。それでもあの演出が脳裏をよぎった感傷よりも、歌詞と物語のリンクがあまりに出来すぎていたことの方が衝撃でした。

 

 

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「おはよ」

 

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 曜ちゃんがヨーソロー言わないのがこんなにつらいとは......Aqoursの前進の象徴である曜ちゃんがヨーソロー言わないってことは、Aqoursが前進できないことの暗示なんですよね。ここでもひとりだけ座って待っていた曜ちゃんです。

 この話数は曜ちゃんが千歌ちゃんの一歩先を行き、千歌ちゃんを引っ張っていこうとする展開になっていたように思います。一歩先に「前進」していたからこそ、曜ちゃんは「待って」いたのではないかな と私は思いました。それが彼女が座っていた理由。 

 

 

 

ここからの会話シーンが「繋がりそうで繋がらない」ので整理してみます。

 

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「やっぱり、みんなここに来たね」

「ギラン」

「結局、みんな同じ気持ちってことでしょ」

「出た方が良いっていうのはわかる」

「でも、学校は救えなかった」

「なのに、決勝に出て、歌って」

「たとえそれで優勝したって」

「確かにそうですわね」

「でも、千歌たちは学校を救うためにスクールアイドルを始めたわけじゃない」

「輝きを探すため」

「みんなそれぞれ、自分たちだけの輝きを見つけるため」

「でも」

 「輝きを探すため」のカットだけ曜ソロで抜かれていますが、このシーンで笑顔を見せたのは曜ちゃんひとりだけですね。他のメンバーが頭では「ラブライブに出た方が良いのはわかっている」と思いつつも、心からそれで良いとは思えていない中で、曜ちゃんはラブライブ決勝へ「前進」するしかないと心から思えているのかもしれません。

 

 曜ちゃんはずっと待っていたはずです。「普通」がコンプレックスだった千歌ちゃんが「普通」を乗り越えて、自分だけの輝きを手にすることを。自分自身を受け入れて肯定することを。それももしかすると幼い頃からずっと、10年近く待っていたかもしれません。

 そんな千歌ちゃんが、やっとの思いでようやく手にした、初めての「自分だけの輝き」「自分たちだけの輝き」。それを信じて肯定し続けること、それだけが今の曜ちゃんがしてあげられることでした。たとえ学校を救えなかろうと、千歌ちゃんの輝きを守るためには前進するしかない。それは義務感からではなく、心の底から千歌ちゃんを信じていたからこその言葉と行動が、7話の曜ちゃんには詰まっていたように思います。

 

 

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「千歌ちゃん」

「やめ・る・?」

とかもう、千歌ちゃんへの期待と信頼の塊ですよね 

 

 

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「優勝する!!ぶっちぎりで優勝する!!相手なんか関係ない!!」

という千歌ちゃんの叫びで、ようやく彼女が曜ちゃんに追い付きます。

 

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 追い付きましたね。

曜ちゃんは千歌ちゃんといっしょだからヨーソローできるんです、この瞬間を待っていた!!

 

 

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「あーー!!じっとしてられない!!」

「みんな走りに行こう!!」

じっとしてられない女選手権大会 in 浦女、12月なのにおへそが眩しい曜ちゃんの優勝です!!!!!!!!! 

 

 

 

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 やっと見つかりましたね、「自分たちだけの輝き方」が。羽根がAqoursの色に染まったのは、自分たちが「みんな」の希望になったから。

 夢を追い求めてがむしゃらに走り続けたAqoursの、その夢が潰えた時。今度はAqoursが「みんな」の夢になった。「みんな」のお陰で輝きを追いかけることができたAqoursが、今度は「みんな」のために輝きになる。

 

 

 美しい7話でした。完敗です。

 

 あんまり良いお話だったので、曜ちゃんの話だけするつもりが散々脱線してしまいました。とにかくこまけぇこたぁいい、渡辺曜ちゃんを...すこれ......

 

 

 

 ちなみにこの記事には70回「曜ちゃん」という単語が登場していますが、この記事を通して、ひとりでも多くの方に7話の曜ちゃんの輝きが広まれば幸いです(*> ᴗ •*)ゞ

 

「Aqours WAVE」を振り返ってみる話

 あきのです(*> ᴗ •*)ゞ

 

 ラブライブ!サンシャイン!!2期6話「Aqours WAVE」いかがでしたか。私はもう終始嗚咽が止まらずで。ぶちのめされましたよ。

 この素晴らしい回を文字に起こしたら陳腐になってしまいそうで、恐れ多くもありますが......感じた事、思った事を整理する意味で書き記してみます。

 

 

 

 

 

・ラグナロクf:id:akino_oniku:20171112002326p:plain

「見たことあるずら」

ここは...前回ラグナロクが行われた約束の場所」

「私たちが突破できなかった、地区大会!」

「リベンジだね!」

 うっひょ〜〜これまたワルそうな表情してますね!!ここに来て緊張の表情を見せる千歌を鼓舞する曜ですが、これ1期9話で果南が鞠莉に言ったあの台詞と同じですね。

 

「リベンジだとか負けられないとかじゃなく、ちゃんと言ってよ!!」

 

 素直な気持ちを伝えられなかった鞠莉が本意ではなく果南に言ったしまった言葉だけに、曜ちゃん推しとしては不穏な展開の伏線なのでは......と勘ぐってしまいました。

 ちなみに善子は地方予選のことを「ラグナロク」と表現していますが、これはつまり「神々の黄昏」終末の日のことですね。彼女にとっての最重要議決事項(?)であることがわかります。

 

 

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「うん!」

 答える千歌の声にも力が入ります、表情に余裕がないですね。4話冒頭での自信たっぷりな、確信に満ちた表情との違いが印象的です。入学希望者を集めるタイムリミットと地区予選まで時間がないにも関わらず、Aqoursが目指すべきカタチが見えていない事への焦りと気負いが感じられます。

 

 

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「そう。今日現在、入学希望者は57人」

 「そんな......この1ヶ月で10人も増えていないと言うのですか!?」

「鞠莉のお父さんに言われた期限まで、あと1ヶ月もないよね」

「ラブライブ地区予選大会が行われる日の夜、そこまでに100人を突破しなければ......」 

 時は既に11月後半〜12月、なんと1ヶ月以内に入学希望者を43人も集めなければならないことが判明します。 地区予選大会の日と入学希望者を集めるリミットは同じ日であるようです。

 現実的に考えるとあまりに厳しい状況であり、千歌の表情や果南の態度にも説明がつきます。

 

 

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 諦めたかのような表情を見せる果南の背後には、「思いやり」「解決方法」「仲間と一緒に活動」「チームワーク」「リーダーシップとは」などの標語が貼られています。これはAqoursのグループに対する問題提起のようであり、果南自身の内面に渦巻く行き場のない気持ちを表しているようでもあるキーワードですね。

 

 

・ラブライブ運営はクソ

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 OP明けの練習シーンでは、鞠莉がとるカウントのテンポが以前より早くなっており、Aqoursがより高いダンスレベルを目指していることがわかります。また、ラブライブの全国大会出場が期待されるチームを紹介する記事にも

 

「年々、ダンス技術や観客を魅了するパフォーマンスが格段にレベルアップしているスクールアイドル達!」

 

という触れ込みが書かれており、いまのラブライブを勝ち抜くための要素として「高いダンス技術」「観客を魅了するパフォーマンス」を備えていることが大前提であることが明示されています。

 

 

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「前回は地区大会で涙を飲んだAqoursだが、今大会予備予選の内容は全国大会出場者に引けを取らない見事なパフォーマンスだった。今後の成長に期待したい」

「期待......」

 予備予選からの更なる成長を期待されるAqours。成長したパフォーマンスを見せなければ地区予選を勝ち上がれないであろうことが予想されます。

 また、1期7話では「期待されるってどんな気持ちなんだろうね?」と梨子に話していた千歌ですが、初めて学校や沼津の人たち以外からの、つまり外部からの期待を受けていることを知ります。表情に決意の色を浮かべる千歌。

 

 

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 千歌とは対照的に「造作もないことです!」と言ってのけるヨハネとリトルデーモン・リリーが頼もしいですね。なんと言っても梨子が未来に対して確信的に、ポジティブな態度をとっている所に成長を感じます。これが堕天の力なのか。

※「人間」にとってはチョキもピースも同じ形ですが、ヨハネにとっては違うのですね。彼女が「ヨハネチョキ」と「ヨハネピース」を使い分けている所にも、昔から運が悪かった故に自らを堕天使とした経緯が表れているようです。

 

 

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 他のメンバーがドン引きしてるのめっちゃ良いですね、ここ最高です。5話「犬を拾う。」でふたりの間に起こった出来事を誰も知らないわけですから、完全にふたりだけの秘密を共有する仲になっているわけですね。秘密の共有から来る親密性。あまり大きな声で言いたくありませんが、これはさすがに百合の香りがします。くんかくんか。すーはー。すーはー。

 

 

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「今回の地区大会は、会場とネットの投票で決勝進出者を決めるって」

「よかったじゃん、結果出るまで何日も待つより」

「そんな簡単な話ではありませんわ」

「会場には、出場グループの学校の生徒が応援に来ているのよ」

「ネット投票もあるとはいえ、生徒数が多い方が有利」

 衝撃の事実が発覚。ラブライブ運営クソですね、ガバガバじゃないですか!!

 名古屋ガイシホールのキャパがMAX10000人として、浦の星の全校生徒+保護者各位を含めて100人程度と仮定します...会場での最低得票率は1%ですね。仮に沼津の人が200人来たとしても3%ですね。となると、やはりネットでの得票を勝ち取るしかありません。配信される映像で見栄えが良いようなダンスパフォーマンスが必要であろうことが推測されます。

 

 

・わたしたちのAqoursを完成させたい 

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「わたし、あの頃の気持ちと変わってないよ」

「今回はわたくしも鞠莉さんに賛成ですわ。学校の存続のために、やれることは全てやる。それが生徒会長としての義務だと思っていますので」

「それにこれが、ラストチャンスですわ」

 5話から果南が抱えていたノートの正体は、2年前のAqoursが地区予選を勝ち抜くための秘策が記されたものでした。しかし果南は頑なにこの案を棄てようとします。

 ダイヤが「生徒会長として」の立場から発言しているのは、これは2年前のように3人だけの問題ではなく9人、延いては学校全体の問題に関わってくるからという理由でしょう。2年前とは立場も状況も違う、というダイヤらしい大人の目線からの説得。

 「わたし、あの頃の気持ちと変わってないよ」 という鞠莉の台詞から思い返されるのは、1期7話でのダイヤとの会話シーンですね。

 

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「ダイヤも期待してるんじゃない?私達の乗り越えられなかった壁を、乗り越えてくれることを 」

「もし越えられなかったらどうなるか…十分知っているでしょう? 」

「避けるわけにはいかないの。本気でスクールアイドルとして、学校を救おうと考えているなら 」

「変わっていませんわね。あの頃と 」

1期7話「TOKYO」より

 

 2年前のAqoursに乗り越えられなかった壁が何だったのか、その真相がついに明かされました。1期7話で鞠莉からダイヤに向けられた言葉が単なる挑発ではなく、ダイヤの本心を見抜いた上でのものだったことがわかります。そしてその気持ちは変わっていない。ふたりはいまの9人のAqoursなら、千歌ならば2年前に乗り越えられなかった壁を越えてくれると期待していました。

 

 

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「でも、できることじゃない......これはできないこと」

「そんなことはない、あの時ももう少しだった。もう少しで」

「でもできなかった。それどころか鞠莉の足まで.......」

「あの怪我はわたしがいけなかったの、果南に追いつきたいって頑張りすぎたせいで」

「そうですわ、それに今は9人。わたくしたちだけではありませんわ」

「だめ......だめだよ、届かないものに手を伸ばそうとして、そのせいで誰かを傷つけて、それを千歌たちに押し付けるなんて」

「こんなの......!!」

 ついに明かされる2年前のAqoursに起こった事件の真相。

 

「わたしは学校は救いたい。けど、Saint Snowのふたりみたいには思えない。あのふたり、なんか1年の頃の私みたいで」  

1期12話「はばたきのとき」より

1期12話で果南がこのように話していたことからも、年々上がっていく競技ラブライブとしての技術レベルの高さに対抗するため、ハードな練習や難易度の高い技に挑戦していたであろうことが推測されます。

 2年前のAqoursでは果南がAqoursのリーダーをつとめていたと思われ、勝つことにこだわるあまり鞠莉に無理をさせてしまい、怪我をさせてしまったことがわかります。

 

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 果南は1期8話の桟橋でのシーンでも「誰かが傷つく前に」と鞠莉を傷つけてしまった過去に囚われている描写がありましたね。

 

 HAPPY PARTY TRAINのMVの世界での果南は、自らの過去に立ち返り、過去の自分との出会い直しを経て現在の自己を肯定するに至りました。しかしアニメの世界の果南は、鞠莉との和解を経て新たなAqoursのメンバーとして再出発は果たすも、内面的には未だ過去に囚われトラウマを引きずったままだったのです。

 果南は自身の無謀な挑戦に大切な人を巻き込み、傷つけてしまった過去に囚われていました。自分の意思が誰かを傷つけることを恐れるあまり、自分たちの可能性に蓋をして限界を自分で決めてしまいます。しかしそれは大切な人を想うがゆえ。果南にとっては、学校よりもラブライブよりも、何よりも仲間のことが一番大切であることの裏返しなのです。

 

 

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「こんなの......!!」 

 ノートを夜の海に投げ捨てようとする果南。 しかし彼女が本当に投げ捨ててしまいたかったのは、ノートでもなく、ダンスパフォーマンスのアイディアでもなく、未熟だった自分自身の過ち。誰よりも過去に囚われていた彼女だからこそ、自らを縛り続けてきた過去の象徴であるノートを手放し、全てを無かったことにしたかったのかもしれません。

 

 

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 一寸の迷いもなくノートを追って冬の海に身を投げ出す鞠莉。

 1期9話では2年前のスクールアイドル衣装が校舎から投げ出されてしまいましたが、今度は絶対に手放さないという鞠莉の意思が自然と彼女を動かしたのでしょう。

 

 

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 果南が「これをできないこと」と言って投げ捨てたノートを、「手が届かないもの」ではなく「手が届くもの」に変えた鞠莉。

 その鞠莉に手を差し伸べて海から引っ張り上げたのは、昔から「どこか雲の上のような存在」であったダイヤ。1期9話で鞠莉に手を差し伸べ、過去のすれ違いから救い出したのもダイヤ。

 

「わたし、あの頃の気持ちと変わってないよ」

「今回はわたくしも鞠莉さんに賛成ですわ」 

という先ほどの台詞にも表れているように、ふたりの気持ちと関係はずっと変わっていないのです。1期9話と同じくずぶ濡れになる鞠莉ですが、今回は果南は手を差し伸べるどころか一歩も動くことすらできません。本来であれば迷わず果南が後を追って海に飛び込んでもおかしくないシーンでしたが、それができなかったのは彼女がまだ過去に囚われており、未来に向かっているふたりとは違う世界にいることの表れだと思われます。

 

 

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「否定しないで、あの頃のことを。」

「わたしにとっては、とても大切な思い出。だからこそやり遂げたい」 

「あの時夢見た、わたしたちのAqoursを完成させたい」

 果南のノート(過去)を捨てようとする行為は、自分たちの過去を否定することを意味します。しかし鞠莉はそれをよしとしません。だからこそ「届かないものに手を伸ばそうと」したのですね。鞠莉は「自分たちの過去」を肯定することで、「果南の過去と今」を「自分たちの未来」に繋げようとしたのだと思います。

 

「私は諦めない!必ず取り戻すの!あの時を」

「果南とダイヤと失ったあの時を!」

「私にとって、宝物だったあの時を…...」

1期8話「くやしくないの?」より

 実は1期でも鞠莉は果南に同様の気持ちを伝えていますが、このシーンでは「取り戻す」ではなく「あの時夢見た、わたしたちのAqoursを完成させたい」という部分に、鞠莉が更なる一歩を踏み出そうとしていることが伺えます。

 1期9話では2年前のAqoursには完成させられなかった「未熟DREAMER」を歌うことで、ひとつの形として過去を「取り戻す」という希望が叶いました。鞠莉はそこから更に一歩を踏み出し、「取り戻した過去=あの時」の先の未来である「わたしたちのAqoursを完成」を望みます。

 3人では完成させられなかった「Aqoursのカタチ」をこの9人で完成させたいという希望、そして「だからこそやり遂げたい」という言葉。

 

「ただ私は、後悔しないようにするだけ。これが最後のラブライブだしね。」

「最後…」

「ダイヤと鞠莉と3人でここで曲作って、その思いが繋がって、偶然が重なってここまできたんだもん。やり切ったって思いたい」

2期5話「犬を拾う。」より

 

これは前話の果南の台詞と、言葉は違っても本質的には同じことを言っています。果南は過去に囚われるあまり自分の本心を認められずにいますが、本当の気持ちは最初から鞠莉やダイヤと同じだったんですね。

 

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「ここでやめたら後悔するよ!絶対できる!」

 1期9話「未熟DREAMER」より

「私の知っている果南はどんな失敗をしても、笑顔で次に走りだしていた。成功するまで諦めなかった」

  1期9話「未熟DREAMER」より

 

 松浦果南という人物の過去を掘り下げてみれば、彼女の本来の姿は「ポジティブなチャレンジャー」であったはずです。そして彼女の魅力のひとつである「優しくて面倒見のよい」「友達想い」な部分もまた、松浦果南という人物の本質なのです。

 つまり、彼女は決して「ネガティブで保守的な」性格になってしまったのではなく、「優しくて友達想いな一面」と「持ち前の頑固さ」の裏返しだったのではないかと。ゆえに鞠莉とダイヤに対しても、自分自身に対しても頑なな態度をとり続けていたかな、と想像しています。

 

 

・圧倒的なパフォーマンスとは 

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「ぬんぬんぬんぬんぬんぬんぬんぬんぬん......向いた!」

 シリアスシーンからの転換でリリーが「見えない力」を繰り出してくるのめちゃ良いですね。

 

 

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「確かに不利ですね、圧倒的なパフォーマンスを見せて、生徒数のハンデを逆転するしかない」

「ですよね......でも、圧倒的って......」

 「それはうまさだけではないと思います。むしろ今の出演者の多くは、先輩たちに引けを取らない歌とダンスのレベルにある。」

「ですが、肩を並べたとは誰も思ってはいません。ラブライブが始まって、その人気をかたち作った先駆者たちの輝き。決して手の届かない光。」

 聖良に相談を持ちかける千歌ですが、ここまで技術面でのパフォーマンスを進化を模索してきたAqoursに「それだけではない」というアドバイスを受けます。強さを追求し、本気で勝ちたい、という姿勢を見せてきたSaint Snowが言うだけに説得力がありますし、彼女たちもまた成長しているのだと伺い知ることができるシーンでした。

 「先駆者たちの輝き=決して手の届かない光」であると表現する聖良。2期1話の「輝きって、どこから来るんだろう」という千歌の問いのその先と向き合うことになります。

 この話数のリアルタイム放送時、前枠で「先駆者たちの輝き」の始まりの物語である『劇場版ラブライブ!The School Idol Movie』が放送されていたこともあり、聖良の言葉にまた重さが付加されましたね。(サンシャインからラブライブに入った視聴者にも世界観や演出の意図を伝えるという意味で、あまりにも効果的でした。運営ぐう有能)

 

 

・Aqoursのカタチ

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「Aqoursらしさ?」

「わたしたちだけの道を歩くって、どういうことなんだろう」

「わたしたちの輝きってなんだろう」

「それを見つけることが大切だって、ラブライブに出てわかったのに」

「それがなんなのか、まだ言葉にできない。まだカタチになってない」

「だから、カタチにしたい、カタチに」

 聖良からの言葉を受けた千歌はAqoursのリーダーとして「輝き」と向き合うことで、「Aqoursの輝き方」が何であるのかという壁に突き当たります。 

 これまでの千歌にとって「輝き」とは、「わたしがわたしに問い掛けてきた」ものであり、あくまで内的で抽象的な概念でした。千歌が「輝き」について8人に問い掛けたのは恐らくこれが初めてであり、彼女の意識が外へ外へと向いていることが伺えます。

 このシーンですが、梨子だけがずっと体勢を変えることなく固まったまま千歌の話を聞いているんですよね。

 

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 三度に渡って千歌の口から飛び出す「カタチ」という言葉を聞いて、この表情です。

「目には見えないチカラ」というカタチのないものを信じようとしてきた梨子にとって、頑なにカタチを求めようとする千歌の言葉はどう響いたのでしょうか。

 

 

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「このタイミングでこんな話が千歌さんから出るなんて、運命ですわ」

「!?」

「あれ、話しますわね」

「えっ......でもあれは......」

 ダイヤと鞠莉は決意を固めた表情ですが、断固とした口調で話すダイヤの口から初めて、「運命」という言葉が出てきます。果南を説得するために敢えて強い言葉を使ったという理由もあるかもしれませんが、ダイヤが「目には見えないチカラ」「想いが引き寄せる必然」という意味合いで「運命」というものを信じているのは大事な出来事であるように思います。

 思い返せば2期1話でも、校庭に集まった9人の中で最初に「キセキを!」と口に出したのはダイヤでしたね。1期9話のラストシーンではダイヤが砂浜に書いた「Aqours」の文字を、千歌たちが見つけたことが「Aqours」の再結成に繋がった経緯もあり、彼女の過去には「運命」を信じるに足る確固たる理由があるように思います。(ダイヤがセンターをつとめる楽曲である『GALAXY HidE and SeeK』の歌詞にも「運命」という言葉が登場していましたね)

 

 

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「フォーメーション?」

「フォーリンエンジェルズ?」

「ズラ?」

「ラ......ラ......ラ......?」

「しりとりじゃないから」

 このシーン謎ですよね。真剣な場面で善子が堕天使を繰り出して花丸が止めに入る、という流れが定番でしたがここではルビィが堕天使ネタでボケています。善子に至ってはヨハネですらなく、普通に善子としてズレたこと言ってますし、そこに梨子が突っ込む...... 3年生組+千歌と、それ以外のメンバーとの間での認識のズレを強調して描いているのでしょうか。

 ここは後半の山場での緊迫したシーンを引き立てる意味と、全体のバランスを考慮してシリアスな印象を抑えるため、意図的に差し込まれたゆるいシーンかと思われます。

 

 

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「いまそこまでしてやる意味があるの?」

「なんで?果南ちゃん、いまそこまでしなくていつするの?」

「最初に約束したよね、精一杯足掻こうよ、ラブライブはすぐそこなんだよ!」

「今こそ足掻いて、やれることは全部やりたいんだよ!」

「でも、これはセンターをつとめる人の負担が大きいの」

「あの時はわたしだったけど、千歌にできるの?」

 このシーンで流れている劇伴は『夢と現実の狭間』。優しく情緒的なメロディーに包まれてマイルドにはなっていますが、このシーンのふたりのやり取り自体は相当にホンキをぶつけ合っています。千歌と果南の衝突は1期9話以来ですが、現リーダーと旧リーダーとしての立場での衝突はこれが初めてですね。現リーダーをつとめる千歌も、この時点では果南からすれば妹のような存在であり、守るべき対象のようです。

 ふたりに共通しているのは、Aqoursが置かれている現状が土壇場であり、勝てる可能性が非常に低いであろうという認識。

 

 

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「大丈夫。やるよ、わたし。」

「千歌......」

一度は背を向けて千歌を振り切ろうとする果南ですが、強引に引き寄せられて向き合わされます。若干の既視感。無印1期13話の空港のシーンでことりを連れ戻そうとする穂乃花の姿を思い出すような、そんな確固たる意思を感じました。 

 

 

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「あのノートを渡しましょう、果南さん」

「いまのAqoursをBreak Throughするためには、必ず越えなくちゃならないWallがありま〜す」

 「いまがその時かもしれませんわね」 

 「いまがその時かもしれませんわね」でダイヤと鞠莉が同時に1,2年生を見るんですよね、ここ最高です。このふたりには2年前のAqoursには越えられなかった壁が、「いまのAqours」ならば越えられるという期待と信頼があるんですね。

 

 

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 「言っとくけど」

「危ないと判断したら、私はラブライブを棄権してでも千歌を止めるからね」

 このシーンもめちゃくちゃ好きです。果南にとってラブライブよりも仲間の方が大事であるということを、千歌に面と向かって伝えてくれたのがすごい嬉しかったんですよね。2年前は鞠莉の怪我を気遣い、黙ってライブを放棄した果南でした。あの頃から仲間想いの果南らしさが変わっていないことも嬉しかったですし、今度は面と向かってそれを伝えていることに彼女の成長を感じました。

 

 

・いまのAqoursなら必ず成功する 

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「心配?」

「やっぱり、こうなっちゃうんだなって」

 「あれ、やりたかったね。わたしたちで」

「それなら、なんで千歌たちにやらせるの?まるで押し付けるみたいに」

「千歌っちならできるって信じてるから」

「今のAqoursなら、必ず成功する。果南だって信じてるんでしょ?」

  帰宅しても練習を続ける千歌に、それを見越して様子を見に現れるふたり。「やっぱり、こうなっちゃうんだなって」という果南の言葉には、「果南に追いつきたいって頑張りすぎたせいで」と話していた、2年前の鞠莉の姿にいまの千歌の姿が重なっているようでした。「あれ、やりたかったね。わたしたちで」と果南の気持ちも代弁するかのように話す鞠莉がいじらしいですね。

 「今のAqoursなら必ず成功する」と未来への確信めいた希望を口にする鞠莉ですが、彼女は1期から一貫して未来を信じ続けていますね。鞠莉が千歌に対して絶対的な信頼を寄せている根拠が私にはわかりませんが、やっぱりスピリチュアルの系譜ですかね......(思考放棄) 

 

 

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マットの向こう側にはノートが。「届かないものに手を伸ばそうとする」構図になっています。この構図が6話ラストの砂浜でのシーンに効いてきますね。

 

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「いちばん最初にここで歌った時に思ったの。みんながいなければ何もできなかったって。」

「ラブライブ地区大会の時も、この前の予備予選の時も、みんながいっしょだから頑張れた。」

「学校のみんなにも町の人たちにも助けてもらって」

「だから、ひとつくらい恩返ししたい」

 Aqoursのメンバーに「助けてもらって」支えられて練習しているシーンでこの台詞です。千歌本人は気付いていないようですが、他のメンバーは千歌を見上げる構図になっています。

 

 

・曜、梨子、果南、と千歌の関係 

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「じゃあとめたら?」

「あたしが言うより、ふたりが言った方が千歌、聞くと思うよ」 

「嫌なの?」

「言ったじゃない、気持ちはわかるって」

「うん」

これまでの果南は先輩として高い目線から後輩たちと接してきましたが、このシーンではふたりと同じ目線で、対等な立場で言い合いをしていますね。落ち着いたトーンでの会話ですが、文字に起こすと相当バチバチしたやり取りになっています。 

  

 

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「千歌ちゃん、普通怪獣だったんです」

「怪獣?」

「普通怪獣ちかちー」

「なんでも普通で、いつもキラキラ輝いてる光を、遠くから眺めてて、本当はすごいチカラがあるのに」

「自分は普通だって、いつも一歩引いて」

「だから自分のチカラでなんとかしたいって思ってる」

「ただ見ているんじゃなくて、自分の手で」

 そう話す曜と梨子のふたりの目には、千歌が「キラキラ輝いてる光」として映っています。ふたりにとっての千歌は最初から尊敬の対象であり、全くもって普通怪獣などではなかったんですね。

 果南と幼馴染の千歌は果南の背中を見て育ってきましたが、このシーンでは千歌の背中を今度は果南が見つめる側になっています。果南の目には「手の届かない輝き」を掴もうと足掻く千歌の姿が「輝き」として映ったのですね。

 甘えん坊だったはずの千歌は、いつの間にか果南にとって「守るべき存在」ではなく、Aqoursのリーダーとして、ひとりの人間として逞しく成長していました。そんな千歌の姿を見て、果南は千歌に自分の本当の望みを託す決意をします。2年前に自分たちが成し遂げることができなかった「わたしたちのAqoursを完成させる」ために。

※これは少年漫画などで主人公が、自己のアイデンティティを確立するに至る通過儀礼であり、通称「親越え」「兄貴越え」「師匠越え」と呼ばれる王道展開ですね。私はこの熱い展開が大好物です。

 

 

 ・テンポの違和感

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「千歌」

「果南......ちゃん......?」

 思い立ったように千歌に歩み寄り「何か」を伝えようとするシーン。ここからの流れが個人的に気になります。普通のアニメであればここでAパートが終わり、Bパートで果南が千歌に何を伝えたのかが明かされるのが一般的な展開ですよね。ですが前半後半の区切りはここで付けられていません。

 

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 千歌の表情のアップのカットからシームレスに陽が沈むシーンに切り替わり、そして夜が訪れます。

 「果南は何を言ったんだろう?」と思わせてAパート終了でも、太陽が沈む絵を見せてからAパート終了でも良かったはずです。そこで敢えて区切らずにシームレスに夜の千歌の練習シーンに繋いだのは、物語全体のテンポ感よりも千歌のエモーショナルを優先して描きたかったからではないかと推測しています。6話の絵コンテは酒井監督が担当されていますし。

11月17日追記:6話絵コンテ担当は渡邊哲哉さんであるとのご指摘を頂きました、大変失礼いたしました。

 

 

・ようりこの距離感

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「千歌ちゃん......」

「梨子ちゃんに頼むと止められちゃいそうだからって」

「ごめんね」

「ううん」  

 砂浜に見えた人影を見て不安に思い、志満姉に千歌の行動を確認してやって来た梨子。自室のベランダから千歌を追い掛けて来るのは1期8話とも重なりますが、今回は曜が来ていることも察して羽織りものを持ってきています。お互いそのことに触れる様子もなく、当然のように受け取る曜。

 「梨子ちゃんに頼むと止められちゃいそうだからって」は自分ではなく千歌のための弁解であり、「ごめんね」の言葉には「(梨子ちゃんも千歌ちゃんのことが心配なはずなのに、伝えなくて)ごめんね」が省略されていると推測され、梨子の「ううん」は敢えて言わずとも全て察しているという意味での相槌。短いやり取りの中にも曜と梨子の、いえ3人の信頼関係を伺い知ることができます。

 以上のことから察するに、千歌が梨子ではなく曜を見守り役に頼んだのは恐らく「千歌にとって曜の方が親しいから」ではないですよね。距離感ではなく関係性。

 

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 手の結び方が違う所、ドキッとしちゃいますよね。 曜ちゃんは千歌ちゃんに背中を預け、梨子ちゃんは千歌ちゃんと向き合う、という関係性の違いを表したカットかと。

「未来の僕らは知ってるよ」OP映像について考えてみた - あきの忘備録

1話で立てた仮説はちょっと違いましたね、千歌と曜はお互いに背中を預けあう関係でした。だからこそ千歌は曜に頼んだのですね。 

 

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 曜ちゃん推しとしてはずっとこのままの関係でいて欲しい気持ちがありますが、向かい合わなければホンキをぶつけあうことはできないんですよね......ノーガードで殴り合うようちか、見たくなし......

 

 

 ・果南の本心

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「千歌、約束して。明日の朝までにできなかったら諦めるって」

「よくやったよ千歌、もう限界でしょ?」

「果南ちゃん......」 

 

「2年前、自分が挑戦してたから尚更わかっちゃうのかな、難しさが」

ついに果南が自分から千歌と、正面から向き合って対峙する瞬間。果南の真後ろに向かって影が伸びており、「太陽=輝きと向き合う」構図になっていますね。

  この回想シーンで曜の口から果南が千歌に突きつけた条件が明かされます。果南は千歌の限界を勝手に決めつけるようなきつい物言いをしますが、本心は......

 

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「じゃあ、諦める?」

「諦めない!」

「なんでそんな言い方するの?」

「こう言ってあげた方が千歌ちゃん燃えるから」

 1期3話「ファーストステップ」より

 1期3話で「じゃあ、諦める?」とけしかけた曜と同じニュアンスだと思われます。果南は千歌なら自分に越えられなかった壁を越えてくれる、と期待していたはずですから。

 後のシーンでは千歌が唇を震わせて拳を握りしめているのも印象的で、負けず嫌いの千歌らしさが滲み出ています。「くやしくないの?」を彷彿とさせますね。

 

 

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 陽が沈む前に太陽に背を向ける果南。最後まで足掻こうとせずに諦めてしまっていた彼女を印象付けるようなシーン。

 

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  先ほどの千歌の背後からの引きの目線でのカットでは、果南は肩をすくませて意地を張っている様子が描かれていますが、この千歌目線の回想シーンでは果南は肩を落としています。これは千歌が果南の本心を理解しているという描写かと思われます。

 

 

・ようちかりこ

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「あと少しなんだけどな......」

「うん.......!!」

「あと少し......!!」

「「惜しい!!」」 

 食い入るようにして千歌を応援するふたりですが、阿吽の呼吸で顔を見合わせます。日常パートではなんだか会話が微妙に噛み合わないふたりですが、千歌のことになると途端に運命共同体みたいなシンクロを見せるんですよね。

 ここでまずふたりの気持ちがひとつになります。

 

 

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「どこがだめなんだろう、わたし」

 千歌が越えられずにいる無意識の壁は、自分自身を肯定するという壁。ずっと普通怪獣であることがコンプレックスであった彼女には、隣の芝ばかりが青く見えてしまっています。 

 砂浜に横たわり宙を仰ぐ千歌ですが、彼女の目線からはみんなが高い位置にいるように見えているんですよね。 

 

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でもそれは曜と梨子も同じで

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「輝き」と真っ直ぐに向き合って追い掛ける千歌の姿が、ふたりの目には「輝き」として映っています。

 

 

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「焦らないで。力を抜いて、練習通りに」

 「梨子ちゃん」

「できるよ、絶対できる」

これまでは千歌が壁にぶつかった時は、まず最初に梨子が手をとって助けとなっていましたね。だからこそ曜と梨子のふたりで千歌の手をとる展開は熱いです。曜ちゃん推しとしては、長年のライバルと共に手を取り合い強大な敵を倒すために立ち上がったヒーローの如き熱さを感じます。や、梨子ちゃんはライバルでも恋敵でもないですよ。友情ヨーソローだからね。(?)

 そんなことよりもこのシーン。リアタイ放送時の前枠で劇ラ!が放送されていた経緯もあり......

 

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「飛べるよ。いつだって飛べる。あの頃のように」

 劇場版ラブライブ!The School Idol Movieより

 このシーンを思い出させましたよね。「あ、これもしかしてイけるんじゃないか?」って期待させる流れでした。 

 

 

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めっちゃ良いシーンなんですけど、この絵だけ見ると梨子が「キマシタワー」って言ってるようにしか見えないですね?「見てるから」ってあなた。

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 1期8話「くやしくないの?」では曜が梨子に出遅れるような形になりましたが、あの時と同じ場所、同じ時間でふたりが足並みを揃えられたのは、あの話数のアンサー的な意味合いを感じます。

 

 

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 ......となれば当然、1年背組も合流しますよね。1期8話のメンバーが揃い、Aqoursの気持ちが千歌を中心にひとつになっていきます。

 

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「なああ!!できるパターンだろーこれー!!」

劇ラ!を見た後でのこのツッコミはズルかったですよね、リアタイ視聴者全員「それな!」って言ってたんじゃないですかね。ともあれ、奇跡のような出来事は起こりませんでした。

 

 

・普通怪獣とは

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「なんでだろ......なんでできないんだろう......」

「梨子ちゃんも、曜ちゃんも、みんなこんなに応援してくれてるのに」

 「いやだ......いやだよ!わたし、何もしてないのに!」

 「なにもできてないのに!!」

 果南から託された大技を完成させることができず、「なにもできてないのに!!」と涙をこらえる千歌。Aパートの屋上の練習シーンで言っていた「カタチにしたい」という言葉が想起されます。「なにもしてない」「なにもできてない」の「なにも」の部分に相当するものが何かを考えると、やはりカタチに囚われてしまっているのでしょう。 

 

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「ぴーーーどっかーん!」

「ずびびびびびー」

「普通怪獣よーそろーだぞー」 

「おーっと、好きにはさせぬーりこっぴーもいるぞー」

 1話とは違い梨子はここでは「普通怪獣」を名乗っていない上に、「好きにはさせぬ」ってヒーロー側の台詞を言っているんですよね。しかも光線を撃つ構えをしています。5話を経て「目には見えないチカラ」を信じられるようになった梨子だからこそ、「普通」の自分を受け入れた上で「目には見えないビーム」を撃っていることに説得力があります。

 曜は1期11話で「わたし......全然そんなことないんだけど、なんか要領良いって思われてる事が多くて、だから、そういう子と一緒にって、やりにくいのかなって…...」と鞠莉に打ち明けていたように、以前は自分も普通であると思っていたんですよね。他者から見ればスーパーヒーローの曜が、敢えて千歌の前で「普通怪獣よーそろー」を名乗ったのはそういうことだと思います。

 

 

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「まだ自分は普通だって思ってる?」

「普通怪獣ちかちーで、リーダーなのにみんなに助けられて、ここまで来たのに自分は何もできてないって。ちがう?」

「だって......そうでしょ?」

「千歌ちゃん、いまこうしていられるのは、誰のおかげ?」

「それは、学校のみんなでしょ、町の人たちに、曜ちゃん、梨子ちゃん、それに」

「いちばん大切な人を忘れてませんか?」

 このふたりの顔をご覧ください。「これだけ言ってるのに、お前まだこっちの好意に気付けてないの??おおん!?!?」みたいな表情してるの最高ですね。考えてもみてください、あのヘタレ曜ちゃんが「いちばん大切なひとを忘れてませんか?」って言ってるのは事実上の愛の告白ですよ。ぅうぅ......やっと言えるようになったじゃねぇか......渡辺......!!という気持ちで胸がいっぱいです。ヒナ鳥の巣立ちを見守る親鳥の心境です。ともあれ、脱線しましたがこれは逆友情ヨーソロー、つまり11話の意趣返しにあたるシーンですね。

 

 

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「いまのAqoursができたのは、誰のおかげ?」

「最初にやろうって言ったのは誰?」

「それは......」

「千歌ちゃんがいたから、私はスクールアイドルを始めた」

「私もそう、みんなだってそう」

「他の誰でも、いまのAqoursは作れなかった」

「千歌ちゃんがいたから、いまがあるんだよ」

「そのことは、忘れないで」

 Aqoursの「輝きへの扉」を開けた千歌。たったひとりで、自分だけの意思でスクールアイドルを始めて「0を1に」したのは千歌なんですよね。千歌の「過去」を肯定することで、千歌の「いま」をも肯定する曜と梨子。※3年生組は3人でいっしょに始めたと推測しています

 千歌はAqoursを作り上げる中で8人を必要とし、ありのままの姿を肯定してきました。しかし千歌はAqoursに求められて加入したわけではないんですよね。曜は千歌に誘われる前に自分からAqoursに加入していますが、1期11話で梨子と千歌によって自分自身の存在を肯定できるに至りました。その曜が、今度は千歌を肯定して救ってみせるんですよね。友情ヨーソローなんですよね。何回見てもくっそ泣けます。

 自らが作り上げたAqoursによって肯定される千歌、これもまたひとつの円環構造ですね。

 

 

・波が映した星の輝き遠いあこがれの色

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突如差し込まれる浜辺のカットですが、 波が映し出す「輝き」その光は星や月の輝きではなく......

 

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 街灯の灯でした。

 1期5話挿入歌『夢で夜空を照らしたい』には「波が映した星の輝き 遠いあこがれの色」という歌詞がありますが、Aqoursにとっての「輝き」は遠く手の届かないものではなく、人の手で作り出すことができるものに変わったことを表しています。

 

 

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「自分のことを普通だって思ってる人が、諦めずに挑み続ける」

「それができるって、すごいことよ!」

「すごい勇気が必要だと思う!」 

 「そんな千歌ちゃんだから、みんな頑張ろうって思える」

「Aqoursをやってみようって思えたんだよ! 

「恩返しなんて思わないで、みんなワクワクしてるんだよ」

「千歌ちゃんといっしょに、自分たちだけの輝きを見つけられるのを」

 Aqoursの加入順に千歌のもとに歩み寄るメンバーたち。

 自分自身を凡人であると認めること自体、そもそもつらいことですよね。誰だって自分は特別で優れた存在であると思いたいし、都合よくそう思い込んでいるうちは人は変われず、何者にもなれないものです。自分が普通であることを認められた千歌だったからこそ、Aqoursを立ち上げるという0からの1歩を踏み出すことができたのかもしれません。

信じてあげなよ 自分だけのチカラ

君が君であろうとしてるチカラ

『勇気はどこに?君の胸に!』より

 ED曲で2年生組が歌っているパートの歌詞が刺さりますね。 

 

 

・俺の背中を越えていけ 

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 善子が手を怪我していることに千歌は気付きますが、他のメンバーも長袖であるのと、全員がなんらかの形で腕を隠すようなポーズをしているのを見るに、これ全員が同じ練習をして同じ箇所に怪我をしている可能性がありますね。

 アニメでは大技を決めるのは千歌だけですが、アニメのAqoursが「完成」できなかったライブを現実のキャストが「完成」させる可能性が考えられます。毎度のごとく、3rd LIVEではキャストがアニメのAqoursを超えてくるはず。つまり、全員でバク転やるまであるのでは......

 

 

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「みんな......」

「新たなAqoursのWAVEだね!」

 後から来た鞠莉がさらっとタイトル回収するのは「お前そういうところあるよな......」って感じですが、1期8話の先に行くにはあの時と同じ6人ではなく、当然9人でなければならないので必然の全員集合。

 

 

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「千歌!!」

「時間だよ、準備はいい?」

 満を持して果南の登場です、あれだけぐちぐち言ってたのにボロッボロで登場してくるの控えめに言っても最高。もう細かいこと言う必要はありませんね。 

「俺の背中を越えていけ!!!!」

 

 

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「ありがとう、千歌......!!」 

「わたしたちのAqours」を完成させたかった果南。

自らの手でAqoursを終わらせた果南。

「誰か」を傷つけた過去から「届かないもの」に手を伸ばすことができなかった果南。

本心ではもう後悔しないよう、最後までやり切ったと思いたかった果南。

その全ての気持ちが詰まった、心からの「ありがとう」でしたね。

 

 果南は持ち前の挑戦心と、前向きで楽観的な性格で旧Aqoursを率いてきました。しかし自分と仲間を信じて無謀な前進を続けた結果、大切な人を傷付けた上に全てを失ってしまいました。その挫折がきっかけとなり、自分と仲間を信じることができなくなっていたのだと思います。

 対する千歌は自分が普通怪獣で無力だと思い込んでいたからこそ、「みんなはすごい」と仲間を信じ切ることができた。自分や仲間を信じたくても信じることができなかった果南は、そんな千歌だったからこそ自らの夢と未来を託したのだと思います。

 果南は自分たちの未来を託すことを「押し付ける」と捉えていましたが、千歌は果南ひとりのためだけに挑戦を決意したわけではないですよね。「Aqours」のために、延いては学校や町の人たちに恩返しをするために頑張りたいと千歌は話していました。ダイヤも果南を説得するシーンでは「生徒会長として」の立場から説得を試みていましたし、責任感の強い果南を納得させるためには、個人と個人の関係ではなく、より大きな運命の流れの中に彼女を投じる必要があったのかなと考えています。

 Aqoursだけでなく、学校や町の人たちの想いまで背負って進もうとした千歌だからこそ、鞠莉とダイヤも迷わず果南のノートを託せたのかもしれません。そんな大きな運命の流れを生み出す「Aqours WAVE」。

 

 

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 千歌が最後まで懸命に足掻き、他の仲間も居ても立ってもいられずボロボロになるまで練習に励み、果南も奇跡を信じて未来と向き合うことができるようになった。9人の想いがひとつになりましたね。でもそれだけではAqoursはライブを成功させることはできなかったでしょう。

 千歌が自分自身を肯定できるようになったことで、初めて千歌とAqoursは運命の流れを変えられるチカラを手に入れたのだと思います。ともあれ、このシーンで大技が決まったのかどうかは、朝陽が登ったことを見れば陽を見るより明らかですね(?) 

 

 

 ・「MIRACLE WAVE」

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「くやしくないの?」と「友情ヨーソロー」 のアンサーが含められたBパートでしたから、曜と梨子が掌を合わせるこのシーンは最高です。神に感謝。(ここの動き作画やばい)

 

 

 

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 1話では腕立て伏せすらままならなかった花丸がこの動きをキメてるのがめちゃめちゃエモいですね。

 

 果南ちゃんらしいアイディアであったと友人のおたむさんが教えてくれましたが、浦ラジの第84回ではあいきゃんが「ドルフィンわたしが提案したって知ってるか?」という意味深な発言(アニメに登場する振り付けにキャストが噛んでるのは初なのでは?ということはロンダートからのバク転もあんちゃん発信だった可能性まである)に続き、「みんな、膝にアザ作ろうぜ!」という発言まで飛び出したので......

 

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ルビィが膝やっちゃってるのってそういうことか......ってなりますよね。

 

 

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悔しくて じっとしてられない
そんな気持ちだった みんなきっと
わかるんだね 

の歌詞で全員傷だらけになってる描写が入るのズルいですよね、こんなの絶対エモいに決まってるじゃないですか!!!!

 

 

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バク転の前のカットで松浦のこの表情アップ差し込んでくるの天才でしょ。好き。

 

 

 

 

 

 

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前逆宙返り3回半抱え型!!!!

 

はい。最高。

スーパーヒーローである曜ちゃんの必殺技に憧れていたであろう千歌ちゃんが、初めて自分だけの最強必殺技を手に入れた瞬間!!!!

 

 

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1話のラストシーンの高い鉄棒での逆上がりは「輝き」を背負って廃校という逆境を覆そうとするAqoursを象徴する最高のやつですが、バク転は自力で天地を引っくり返すという、自力で奇跡を起こそうとしているAqoursを象徴するようなアクションですね。最高か!!!!!!

 

 

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圧倒的サンライズ感。

この技は千歌ひとりのチカラで生まれたものじゃなく、9人の合体技なんだぜ!! とでも言っているようなカット。アイドルアニメのノリじゃない演出をぶち込んでくる感じ、控えめに言わずとも熱くて最高。

 

 

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おい・・・

 

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そういうのズルいでしょ・・・

 

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あっ

 

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えっ

 

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あっ・・・

 

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や、

 

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やば

 

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あ・・・

 

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ライブ終わっちゃった......

 

 

 

 

 

 

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「今日ここで、この9人で歌えたことが本当に嬉しいよ」

「わたしたちだけの輝き」

「それが何なのか、どんなカタチをしているのか」

「わたしたち9人が見たこと、ココロを動かされたこと、目指したいこと」

「その素直な気持ちのなかに」

 

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「輝きはきっとある」

 

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「みんな 信じてくれて」

 

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「ありがとう!」 

 

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......曲後の台詞、高海千歌じゃなくて、なんか伊波杏樹みたいでしたね......。 

 

 

 

 

 

・6話総括

①Aqoursの技術面と精神面の壁

 入学希望者を集めるためのラストチャンスがラブライブ地区予選であり、地区予選を勝ち抜くための「圧倒的なパフォーマンス」という技術面と、「輝き」という精神面のふたつの課題がAqoursに突き付けられました。その壁を乗り越えるべく、2年前のAqoursが完成させることが叶わなかった「Aqoursのカタチ」を目指して、技術面と精神面の成長を描く話数であったように思います。

②機能としての必殺技

 歌とライブシーンでその両方に決着をつけるという痛快な展開はいかにもラブライブらしく、また物語の中での「必殺技」が脚本の構成上においても「必殺技」として機能するという二重構造はとてもよくできていましたね。

③劇場版ラブライブ!

 この話数に登場する「スクールアイドルの先人たち」の存在を印象付けるためか、リアルタイム放送時にBS11の前枠で「スクールアイドルの先人たち」の物語である劇場版ラブライブを放送していたことも、この話数での無印ラブライブに対するリスペクトを感じさせるシーンや演出に対する布石として非常に効果的であったと感じました。

④意趣返し盛り合わせ

 全13話の中では折り返し地点にあたる話数でしたが、1期8話「くやしくないの?」9話「未熟DREAMER」11話「友情ヨーソロー」に出てきたエピソードの反復や意趣返し、またアンサーが多分に含まれた回でしたが、どの要素も過不足なく丁寧に描かれたものであったため無理に詰め込まれている感がなく、会話のやりとりもよく精査され無駄が削ぎ落とされていたように思います。

⑤2,3年生回

 この話数では大きく分けて2,3年生組から見た果南と、2年生組と果南から見た千歌のふたつの視点で物語が展開していたと思いますが、終始遠慮なくホンキをぶつけ合うシーンが続く重めな回でした。対照的に1年生組がコミカルなシーンを担当していたため直接的に物語に関わっていない分、次回では1年生組の出番が多くなるのではないかと推測しています。

⑥奇跡の在り方とは

 2期では「奇跡」や「運命」など人によって捉え方の違う概念を9人で共有していく、というなんだか小難しいことになっていますが、今回は果南が自身の「運命」と対峙する話数でした。

 「奇跡」とは現実が自分の想像を超えた時にそう感じられるものであり、自分が作った想像という枠内の現実にいるうちは絶対に起こらないものです。果南が「絶対にできない」と思い込むことで作り上げてしまった現実という枠組みを、千歌が意思のチカラで飛び越えたこと。それ自体が果南にとっては自分の現実を超えた「奇跡」だったのではないでしょうか。

 だからこそ果南にとって「絶対に無理」であり「手の届かない輝き」であった大技を、千歌ができると信じて挑戦し続けたこと自体が果南からすれば自分の現実を変えた出来事であったはずです。砂浜でのラストシーンで、バク転を決める前に果南が「ありがとう」と言ったのは、そういうことだったのではないかな。という結論で私は落とし所としたい所存であります。

⑦総括の総括

 こんなに長々と書いてまで何が言いたかったかって、要するに6話めっちゃ良かった。 

 

 

 

7話「残された時間」はサクッと手抜きで書きます......ルビィちゃんかわいい......

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