あきの忘備録

あきのの外部記憶装置

ブラックダイスのDVDを観てみた話

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あきのです。

人生初の「舞台」というものに触れて衝撃を受けて早5ヶ月。

あの日の新鮮な感動を忘れないうちに、文字として書き起こしておきたい。という気持ちだけで立ち上げた「あきの忘備録」でしたが、ようやく忘備録としての役目を果たす時が来ました。

 

akino-oniku.hatenablog.com

 

それまで外部ブログで長文を書くことなど、考えもしていなかった私でした。面倒臭がりで、能動的に行動することなど一切して来なかった私に、ブログを立ち上げさせるほどの衝動を与えたこの作品。

人生観にすら影響を与えるほど凄まじいパワーを持ったこの舞台に、並々ならぬ思い入れがありました。

ただ、もう一度あの世界に触れたい。咲子に、ブルジョーネの人達に、詐欺師に、あの人達に会いたい。その一心で待ち焦がれたDVDの発売。ようやくです。

 

待ち侘びていたブラックダイスのDVDが届き、早速鑑賞してみました。

 

 

 

私が観劇したのは4月21日(金)、伊波杏樹さん主演のA公演。

フォロワーさんから聞いた話では、翌日の土曜日のA公演にカメラが入っていたらしいのですが

 どうやらそれで合っていたようです(たぶん)

 

 

5ヶ月前に初めて舞台なるものを体験した際の所感は、「なんと・・・舞台とはなんと素晴らしいものか!ステージ上で生身の人間によって生み出される物語、舞台とはまさに生き物であるのだ・・・!!

といった月並みなものでしたが、実際に自分が観劇した日とは別日の舞台をDVDで観てみると

 

「は・・・??なんだこれ全然違うんだが??」

と、また違う衝撃を受けまして。

 

当然ながら、現地で生身で体感した舞台と、カメラのアングルで切り取られて画面越しに見る舞台とでは比較にはならないでしょう。

だからこそ、ステージと客席という同じ空間を共有できる場での体感がどれほど素晴らしいか、ということも身を持って実感したわけですが。

しかしながら、ここで感じたものはそれとは全く違うもので

 

役者さんの演技が、全然、違うんです。

 

台詞の早さ、声のトーン、掛け合いの間、身のこなし、表情芝居、その全てが織りなす表現。

そして何よりも、感情表現。

 

現地での体感があまりに衝撃的な体験だったので、5ヶ月前の舞台の情景はかなり鮮明に記憶しているはずです。(あきの忘備録をようやく活用できました)

ですので、画面の中で同じストーリー、同じ台詞が紡がれていくのを観ていく中で「やっぱり、全然違う」という確信が見れば見るほど深まっていきました。

 

 

ブラックダイスはどのキャラクターも人間味に溢れた魅力があり、またそれを演じる役者さんも皆素晴らしく、役の魅力を引き出していました。

実際に台本を読んだ上で台詞を照らし合わせてみると、舞台上ではまるで全く違う物語であるかのように感じるほどに。登場人物が生き生きとその個性を溢れさせていました。

どのキャストの演技も光るものがあり、全員を大好きになるようなお芝居だったと思います。

 

 

それでも、敢えて言うと、主演の伊波杏樹さんの演技は、凄まじかった。

 

感情の入り具合が日によって違う、ということは人間なので当たり前のことだと思います。ですが、彼女のそれは "感情の入り具合が違う" というより、"違う感情が入っている" と思わせるほどの演技。

まるで伊波さんに憑依した咲子という人格が、伊波杏樹という人格の意思を超えてステージ上に顕現したかのようでした。

 

咲子は物語の後半に至るまで自身の感情を露わにするシーンはあまりなく、どちらかと言うと感情が抑圧されたお芝居がメインだったと思います。

そして最後の最後で咲子が自身の喜びの感情を解放するシーンは、彼女の感情の振れ幅が役者の演技に委ねられ、物語のイメージそのものを左右する重要なシーンでした。

 

 

同じストーリー、同じ台詞で構成されたステージであっても、同じ舞台は無い。

そのことの本質は、役者さんの演じる芝居に込められた "感情" にあったのだと気付きました。

 

 

同じ台詞のやり取りをしても、その中で同じ感情が生まれるとは限らない。

公演が回を重ねる中でも、演者の中で役柄に変化があり、感情が変わることもある。

 

 

完璧に役柄を固めた上で、常にブレずに、物語が求める人物像を演じ切る。演技のプロとして、そういった完璧さは必要なものであろうと想像します。主演の脇を固める登場人物が公演の度にブレていては舞台は成立しないでしょうから。

そして主演がWキャストであり毎回演じる人が交代となっていたこの舞台は、主演以外の実力のあるキャストがガッチリと脇を固め、安定したチームワークを発揮していたからこそ良い舞台として成り立っていたのではないか、と思いました。

 

たったの一度しか舞台を見た事がない人間が、わかったような事を言うのもアレかな、と思ったんですけど。感じた事を素直に書きたかったので許してね。

 

 

 

 

ブラックダイス、伊波さんの好演が光る素晴らしい舞台でした。

しかしそれだけでなく、全ての役者さん、ストーリー、ステージ演出、音楽、全てが本当に良かった。

本当に、もっと多くの人にこの舞台に触れて欲しい。そう思います。

 

 

 

FLYING TRIP主催の次の舞台が気になるし、伊波さんの主演もまた観たい。

ブラックダイスはDVDの再販もあるし、なんだったら再演も期待したい。

 

 

 

咲子に会いたい。また、桜舞う季節に。