「Aqours WAVE」を振り返ってみる話
あきのです(*> ᴗ •*)ゞ
ラブライブ!サンシャイン!!2期6話「Aqours WAVE」いかがでしたか。私はもう終始嗚咽が止まらずで。ぶちのめされましたよ。
この素晴らしい回を文字に起こしたら陳腐になってしまいそうで、恐れ多くもありますが......感じた事、思った事を整理する意味で書き記してみます。
- ・ラグナロク
- ・ラブライブ運営はクソ
- ・わたしたちのAqoursを完成させたい
- ・圧倒的なパフォーマンスとは
- ・Aqoursのカタチ
- ・いまのAqoursなら必ず成功する
- ・曜、梨子、果南、と千歌の関係
- ・テンポの違和感
- ・ようりこの距離感
- ・果南の本心
- ・ようちかりこ
- ・普通怪獣とは
- ・波が映した星の輝き遠いあこがれの色
- ・俺の背中を越えていけ
- ・「MIRACLE WAVE」
- ・6話総括
・ラグナロク
「見たことあるずら」
「ここは...前回ラグナロクが行われた約束の場所」
「私たちが突破できなかった、地区大会!」
「リベンジだね!」
うっひょ〜〜これまたワルそうな表情してますね!!ここに来て緊張の表情を見せる千歌を鼓舞する曜ですが、これ1期9話で果南が鞠莉に言ったあの台詞と同じですね。
「リベンジだとか負けられないとかじゃなく、ちゃんと言ってよ!!」
素直な気持ちを伝えられなかった鞠莉が本意ではなく果南に言ったしまった言葉だけに、曜ちゃん推しとしては不穏な展開の伏線なのでは......と勘ぐってしまいました。
ちなみに善子は地方予選のことを「ラグナロク」と表現していますが、これはつまり「神々の黄昏」終末の日のことですね。彼女にとっての最重要議決事項(?)であることがわかります。
「うん!」
答える千歌の声にも力が入ります、表情に余裕がないですね。4話冒頭での自信たっぷりな、確信に満ちた表情との違いが印象的です。入学希望者を集めるタイムリミットと地区予選まで時間がないにも関わらず、Aqoursが目指すべきカタチが見えていない事への焦りと気負いが感じられます。
「そう。今日現在、入学希望者は57人」
「そんな......この1ヶ月で10人も増えていないと言うのですか!?」
「鞠莉のお父さんに言われた期限まで、あと1ヶ月もないよね」
「ラブライブ地区予選大会が行われる日の夜、そこまでに100人を突破しなければ......」
時は既に11月後半〜12月、なんと1ヶ月以内に入学希望者を43人も集めなければならないことが判明します。 地区予選大会の日と入学希望者を集めるリミットは同じ日であるようです。
現実的に考えるとあまりに厳しい状況であり、千歌の表情や果南の態度にも説明がつきます。
諦めたかのような表情を見せる果南の背後には、「思いやり」「解決方法」「仲間と一緒に活動」「チームワーク」「リーダーシップとは」などの標語が貼られています。これはAqoursのグループに対する問題提起のようであり、果南自身の内面に渦巻く行き場のない気持ちを表しているようでもあるキーワードですね。
・ラブライブ運営はクソ
OP明けの練習シーンでは、鞠莉がとるカウントのテンポが以前より早くなっており、Aqoursがより高いダンスレベルを目指していることがわかります。また、ラブライブの全国大会出場が期待されるチームを紹介する記事にも
「年々、ダンス技術や観客を魅了するパフォーマンスが格段にレベルアップしているスクールアイドル達!」
という触れ込みが書かれており、いまのラブライブを勝ち抜くための要素として「高いダンス技術」「観客を魅了するパフォーマンス」を備えていることが大前提であることが明示されています。
「前回は地区大会で涙を飲んだAqoursだが、今大会予備予選の内容は全国大会出場者に引けを取らない見事なパフォーマンスだった。今後の成長に期待したい」
「期待......」
予備予選からの更なる成長を期待されるAqours。成長したパフォーマンスを見せなければ地区予選を勝ち上がれないであろうことが予想されます。
また、1期7話では「期待されるってどんな気持ちなんだろうね?」と梨子に話していた千歌ですが、初めて学校や沼津の人たち以外からの、つまり外部からの期待を受けていることを知ります。表情に決意の色を浮かべる千歌。
千歌とは対照的に「造作もないことです!」と言ってのけるヨハネとリトルデーモン・リリーが頼もしいですね。なんと言っても梨子が未来に対して確信的に、ポジティブな態度をとっている所に成長を感じます。これが堕天の力なのか。
※「人間」にとってはチョキもピースも同じ形ですが、ヨハネにとっては違うのですね。彼女が「ヨハネチョキ」と「ヨハネピース」を使い分けている所にも、昔から運が悪かった故に自らを堕天使とした経緯が表れているようです。
他のメンバーがドン引きしてるのめっちゃ良いですね、ここ最高です。5話「犬を拾う。」でふたりの間に起こった出来事を誰も知らないわけですから、完全にふたりだけの秘密を共有する仲になっているわけですね。秘密の共有から来る親密性。あまり大きな声で言いたくありませんが、これはさすがに百合の香りがします。くんかくんか。すーはー。すーはー。
「今回の地区大会は、会場とネットの投票で決勝進出者を決めるって」
「よかったじゃん、結果出るまで何日も待つより」
「そんな簡単な話ではありませんわ」
「会場には、出場グループの学校の生徒が応援に来ているのよ」
「ネット投票もあるとはいえ、生徒数が多い方が有利」
衝撃の事実が発覚。ラブライブ運営クソですね、ガバガバじゃないですか!!
名古屋ガイシホールのキャパがMAX10000人として、浦の星の全校生徒+保護者各位を含めて100人程度と仮定します...会場での最低得票率は1%ですね。仮に沼津の人が200人来たとしても3%ですね。となると、やはりネットでの得票を勝ち取るしかありません。配信される映像で見栄えが良いようなダンスパフォーマンスが必要であろうことが推測されます。
・わたしたちのAqoursを完成させたい
「わたし、あの頃の気持ちと変わってないよ」
「今回はわたくしも鞠莉さんに賛成ですわ。学校の存続のために、やれることは全てやる。それが生徒会長としての義務だと思っていますので」
「それにこれが、ラストチャンスですわ」
5話から果南が抱えていたノートの正体は、2年前のAqoursが地区予選を勝ち抜くための秘策が記されたものでした。しかし果南は頑なにこの案を棄てようとします。
ダイヤが「生徒会長として」の立場から発言しているのは、これは2年前のように3人だけの問題ではなく9人、延いては学校全体の問題に関わってくるからという理由でしょう。2年前とは立場も状況も違う、というダイヤらしい大人の目線からの説得。
「わたし、あの頃の気持ちと変わってないよ」 という鞠莉の台詞から思い返されるのは、1期7話でのダイヤとの会話シーンですね。
「ダイヤも期待してるんじゃない?私達の乗り越えられなかった壁を、乗り越えてくれることを 」
「もし越えられなかったらどうなるか…十分知っているでしょう? 」
「避けるわけにはいかないの。本気でスクールアイドルとして、学校を救おうと考えているなら 」
「変わっていませんわね。あの頃と 」
1期7話「TOKYO」より
2年前のAqoursに乗り越えられなかった壁が何だったのか、その真相がついに明かされました。1期7話で鞠莉からダイヤに向けられた言葉が単なる挑発ではなく、ダイヤの本心を見抜いた上でのものだったことがわかります。そしてその気持ちは変わっていない。ふたりはいまの9人のAqoursなら、千歌ならば2年前に乗り越えられなかった壁を越えてくれると期待していました。
「でも、できることじゃない......これはできないこと」
「そんなことはない、あの時ももう少しだった。もう少しで」
「でもできなかった。それどころか鞠莉の足まで.......」
「あの怪我はわたしがいけなかったの、果南に追いつきたいって頑張りすぎたせいで」
「そうですわ、それに今は9人。わたくしたちだけではありませんわ」
「だめ......だめだよ、届かないものに手を伸ばそうとして、そのせいで誰かを傷つけて、それを千歌たちに押し付けるなんて」
「こんなの......!!」
ついに明かされる2年前のAqoursに起こった事件の真相。
「わたしは学校は救いたい。けど、Saint Snowのふたりみたいには思えない。あのふたり、なんか1年の頃の私みたいで」
1期12話「はばたきのとき」より
1期12話で果南がこのように話していたことからも、年々上がっていく競技ラブライブとしての技術レベルの高さに対抗するため、ハードな練習や難易度の高い技に挑戦していたであろうことが推測されます。
2年前のAqoursでは果南がAqoursのリーダーをつとめていたと思われ、勝つことにこだわるあまり鞠莉に無理をさせてしまい、怪我をさせてしまったことがわかります。
果南は1期8話の桟橋でのシーンでも「誰かが傷つく前に」と鞠莉を傷つけてしまった過去に囚われている描写がありましたね。
HAPPY PARTY TRAINのMVの世界での果南は、自らの過去に立ち返り、過去の自分との出会い直しを経て現在の自己を肯定するに至りました。しかしアニメの世界の果南は、鞠莉との和解を経て新たなAqoursのメンバーとして再出発は果たすも、内面的には未だ過去に囚われトラウマを引きずったままだったのです。
果南は自身の無謀な挑戦に大切な人を巻き込み、傷つけてしまった過去に囚われていました。自分の意思が誰かを傷つけることを恐れるあまり、自分たちの可能性に蓋をして限界を自分で決めてしまいます。しかしそれは大切な人を想うがゆえ。果南にとっては、学校よりもラブライブよりも、何よりも仲間のことが一番大切であることの裏返しなのです。
「こんなの......!!」
ノートを夜の海に投げ捨てようとする果南。 しかし彼女が本当に投げ捨ててしまいたかったのは、ノートでもなく、ダンスパフォーマンスのアイディアでもなく、未熟だった自分自身の過ち。誰よりも過去に囚われていた彼女だからこそ、自らを縛り続けてきた過去の象徴であるノートを手放し、全てを無かったことにしたかったのかもしれません。
一寸の迷いもなくノートを追って冬の海に身を投げ出す鞠莉。
1期9話では2年前のスクールアイドル衣装が校舎から投げ出されてしまいましたが、今度は絶対に手放さないという鞠莉の意思が自然と彼女を動かしたのでしょう。
果南が「これをできないこと」と言って投げ捨てたノートを、「手が届かないもの」ではなく「手が届くもの」に変えた鞠莉。
その鞠莉に手を差し伸べて海から引っ張り上げたのは、昔から「どこか雲の上のような存在」であったダイヤ。1期9話で鞠莉に手を差し伸べ、過去のすれ違いから救い出したのもダイヤ。
「わたし、あの頃の気持ちと変わってないよ」
「今回はわたくしも鞠莉さんに賛成ですわ」
という先ほどの台詞にも表れているように、ふたりの気持ちと関係はずっと変わっていないのです。1期9話と同じくずぶ濡れになる鞠莉ですが、今回は果南は手を差し伸べるどころか一歩も動くことすらできません。本来であれば迷わず果南が後を追って海に飛び込んでもおかしくないシーンでしたが、それができなかったのは彼女がまだ過去に囚われており、未来に向かっているふたりとは違う世界にいることの表れだと思われます。
「否定しないで、あの頃のことを。」
「わたしにとっては、とても大切な思い出。だからこそやり遂げたい」
「あの時夢見た、わたしたちのAqoursを完成させたい」
果南のノート(過去)を捨てようとする行為は、自分たちの過去を否定することを意味します。しかし鞠莉はそれをよしとしません。だからこそ「届かないものに手を伸ばそうと」したのですね。鞠莉は「自分たちの過去」を肯定することで、「果南の過去と今」を「自分たちの未来」に繋げようとしたのだと思います。
「私は諦めない!必ず取り戻すの!あの時を」
「果南とダイヤと失ったあの時を!」
「私にとって、宝物だったあの時を…...」
1期8話「くやしくないの?」より
実は1期でも鞠莉は果南に同様の気持ちを伝えていますが、このシーンでは「取り戻す」ではなく「あの時夢見た、わたしたちのAqoursを完成させたい」という部分に、鞠莉が更なる一歩を踏み出そうとしていることが伺えます。
1期9話では2年前のAqoursには完成させられなかった「未熟DREAMER」を歌うことで、ひとつの形として過去を「取り戻す」という希望が叶いました。鞠莉はそこから更に一歩を踏み出し、「取り戻した過去=あの時」の先の未来である「わたしたちのAqoursを完成」を望みます。
3人では完成させられなかった「Aqoursのカタチ」をこの9人で完成させたいという希望、そして「だからこそやり遂げたい」という言葉。
「ただ私は、後悔しないようにするだけ。これが最後のラブライブだしね。」
「最後…」
「ダイヤと鞠莉と3人でここで曲作って、その思いが繋がって、偶然が重なってここまできたんだもん。やり切ったって思いたい」
2期5話「犬を拾う。」より
これは前話の果南の台詞と、言葉は違っても本質的には同じことを言っています。果南は過去に囚われるあまり自分の本心を認められずにいますが、本当の気持ちは最初から鞠莉やダイヤと同じだったんですね。
「ここでやめたら後悔するよ!絶対できる!」
1期9話「未熟DREAMER」より
「私の知っている果南はどんな失敗をしても、笑顔で次に走りだしていた。成功するまで諦めなかった」
1期9話「未熟DREAMER」より
松浦果南という人物の過去を掘り下げてみれば、彼女の本来の姿は「ポジティブなチャレンジャー」であったはずです。そして彼女の魅力のひとつである「優しくて面倒見のよい」「友達想い」な部分もまた、松浦果南という人物の本質なのです。
つまり、彼女は決して「ネガティブで保守的な」性格になってしまったのではなく、「優しくて友達想いな一面」と「持ち前の頑固さ」の裏返しだったのではないかと。ゆえに鞠莉とダイヤに対しても、自分自身に対しても頑なな態度をとり続けていたかな、と想像しています。
・圧倒的なパフォーマンスとは
「ぬんぬんぬんぬんぬんぬんぬんぬんぬん......向いた!」
シリアスシーンからの転換でリリーが「見えない力」を繰り出してくるのめちゃ良いですね。
「確かに不利ですね、圧倒的なパフォーマンスを見せて、生徒数のハンデを逆転するしかない」
「ですよね......でも、圧倒的って......」
「それはうまさだけではないと思います。むしろ今の出演者の多くは、先輩たちに引けを取らない歌とダンスのレベルにある。」
「ですが、肩を並べたとは誰も思ってはいません。ラブライブが始まって、その人気をかたち作った先駆者たちの輝き。決して手の届かない光。」
聖良に相談を持ちかける千歌ですが、ここまで技術面でのパフォーマンスを進化を模索してきたAqoursに「それだけではない」というアドバイスを受けます。強さを追求し、本気で勝ちたい、という姿勢を見せてきたSaint Snowが言うだけに説得力がありますし、彼女たちもまた成長しているのだと伺い知ることができるシーンでした。
「先駆者たちの輝き=決して手の届かない光」であると表現する聖良。2期1話の「輝きって、どこから来るんだろう」という千歌の問いのその先と向き合うことになります。
この話数のリアルタイム放送時、前枠で「先駆者たちの輝き」の始まりの物語である『劇場版ラブライブ!The School Idol Movie』が放送されていたこともあり、聖良の言葉にまた重さが付加されましたね。(サンシャインからラブライブに入った視聴者にも世界観や演出の意図を伝えるという意味で、あまりにも効果的でした。運営ぐう有能)
・Aqoursのカタチ
「Aqoursらしさ?」
「わたしたちだけの道を歩くって、どういうことなんだろう」
「わたしたちの輝きってなんだろう」
「それを見つけることが大切だって、ラブライブに出てわかったのに」
「それがなんなのか、まだ言葉にできない。まだカタチになってない」
「だから、カタチにしたい、カタチに」
聖良からの言葉を受けた千歌はAqoursのリーダーとして「輝き」と向き合うことで、「Aqoursの輝き方」が何であるのかという壁に突き当たります。
これまでの千歌にとって「輝き」とは、「わたしがわたしに問い掛けてきた」ものであり、あくまで内的で抽象的な概念でした。千歌が「輝き」について8人に問い掛けたのは恐らくこれが初めてであり、彼女の意識が外へ外へと向いていることが伺えます。
このシーンですが、梨子だけがずっと体勢を変えることなく固まったまま千歌の話を聞いているんですよね。
三度に渡って千歌の口から飛び出す「カタチ」という言葉を聞いて、この表情です。
「目には見えないチカラ」というカタチのないものを信じようとしてきた梨子にとって、頑なにカタチを求めようとする千歌の言葉はどう響いたのでしょうか。
「このタイミングでこんな話が千歌さんから出るなんて、運命ですわ」
「!?」
「あれ、話しますわね」
「えっ......でもあれは......」
ダイヤと鞠莉は決意を固めた表情ですが、断固とした口調で話すダイヤの口から初めて、「運命」という言葉が出てきます。果南を説得するために敢えて強い言葉を使ったという理由もあるかもしれませんが、ダイヤが「目には見えないチカラ」「想いが引き寄せる必然」という意味合いで「運命」というものを信じているのは大事な出来事であるように思います。
思い返せば2期1話でも、校庭に集まった9人の中で最初に「キセキを!」と口に出したのはダイヤでしたね。1期9話のラストシーンではダイヤが砂浜に書いた「Aqours」の文字を、千歌たちが見つけたことが「Aqours」の再結成に繋がった経緯もあり、彼女の過去には「運命」を信じるに足る確固たる理由があるように思います。(ダイヤがセンターをつとめる楽曲である『GALAXY HidE and SeeK』の歌詞にも「運命」という言葉が登場していましたね)
「フォーメーション?」
「フォーリンエンジェルズ?」
「ズラ?」
「ラ......ラ......ラ......?」
「しりとりじゃないから」
このシーン謎ですよね。真剣な場面で善子が堕天使を繰り出して花丸が止めに入る、という流れが定番でしたがここではルビィが堕天使ネタでボケています。善子に至ってはヨハネですらなく、普通に善子としてズレたこと言ってますし、そこに梨子が突っ込む...... 3年生組+千歌と、それ以外のメンバーとの間での認識のズレを強調して描いているのでしょうか。
ここは後半の山場での緊迫したシーンを引き立てる意味と、全体のバランスを考慮してシリアスな印象を抑えるため、意図的に差し込まれたゆるいシーンかと思われます。
「いまそこまでしてやる意味があるの?」
「なんで?果南ちゃん、いまそこまでしなくていつするの?」
「最初に約束したよね、精一杯足掻こうよ、ラブライブはすぐそこなんだよ!」
「今こそ足掻いて、やれることは全部やりたいんだよ!」
「でも、これはセンターをつとめる人の負担が大きいの」
「あの時はわたしだったけど、千歌にできるの?」
このシーンで流れている劇伴は『夢と現実の狭間』。優しく情緒的なメロディーに包まれてマイルドにはなっていますが、このシーンのふたりのやり取り自体は相当にホンキをぶつけ合っています。千歌と果南の衝突は1期9話以来ですが、現リーダーと旧リーダーとしての立場での衝突はこれが初めてですね。現リーダーをつとめる千歌も、この時点では果南からすれば妹のような存在であり、守るべき対象のようです。
ふたりに共通しているのは、Aqoursが置かれている現状が土壇場であり、勝てる可能性が非常に低いであろうという認識。
「大丈夫。やるよ、わたし。」
「千歌......」
一度は背を向けて千歌を振り切ろうとする果南ですが、強引に引き寄せられて向き合わされます。若干の既視感。無印1期13話の空港のシーンでことりを連れ戻そうとする穂乃花の姿を思い出すような、そんな確固たる意思を感じました。
「あのノートを渡しましょう、果南さん」
「いまのAqoursをBreak Throughするためには、必ず越えなくちゃならないWallがありま〜す」
「いまがその時かもしれませんわね」
「いまがその時かもしれませんわね」でダイヤと鞠莉が同時に1,2年生を見るんですよね、ここ最高です。このふたりには2年前のAqoursには越えられなかった壁が、「いまのAqours」ならば越えられるという期待と信頼があるんですね。
「言っとくけど」
「危ないと判断したら、私はラブライブを棄権してでも千歌を止めるからね」
このシーンもめちゃくちゃ好きです。果南にとってラブライブよりも仲間の方が大事であるということを、千歌に面と向かって伝えてくれたのがすごい嬉しかったんですよね。2年前は鞠莉の怪我を気遣い、黙ってライブを放棄した果南でした。あの頃から仲間想いの果南らしさが変わっていないことも嬉しかったですし、今度は面と向かってそれを伝えていることに彼女の成長を感じました。
・いまのAqoursなら必ず成功する
「心配?」
「やっぱり、こうなっちゃうんだなって」
「あれ、やりたかったね。わたしたちで」
「それなら、なんで千歌たちにやらせるの?まるで押し付けるみたいに」
「千歌っちならできるって信じてるから」
「今のAqoursなら、必ず成功する。果南だって信じてるんでしょ?」
帰宅しても練習を続ける千歌に、それを見越して様子を見に現れるふたり。「やっぱり、こうなっちゃうんだなって」という果南の言葉には、「果南に追いつきたいって頑張りすぎたせいで」と話していた、2年前の鞠莉の姿にいまの千歌の姿が重なっているようでした。「あれ、やりたかったね。わたしたちで」と果南の気持ちも代弁するかのように話す鞠莉がいじらしいですね。
「今のAqoursなら必ず成功する」と未来への確信めいた希望を口にする鞠莉ですが、彼女は1期から一貫して未来を信じ続けていますね。鞠莉が千歌に対して絶対的な信頼を寄せている根拠が私にはわかりませんが、やっぱりスピリチュアルの系譜ですかね......(思考放棄)
マットの向こう側にはノートが。「届かないものに手を伸ばそうとする」構図になっています。この構図が6話ラストの砂浜でのシーンに効いてきますね。
「いちばん最初にここで歌った時に思ったの。みんながいなければ何もできなかったって。」
「ラブライブ地区大会の時も、この前の予備予選の時も、みんながいっしょだから頑張れた。」
「学校のみんなにも町の人たちにも助けてもらって」
「だから、ひとつくらい恩返ししたい」
Aqoursのメンバーに「助けてもらって」支えられて練習しているシーンでこの台詞です。千歌本人は気付いていないようですが、他のメンバーは千歌を見上げる構図になっています。
・曜、梨子、果南、と千歌の関係
「じゃあとめたら?」
「あたしが言うより、ふたりが言った方が千歌、聞くと思うよ」
「嫌なの?」
「言ったじゃない、気持ちはわかるって」
「うん」
これまでの果南は先輩として高い目線から後輩たちと接してきましたが、このシーンではふたりと同じ目線で、対等な立場で言い合いをしていますね。落ち着いたトーンでの会話ですが、文字に起こすと相当バチバチしたやり取りになっています。
「千歌ちゃん、普通怪獣だったんです」
「怪獣?」
「普通怪獣ちかちー」
「なんでも普通で、いつもキラキラ輝いてる光を、遠くから眺めてて、本当はすごいチカラがあるのに」
「自分は普通だって、いつも一歩引いて」
「だから自分のチカラでなんとかしたいって思ってる」
「ただ見ているんじゃなくて、自分の手で」
そう話す曜と梨子のふたりの目には、千歌が「キラキラ輝いてる光」として映っています。ふたりにとっての千歌は最初から尊敬の対象であり、全くもって普通怪獣などではなかったんですね。
果南と幼馴染の千歌は果南の背中を見て育ってきましたが、このシーンでは千歌の背中を今度は果南が見つめる側になっています。果南の目には「手の届かない輝き」を掴もうと足掻く千歌の姿が「輝き」として映ったのですね。
甘えん坊だったはずの千歌は、いつの間にか果南にとって「守るべき存在」ではなく、Aqoursのリーダーとして、ひとりの人間として逞しく成長していました。そんな千歌の姿を見て、果南は千歌に自分の本当の望みを託す決意をします。2年前に自分たちが成し遂げることができなかった「わたしたちのAqoursを完成させる」ために。
※これは少年漫画などで主人公が、自己のアイデンティティを確立するに至る通過儀礼であり、通称「親越え」「兄貴越え」「師匠越え」と呼ばれる王道展開ですね。私はこの熱い展開が大好物です。
・テンポの違和感
「千歌」
「果南......ちゃん......?」
思い立ったように千歌に歩み寄り「何か」を伝えようとするシーン。ここからの流れが個人的に気になります。普通のアニメであればここでAパートが終わり、Bパートで果南が千歌に何を伝えたのかが明かされるのが一般的な展開ですよね。ですが前半後半の区切りはここで付けられていません。
千歌の表情のアップのカットからシームレスに陽が沈むシーンに切り替わり、そして夜が訪れます。
「果南は何を言ったんだろう?」と思わせてAパート終了でも、太陽が沈む絵を見せてからAパート終了でも良かったはずです。そこで敢えて区切らずにシームレスに夜の千歌の練習シーンに繋いだのは、物語全体のテンポ感よりも千歌のエモーショナルを優先して描きたかったからではないかと推測しています。6話の絵コンテは酒井監督が担当されていますし。
11月17日追記:6話絵コンテ担当は渡邊哲哉さんであるとのご指摘を頂きました、大変失礼いたしました。
・ようりこの距離感
「千歌ちゃん......」
「梨子ちゃんに頼むと止められちゃいそうだからって」
「ごめんね」
「ううん」
砂浜に見えた人影を見て不安に思い、志満姉に千歌の行動を確認してやって来た梨子。自室のベランダから千歌を追い掛けて来るのは1期8話とも重なりますが、今回は曜が来ていることも察して羽織りものを持ってきています。お互いそのことに触れる様子もなく、当然のように受け取る曜。
「梨子ちゃんに頼むと止められちゃいそうだからって」は自分ではなく千歌のための弁解であり、「ごめんね」の言葉には「(梨子ちゃんも千歌ちゃんのことが心配なはずなのに、伝えなくて)ごめんね」が省略されていると推測され、梨子の「ううん」は敢えて言わずとも全て察しているという意味での相槌。短いやり取りの中にも曜と梨子の、いえ3人の信頼関係を伺い知ることができます。
以上のことから察するに、千歌が梨子ではなく曜を見守り役に頼んだのは恐らく「千歌にとって曜の方が親しいから」ではないですよね。距離感ではなく関係性。
手の結び方が違う所、ドキッとしちゃいますよね。 曜ちゃんは千歌ちゃんに背中を預け、梨子ちゃんは千歌ちゃんと向き合う、という関係性の違いを表したカットかと。
「未来の僕らは知ってるよ」OP映像について考えてみた - あきの忘備録
1話で立てた仮説はちょっと違いましたね、千歌と曜はお互いに背中を預けあう関係でした。だからこそ千歌は曜に頼んだのですね。
曜ちゃん推しとしてはずっとこのままの関係でいて欲しい気持ちがありますが、向かい合わなければホンキをぶつけあうことはできないんですよね......ノーガードで殴り合うようちか、見たくなし......
・果南の本心
「千歌、約束して。明日の朝までにできなかったら諦めるって」
「よくやったよ千歌、もう限界でしょ?」
「果南ちゃん......」
「2年前、自分が挑戦してたから尚更わかっちゃうのかな、難しさが」
ついに果南が自分から千歌と、正面から向き合って対峙する瞬間。果南の真後ろに向かって影が伸びており、「太陽=輝きと向き合う」構図になっていますね。
この回想シーンで曜の口から果南が千歌に突きつけた条件が明かされます。果南は千歌の限界を勝手に決めつけるようなきつい物言いをしますが、本心は......
「じゃあ、諦める?」
「諦めない!」
「なんでそんな言い方するの?」
「こう言ってあげた方が千歌ちゃん燃えるから」
1期3話「ファーストステップ」より
1期3話で「じゃあ、諦める?」とけしかけた曜と同じニュアンスだと思われます。果南は千歌なら自分に越えられなかった壁を越えてくれる、と期待していたはずですから。
後のシーンでは千歌が唇を震わせて拳を握りしめているのも印象的で、負けず嫌いの千歌らしさが滲み出ています。「くやしくないの?」を彷彿とさせますね。
陽が沈む前に太陽に背を向ける果南。最後まで足掻こうとせずに諦めてしまっていた彼女を印象付けるようなシーン。
先ほどの千歌の背後からの引きの目線でのカットでは、果南は肩をすくませて意地を張っている様子が描かれていますが、この千歌目線の回想シーンでは果南は肩を落としています。これは千歌が果南の本心を理解しているという描写かと思われます。
・ようちかりこ
「あと少しなんだけどな......」
「うん.......!!」
「あと少し......!!」
「「惜しい!!」」
食い入るようにして千歌を応援するふたりですが、阿吽の呼吸で顔を見合わせます。日常パートではなんだか会話が微妙に噛み合わないふたりですが、千歌のことになると途端に運命共同体みたいなシンクロを見せるんですよね。
ここでまずふたりの気持ちがひとつになります。
「どこがだめなんだろう、わたし」
千歌が越えられずにいる無意識の壁は、自分自身を肯定するという壁。ずっと普通怪獣であることがコンプレックスであった彼女には、隣の芝ばかりが青く見えてしまっています。
砂浜に横たわり宙を仰ぐ千歌ですが、彼女の目線からはみんなが高い位置にいるように見えているんですよね。
でもそれは曜と梨子も同じで
「輝き」と真っ直ぐに向き合って追い掛ける千歌の姿が、ふたりの目には「輝き」として映っています。
「焦らないで。力を抜いて、練習通りに」
「梨子ちゃん」
「できるよ、絶対できる」
これまでは千歌が壁にぶつかった時は、まず最初に梨子が手をとって助けとなっていましたね。だからこそ曜と梨子のふたりで千歌の手をとる展開は熱いです。曜ちゃん推しとしては、長年のライバルと共に手を取り合い強大な敵を倒すために立ち上がったヒーローの如き熱さを感じます。や、梨子ちゃんはライバルでも恋敵でもないですよ。友情ヨーソローだからね。(?)
そんなことよりもこのシーン。リアタイ放送時の前枠で劇ラ!が放送されていた経緯もあり......
「飛べるよ。いつだって飛べる。あの頃のように」
劇場版ラブライブ!The School Idol Movieより
このシーンを思い出させましたよね。「あ、これもしかしてイけるんじゃないか?」って期待させる流れでした。
めっちゃ良いシーンなんですけど、この絵だけ見ると梨子が「キマシタワー」って言ってるようにしか見えないですね?「見てるから」ってあなた。
1期8話「くやしくないの?」では曜が梨子に出遅れるような形になりましたが、あの時と同じ場所、同じ時間でふたりが足並みを揃えられたのは、あの話数のアンサー的な意味合いを感じます。
......となれば当然、1年背組も合流しますよね。1期8話のメンバーが揃い、Aqoursの気持ちが千歌を中心にひとつになっていきます。
「なああ!!できるパターンだろーこれー!!」
劇ラ!を見た後でのこのツッコミはズルかったですよね、リアタイ視聴者全員「それな!」って言ってたんじゃないですかね。ともあれ、奇跡のような出来事は起こりませんでした。
・普通怪獣とは
「なんでだろ......なんでできないんだろう......」
「梨子ちゃんも、曜ちゃんも、みんなこんなに応援してくれてるのに」
「いやだ......いやだよ!わたし、何もしてないのに!」
「なにもできてないのに!!」
果南から託された大技を完成させることができず、「なにもできてないのに!!」と涙をこらえる千歌。Aパートの屋上の練習シーンで言っていた「カタチにしたい」という言葉が想起されます。「なにもしてない」「なにもできてない」の「なにも」の部分に相当するものが何かを考えると、やはりカタチに囚われてしまっているのでしょう。
「ぴーーーどっかーん!」
「ずびびびびびー」
「普通怪獣よーそろーだぞー」
「おーっと、好きにはさせぬーりこっぴーもいるぞー」
1話とは違い梨子はここでは「普通怪獣」を名乗っていない上に、「好きにはさせぬ」ってヒーロー側の台詞を言っているんですよね。しかも光線を撃つ構えをしています。5話を経て「目には見えないチカラ」を信じられるようになった梨子だからこそ、「普通」の自分を受け入れた上で「目には見えないビーム」を撃っていることに説得力があります。
曜は1期11話で「わたし......全然そんなことないんだけど、なんか要領良いって思われてる事が多くて、だから、そういう子と一緒にって、やりにくいのかなって…...」と鞠莉に打ち明けていたように、以前は自分も普通であると思っていたんですよね。他者から見ればスーパーヒーローの曜が、敢えて千歌の前で「普通怪獣よーそろー」を名乗ったのはそういうことだと思います。
「まだ自分は普通だって思ってる?」
「普通怪獣ちかちーで、リーダーなのにみんなに助けられて、ここまで来たのに自分は何もできてないって。ちがう?」
「だって......そうでしょ?」
「千歌ちゃん、いまこうしていられるのは、誰のおかげ?」
「それは、学校のみんなでしょ、町の人たちに、曜ちゃん、梨子ちゃん、それに」
「いちばん大切な人を忘れてませんか?」
このふたりの顔をご覧ください。「これだけ言ってるのに、お前まだこっちの好意に気付けてないの??おおん!?!?」みたいな表情してるの最高ですね。考えてもみてください、あのヘタレ曜ちゃんが「いちばん大切なひとを忘れてませんか?」って言ってるのは事実上の愛の告白ですよ。ぅうぅ......やっと言えるようになったじゃねぇか......渡辺......!!という気持ちで胸がいっぱいです。ヒナ鳥の巣立ちを見守る親鳥の心境です。ともあれ、脱線しましたがこれは逆友情ヨーソロー、つまり11話の意趣返しにあたるシーンですね。
「いまのAqoursができたのは、誰のおかげ?」
「最初にやろうって言ったのは誰?」
「それは......」
「千歌ちゃんがいたから、私はスクールアイドルを始めた」
「私もそう、みんなだってそう」
「他の誰でも、いまのAqoursは作れなかった」
「千歌ちゃんがいたから、いまがあるんだよ」
「そのことは、忘れないで」
Aqoursの「輝きへの扉」を開けた千歌。たったひとりで、自分だけの意思でスクールアイドルを始めて「0を1に」したのは千歌なんですよね。千歌の「過去」を肯定することで、千歌の「いま」をも肯定する曜と梨子。※3年生組は3人でいっしょに始めたと推測しています
千歌はAqoursを作り上げる中で8人を必要とし、ありのままの姿を肯定してきました。しかし千歌はAqoursに求められて加入したわけではないんですよね。曜は千歌に誘われる前に自分からAqoursに加入していますが、1期11話で梨子と千歌によって自分自身の存在を肯定できるに至りました。その曜が、今度は千歌を肯定して救ってみせるんですよね。友情ヨーソローなんですよね。何回見てもくっそ泣けます。
自らが作り上げたAqoursによって肯定される千歌、これもまたひとつの円環構造ですね。
・波が映した星の輝き遠いあこがれの色
突如差し込まれる浜辺のカットですが、 波が映し出す「輝き」その光は星や月の輝きではなく......
街灯の灯でした。
1期5話挿入歌『夢で夜空を照らしたい』には「波が映した星の輝き 遠いあこがれの色」という歌詞がありますが、Aqoursにとっての「輝き」は遠く手の届かないものではなく、人の手で作り出すことができるものに変わったことを表しています。
「自分のことを普通だって思ってる人が、諦めずに挑み続ける」
「それができるって、すごいことよ!」
「すごい勇気が必要だと思う!」
「そんな千歌ちゃんだから、みんな頑張ろうって思える」
「Aqoursをやってみようって思えたんだよ!
「恩返しなんて思わないで、みんなワクワクしてるんだよ」
「千歌ちゃんといっしょに、自分たちだけの輝きを見つけられるのを」
Aqoursの加入順に千歌のもとに歩み寄るメンバーたち。
自分自身を凡人であると認めること自体、そもそもつらいことですよね。誰だって自分は特別で優れた存在であると思いたいし、都合よくそう思い込んでいるうちは人は変われず、何者にもなれないものです。自分が普通であることを認められた千歌だったからこそ、Aqoursを立ち上げるという0からの1歩を踏み出すことができたのかもしれません。
信じてあげなよ 自分だけのチカラ
君が君であろうとしてるチカラ
『勇気はどこに?君の胸に!』より
ED曲で2年生組が歌っているパートの歌詞が刺さりますね。
・俺の背中を越えていけ
善子が手を怪我していることに千歌は気付きますが、他のメンバーも長袖であるのと、全員がなんらかの形で腕を隠すようなポーズをしているのを見るに、これ全員が同じ練習をして同じ箇所に怪我をしている可能性がありますね。
アニメでは大技を決めるのは千歌だけですが、アニメのAqoursが「完成」できなかったライブを現実のキャストが「完成」させる可能性が考えられます。毎度のごとく、3rd LIVEではキャストがアニメのAqoursを超えてくるはず。つまり、全員でバク転やるまであるのでは......
「みんな......」
「新たなAqoursのWAVEだね!」
後から来た鞠莉がさらっとタイトル回収するのは「お前そういうところあるよな......」って感じですが、1期8話の先に行くにはあの時と同じ6人ではなく、当然9人でなければならないので必然の全員集合。
「千歌!!」
「時間だよ、準備はいい?」
満を持して果南の登場です、あれだけぐちぐち言ってたのにボロッボロで登場してくるの控えめに言っても最高。もう細かいこと言う必要はありませんね。
「俺の背中を越えていけ!!!!」
「ありがとう、千歌......!!」
「わたしたちのAqours」を完成させたかった果南。
自らの手でAqoursを終わらせた果南。
「誰か」を傷つけた過去から「届かないもの」に手を伸ばすことができなかった果南。
本心ではもう後悔しないよう、最後までやり切ったと思いたかった果南。
その全ての気持ちが詰まった、心からの「ありがとう」でしたね。
果南は持ち前の挑戦心と、前向きで楽観的な性格で旧Aqoursを率いてきました。しかし自分と仲間を信じて無謀な前進を続けた結果、大切な人を傷付けた上に全てを失ってしまいました。その挫折がきっかけとなり、自分と仲間を信じることができなくなっていたのだと思います。
対する千歌は自分が普通怪獣で無力だと思い込んでいたからこそ、「みんなはすごい」と仲間を信じ切ることができた。自分や仲間を信じたくても信じることができなかった果南は、そんな千歌だったからこそ自らの夢と未来を託したのだと思います。
果南は自分たちの未来を託すことを「押し付ける」と捉えていましたが、千歌は果南ひとりのためだけに挑戦を決意したわけではないですよね。「Aqours」のために、延いては学校や町の人たちに恩返しをするために頑張りたいと千歌は話していました。ダイヤも果南を説得するシーンでは「生徒会長として」の立場から説得を試みていましたし、責任感の強い果南を納得させるためには、個人と個人の関係ではなく、より大きな運命の流れの中に彼女を投じる必要があったのかなと考えています。
Aqoursだけでなく、学校や町の人たちの想いまで背負って進もうとした千歌だからこそ、鞠莉とダイヤも迷わず果南のノートを託せたのかもしれません。そんな大きな運命の流れを生み出す「Aqours WAVE」。
千歌が最後まで懸命に足掻き、他の仲間も居ても立ってもいられずボロボロになるまで練習に励み、果南も奇跡を信じて未来と向き合うことができるようになった。9人の想いがひとつになりましたね。でもそれだけではAqoursはライブを成功させることはできなかったでしょう。
千歌が自分自身を肯定できるようになったことで、初めて千歌とAqoursは運命の流れを変えられるチカラを手に入れたのだと思います。ともあれ、このシーンで大技が決まったのかどうかは、朝陽が登ったことを見れば陽を見るより明らかですね(?)
・「MIRACLE WAVE」
「くやしくないの?」と「友情ヨーソロー」 のアンサーが含められたBパートでしたから、曜と梨子が掌を合わせるこのシーンは最高です。神に感謝。(ここの動き作画やばい)
1話では腕立て伏せすらままならなかった花丸がこの動きをキメてるのがめちゃめちゃエモいですね。
ちなみにこれ土下座とか言われてますが
— おたむ (@0tamsan) 2017年11月11日
「ドルフィン」
という名称のダンス技です🐬#lovelive_sunshine pic.twitter.com/ESnQuvuYpE
果南ちゃんらしいアイディアであったと友人のおたむさんが教えてくれましたが、浦ラジの第84回ではあいきゃんが「ドルフィンわたしが提案したって知ってるか?」という意味深な発言(アニメに登場する振り付けにキャストが噛んでるのは初なのでは?ということはロンダートからのバク転もあんちゃん発信だった可能性まである)に続き、「みんな、膝にアザ作ろうぜ!」という発言まで飛び出したので......
ルビィが膝やっちゃってるのってそういうことか......ってなりますよね。
悔しくて じっとしてられない
そんな気持ちだった みんなきっと
わかるんだね
の歌詞で全員傷だらけになってる描写が入るのズルいですよね、こんなの絶対エモいに決まってるじゃないですか!!!!
バク転の前のカットで松浦のこの表情アップ差し込んでくるの天才でしょ。好き。
前逆宙返り3回半抱え型!!!!
はい。最高。
スーパーヒーローである曜ちゃんの必殺技に憧れていたであろう千歌ちゃんが、初めて自分だけの最強必殺技を手に入れた瞬間!!!!
1話のラストシーンの高い鉄棒での逆上がりは「輝き」を背負って廃校という逆境を覆そうとするAqoursを象徴する最高のやつですが、バク転は自力で天地を引っくり返すという、自力で奇跡を起こそうとしているAqoursを象徴するようなアクションですね。最高か!!!!!!
圧倒的サンライズ感。
この技は千歌ひとりのチカラで生まれたものじゃなく、9人の合体技なんだぜ!! とでも言っているようなカット。アイドルアニメのノリじゃない演出をぶち込んでくる感じ、控えめに言わずとも熱くて最高。
おい・・・
そういうのズルいでしょ・・・
あっ
えっ
あっ・・・
や、
やば
あ・・・
ライブ終わっちゃった......
「今日ここで、この9人で歌えたことが本当に嬉しいよ」
「わたしたちだけの輝き」
「それが何なのか、どんなカタチをしているのか」
「わたしたち9人が見たこと、ココロを動かされたこと、目指したいこと」
「その素直な気持ちのなかに」
「輝きはきっとある」
「みんな 信じてくれて」
「ありがとう!」
......曲後の台詞、高海千歌じゃなくて、なんか伊波杏樹みたいでしたね......。
・6話総括
①Aqoursの技術面と精神面の壁
入学希望者を集めるためのラストチャンスがラブライブ地区予選であり、地区予選を勝ち抜くための「圧倒的なパフォーマンス」という技術面と、「輝き」という精神面のふたつの課題がAqoursに突き付けられました。その壁を乗り越えるべく、2年前のAqoursが完成させることが叶わなかった「Aqoursのカタチ」を目指して、技術面と精神面の成長を描く話数であったように思います。
②機能としての必殺技
歌とライブシーンでその両方に決着をつけるという痛快な展開はいかにもラブライブらしく、また物語の中での「必殺技」が脚本の構成上においても「必殺技」として機能するという二重構造はとてもよくできていましたね。
③劇場版ラブライブ!
この話数に登場する「スクールアイドルの先人たち」の存在を印象付けるためか、リアルタイム放送時にBS11の前枠で「スクールアイドルの先人たち」の物語である劇場版ラブライブを放送していたことも、この話数での無印ラブライブに対するリスペクトを感じさせるシーンや演出に対する布石として非常に効果的であったと感じました。
④意趣返し盛り合わせ
全13話の中では折り返し地点にあたる話数でしたが、1期8話「くやしくないの?」9話「未熟DREAMER」11話「友情ヨーソロー」に出てきたエピソードの反復や意趣返し、またアンサーが多分に含まれた回でしたが、どの要素も過不足なく丁寧に描かれたものであったため無理に詰め込まれている感がなく、会話のやりとりもよく精査され無駄が削ぎ落とされていたように思います。
⑤2,3年生回
この話数では大きく分けて2,3年生組から見た果南と、2年生組と果南から見た千歌のふたつの視点で物語が展開していたと思いますが、終始遠慮なくホンキをぶつけ合うシーンが続く重めな回でした。対照的に1年生組がコミカルなシーンを担当していたため直接的に物語に関わっていない分、次回では1年生組の出番が多くなるのではないかと推測しています。
⑥奇跡の在り方とは
2期では「奇跡」や「運命」など人によって捉え方の違う概念を9人で共有していく、というなんだか小難しいことになっていますが、今回は果南が自身の「運命」と対峙する話数でした。
「奇跡」とは現実が自分の想像を超えた時にそう感じられるものであり、自分が作った想像という枠内の現実にいるうちは絶対に起こらないものです。果南が「絶対にできない」と思い込むことで作り上げてしまった現実という枠組みを、千歌が意思のチカラで飛び越えたこと。それ自体が果南にとっては自分の現実を超えた「奇跡」だったのではないでしょうか。
だからこそ果南にとって「絶対に無理」であり「手の届かない輝き」であった大技を、千歌ができると信じて挑戦し続けたこと自体が果南からすれば自分の現実を変えた出来事であったはずです。砂浜でのラストシーンで、バク転を決める前に果南が「ありがとう」と言ったのは、そういうことだったのではないかな。という結論で私は落とし所としたい所存であります。
⑦総括の総括
こんなに長々と書いてまで何が言いたかったかって、要するに6話めっちゃ良かった。
7話「残された時間」はサクッと手抜きで書きます......ルビィちゃんかわいい......