あきの忘備録

あきのの外部記憶装置

「HAKODATE」をメタ的に読み解いてみた話

あきのです(*> ᴗ •*)ゞ

 

 ラブライブ!サンシャイン!!2期8話「HAKODATE」、とんでもない神回でしたね。30分に満たないアニメーションの中で、体感1時間分ぐらいのドラマが繰り広げられていたように感じました。

 更にその上でラブライブ作品では初となる、二話で完結するストーリー。実質劇場版並のボリュームが予想されます。これまでの全てのエピソードが一話完結で独立したストーリー構成になっていたことを踏まえても、この8〜9話における気合いの入れ様と比重の高さを感じます。

 間違いなく壮大なスペクタクルが待っているであろう、9話の布石にあたる回となる8話。現時点で考察を試みることは茶番かもしれませんが、9話への期待の意味も含めて思うことを書き残しておこうかと思います。

 

 今回はおふざけは少なめになりそうですが、どうかお付き合い下さいませ。

 

 

 

 

 

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「ここ......どこ......??」

 

 待って、言わないで。わかってる。

 

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「雪め!!あまいわ!!」

 

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「善子ちゃん!?」

 

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「避けるべし!!」

 

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「避けるべし!!」

 

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 「避けるべし!!」 

 

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「避けるべし!!!!」

 

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  ヽ(・ω・)/ ズコー
 \(\ ノ
、ハ,,、 ̄
 ̄″

 

 寒い場所ほど熱い炎のステップ ってことですかね、堕天使の謎の動き。

 

 遠ざかるほど光る一番星。

 8話は、そんなスクールアイドルに恋するスクールアイドルたちのお話です。

 

 

 

 

 

・スクールアイドルという偶像f:id:akino_oniku:20171126181733p:plain

「なんだか眠くなって......」

「わたしも......」

「だめだよ、寝たら死んじゃうよ、寝ちゃだめ」

「これは夢だよ、夢......」

 ドラマCDのアレを彷彿とさせるやり取りですが、終始浮かれた様子のAqours。これはつまり、夢に見た熱い蜃気楼なのさ。

 無印ラブライブのスノハレ回を彷彿とさせる冒頭かと思いきや、劇場版のオマージュを感じさせるアバンでした。予備予選、地区予選共にぶっちぎりのトップ通過を果たし、ゲストとして北海道地区予選に招かれたAqours。自分たちを取り巻く環境が激変したことに浮かれて戸惑う様子は、劇場版のμ'sを彷彿とさせます。

 「普通の女子高生」ではなく「スクールアイドル」としての「偶像」が自分たちの知らないところで一人歩きを始める、つまり「蜃気楼」なんですね。現実のAqoursのファンミーティングツアー札幌公演と放送時期が被っていることを踏まえても、「偶像」と「実像」をクロスオーバーさせようという意図を感じます。

 

 

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 チェキの撮影を求められるAqours。雑誌のプレゼント応募でチェキ写真を求める「おまえら」の隠喩でしょうか。ファンとしてオタク丸出しな彼女たちですが、ステージの上ではキラキラと輝いて大歓声を浴びていましたね。「おまえら」も輝けるぞ!というメッセージとして受け取るかどうかはあなた次第。

 

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 ファンサービスで快く応える曜ちゃん、神対応ですね。俺も神対応されたい。

 

 

・スクールアイドルとしての変化

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 7話では「善子ちゃんの滑り芸にみんな期待してるずら」と花丸ちゃんが言っていましたが、滑り芸(物理)はさすがに草です。しかもアバンからの天丼。

 善子だけローファーを履いていましたが、ルビィにたしなめられて雪用ブーツに履き替えています。これは外的環境に応じて「変化」を受け入れていくAqoursを表しているようであり、また新しい道を新しい在り方で進もうとするAqoursのメタファーのようでもあります。

 

 

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 ちょぼらうみょぽみ先生みたいな?おもしろ作画になってしまうAqours。「変化」を受け容れることをメタ的に視聴者にも強いてくるこのアニメ、さすがです。やることがぶっ飛んでます。残念ながらこの話数の曜ちゃんは、弁解のしようがないほど終始アホの子と化してしまっていますが、かわいいから良しとします。私も「変化」を受け入れましょう。

 花丸ちゃんに至っては「変化」と言うよりは「アーマード進化」みたいな変貌を遂げていますが、花丸推しの方にはマジで申し訳ないけど盛大に笑いました。

 

 

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 この写真で曜が左手で敬礼してるのを「変化」と解釈するのは間違いで、これは左右反転してる自撮りにいちいち突っ込みを入れるなという、オタクへのメタ的な批判ですね(嘘です)

 劇場版のラストシーンへのオマージュの意味もあるかもしれませんが、本意はおそらく彼女たちの背後にある、Saint Snowのプロフィールと学校の名前にあります。Saint SnowもまたAqoursと同じように、学校の名前と期待を背負ってラブライブに出場しているんですよね。1枚の写真の中に3つのスクールアイドルが映っていますが、背負っているものはきっとみんな同じ、ということを表しているのだと思います。

 Aqoursはラブライブで優勝することで浦女の名前を永遠に残そうとしていますが、では地区予選敗退となったSaint Snowの輝きは消えてしまうものなのでしょうか?深読みすると、9話へと繋がる問題提起を感じます。

 

 

・スクールアイドルとして背負ったもの 

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 「ものすごい差し入れずら」ですが、Saint Snowに寄せられている期待度の高さと、それに伴う大きな重圧が端的に表されています。姉・聖良は出番前でありながらAqoursの楽屋訪問を毅然とした態度で出迎えますが、彼女には姉としての立場だけでなく、前回大会で8位入賞を果たしたプライド、由緒正しき名門校の名前を背負っていることの自負など、様々なプレッシャーを背負った上で「ちゃんとした」姿を見せているのだということが想像されます。

 

 

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「それにもう、皆さんは何をしても動揺したりしない」

どういう意味ですの?」

 本番を目前にしての場外乱闘、楽屋でdisり合いのMCバトルが繰り広げられます。ラップを得意とするSaint Snowですが、すかさず負けじと韻を踏んで返すおねぃちゃぁが姉としての威厳を示します。ルビィはポカーンとしてますけど、そこは「おねぃちゃんしゅごい!」って言う場面ですよ。

 

 

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「あの時は失礼なことを言いました。お詫び申し上げます」

 Aqoursの実力を認めた上で、かつての非礼を詫びて深々と頭を下げる聖良。あまりに潔くてかっこ良すぎます。妹の非礼も含めて頭を下げているのでしょうが......。自らの非を素直に認めた上で握手を求め決勝での再開と健闘を誓う彼女の姿は、余裕を見せ付けているようでありつつ、自らを鼓舞しているかのようにも映りました。

 

 

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「千歌ちゃん」

「ここは受けて立つところデェス」

「そうそう」

 出たーーーー!!体育会系の人種特有のノリ!!!!

 っていうかあなたたち、一応話聞いてたのね......

 

 

・感情に嘘がないということ(メタ視点①) 

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「観客席から観ることで、ステージ上の自分たちがどう見えているのか」

 初めて観客席側の目線で立つAqoursですが、この目線は私たちがライブ会場で目にした光景と重なり合うものであり、

 

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「これがラブライブなんだね」

「一度ミスをすると、立ち直るのは本当に難しい」

という台詞は、私たちの目線に立った梨子が口にすることで、真に現実味を伴った強い意味を持つものになりました。このシーンで私たちは現実に存在するAqoursの、1st LIVE 2日目の「想いよひとつになれ」を思い出したはずです。

 そしてこの台詞をアフレコのマイク前で口にした逢田さんの声には、桜内梨子の声でありながら、逢田さんの生身の経験から生まれた本物の感情が乗ったはずです。

 更にこの台詞には、「ラブライブ!サンシャイン!!」の製作陣からキャストのAqoursへのエールが込められていると思います。だからこそ、逢田さんがミスを乗り越えた勇気とその功績を肯定するような台詞を梨子に言わせたのだと思いますし、あの出来事の後のMCで伊波さんから放たれた「これがライブですよ!生ですから!」という言葉を踏襲するような台詞を曜に言わせたのでしょう。

 

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「あれじゃあ動揺して歌えるわけないよ......」

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  私たちはSaint Snowのライブを生で見た経験を誰一人として持っていません。しかし、この瞬間を目撃した彼女たちの感情を知っています。

 

 嘘偽りなく、あなた自身の生身の記憶から感情が溢れ出したはずです。

 

 アニメの物語を受けて生まれた感情も、もちろん嘘ではなく本物です。しかし100%の感情を超えて更なる情動を上乗せしたのは、あなた自身が経験した感情と記憶。通常のアニメ作品では100%までしか感じるはずがない感情が、100%の限界を超えてあなたを襲ったはずです。それを偶然ではなく意図して作っている「ラブライブ!サンシャイン!!」という作品。改めて言いますが頭おかしい。(最上級の大絶賛)

 

 

"感情に嘘がない"というのは『ラブライブ!』の本質だと思うんです。人間が持つ根元の動機は、絶対"真実"じゃなくてはいけない。千歌たちが想う欲と伊波さんたちの願いは同じじゃないといけないって。それをフィルムに焼きつけて観てもらうというのが、μ'sのころからずっと続いている、この作品の魅力だと思ってます。

ラブライブ!サンシャイン!!TVアニメオフィシャルBOOKより引用  酒井和男監督

 

 

 

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 本戦進出グループの壮行会を控え室で待つと言っていたにも関わらず、誰にも告げずに先に帰ってしまったSaint Snow。律儀で誠実な彼女たちらしくないですよね。妹を気遣った聖良の判断なのでしょうが、あまりに多くのものを背負ってきた彼女たちが、「Saint Snowとしての矜持」を守れないほどに茫然自失してしまったのかもしれません。

 妹や周囲の前で気落ちした姿を見せないようにする聖良の行動は、廃校が決定した後のダイヤちゃんの気丈な姿を思い起こさせるものでした。

 

 

 ・☆

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 誰よりも優しく、姉想いのルビィだからこそ気付けた、等身大の理亞の気持ち。姉を想うが故のプレッシャー。誰よりも近い距離にいるからこそ素直に伝えられない気持ち。

 

 

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 函館の五稜郭タワーの頂上から見下ろすと、美しい雪景色の中に浮かび上がる星形の五稜郭の全貌が眼前に広がります。

 

 

 遠ざかるほど光る一番星。

 

 

 聖良とダイヤ、ふたりの姉が願うのは妹の「姉離れ」

 妹が自立して自分だけの脚で歩いて行った先で、自分だけの輝きを見つけて欲しい。そんな「遠ざかるほど光る一番星」への美しい願いが象徴されたシーンでした。

 

 

・沼津と函館の繋がり

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「なんか落ち着くねここ」

「内浦と同じ空気を感じる」 

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「そっか、海が目の前にあって潮の香りがする街で、坂の上にある学校で」

「繋がってないようで、どこかで繋がってるものね」 

 ここはもう直球でオマージュですね、劇場版のNYの摩天楼を見下ろすシーンでNYとアキバの街が似ていることに気付くシーンと重なります。坂の上から海へ展望するカットはラストシーンで効いてくるので、その布石として印象付けるために敢えて印象的な台詞を使ったのかもしれません。

 

 

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 あぁ、曜ちゃんがどんどんアホの子になっていく......でもそんな曜ちゃんも好き.......

 

 

 ・鹿角家と黒澤家

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 鹿角家の玄関に設置されたテーブルに置かれたノート。聖地巡礼で沼津に足を運んだことがある人なら、誰もが目にしたことのある光景ですね。Saint Snowの活動が地域に根ざしているものであること、地元の方々の応援を受けているであろうことが想像されます。

 

 

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 『SELF CONTROL』のステージ衣装に身を包んだSaint Snowの写真と並べて飾られているのは、スノードームのような置物。スクールアイドルの大会で手にした栄光、輝きの象徴でしょうか。「輝き」が閉じ込められたモチーフは、手の届かない過去になってしまった「輝き」をイメージさせます。

 

 

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 邂逅、それは「おたがいの願いが呼んだ出会い」なのかもしれません。写真と置物が飾られていたのは理亞の部屋でした。

 

 

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 雪に彩られた石畳の美しい街並み。分岐路の右側の道の空には雲がかかっており、左側の道の向こうには青空が覗いています。そして道路標識は見えず、パーキングの標識が見えるのみ。この先スクールアイドルを続けるか否か、その分岐路で立ち止まっている理亞ちゃんの心情をストレートに表した絵のように見えます。しかし未来への分岐路に立たされているのは、当然彼女だけではありませんね。

 

 

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「私も理亞も、ここが大好きで。」

「大人になったら、ふたりでこの店を継いで暮らしていきたいねって」

 「そうなんだ......」

 歴史の長いお家に生まれ、やがてはその家業を継ぐ道を選んだ聖良。ルビィはその姿を自分の姉と重ねて見たでしょう。不遜な態度をとる理亞ですが、 聖良は突然のAqoursの来訪にも動揺した様子を見せず持てなします。出来の良い姉と、不肖の妹。

 

 

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「いい!!だからもう関係ないから。ラブライブも、スクールアイドルも!!」

 Saint Snowはもう終わりと言い放つ理亞の姿。ルビィの目にはかつての自分や姉の姿とも重なったかもしれません。ここでスクールアイドルとしての活動を終わりにするのか、否か。その分岐路に立たされる構図は劇場版ラブライブそのもの。

 

 

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「結局ステージのミスって、ステージで取り返すしかないんだよね......」

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 果南が自らの「過去」の経験から得た教訓を語る裏で、理亞が「過去」の失敗を後悔し続けるシーンが描かれている対比が鮮やかで哀しい。「だからもう関係ないから」なんて言葉は嘘に決まっているんですよね。

 

 

・黒澤姉妹 

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 店を飛び出したルビィを追いかけて行った先で、対角線上に背中合わせで座るダイヤ。敢えて表情が見えない位置に座る姉の気遣いですよね......ダイヤはルビィをたしなめるかのように優しい言葉をかけますが...... 

 

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 それは「ダイヤ」ではなく「姉」としての立場から掛けられた言葉であり、彼女が本心にブレーキをかけて言葉を紡いでいることにルビィは気付きます。

 

 

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 ルビィが勇気を振り絞って一歩を踏み出すのは、いつだって自分以外の誰かを想って行動するときです。 

 

 

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もういらないよ胸のブレーキは

見つめあうために生まれた二人になってく

 

 

 

 

・ベッドシーン(メタ視点②) 

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いや、無理でしょ

いろんな意味で無理でしょこのシーン

 1期3話「ファーストステップ」の初めてのライブで、雨の中駆けつけてくれた美渡姉の姿を見て「泣きそうになったもん」と語る千歌。"もうひとつのAqours"の初めてのライブでステージに立った伊波さんが、会場を埋め尽くす観客を見て涙したエピソードと重ならないわけがないじゃないですか。

 このシーンの千歌の台詞も、千歌の声に伊波さん自身の過去から生まれた感情が乗ってるんですよね。無理でしょこんなの。

 

 

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「ふっふっふ......フラグ立ちまくりね」

「幸せなやつめ......クックック.....」 

 風呂上がりにおもむろに置かれたチラシに気付く善子が、「フラグ」という名の「運命」に気付く描写クソやばです。この瞬間に「運命」を「必然」として手繰り寄せるべく、よしまるがルビィのためにチカラを貸すという9話の未来が確約されました。

 そう捉えると、善子の「幸せなやつめ」という言葉に込められた想いの尊さがすごいよ(無理)

 

 

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 劇場版ラブライブでは、ホテルで真姫がシャワーを浴びている時に希が作曲ノートを手に取るシーンがありましたね。善子の「フラグ立ちまくりね」という言葉をメタ的に受け取れば、「AqoursとAqours以外のスクールアイドル両方のための曲が生まれる」という9話のシナリオへ意味が掛かってきます。

 8話での善子は『Angelic Angel』な代弁者として、メタ的なメッセージを視聴者に提示する「ストーリーテラー」もしくは「狂言回し」のような役割が与えられています。9話でも同じ役割を果たすはずなので、是非注目してみて下さい。

   

 

・ふたりの妹(背景が物を言う)

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 よく見てみると、ふたつの視点から映されたルビィの歩いている道が一致していません。これは作画ミスではなく、意図的に前後のカットの辻褄を合わせないことで視聴者に違和感を与え、絵にメッセージがあることを提示しています。

 道路の進行方向(順路)に従って、道路の雪の部分(目の前に敷かれた道)を歩いてきたという、これまでのルビィの生き方を表現したカット。

 更に次のシーンでは横断歩道を渡り、これまで歩いてきた道を横切っています。目の前に敷かれた順路を外れ、自分の意思で道を進み始めたルビィを表現しています。

 

 

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 ラブライブ世界では信号機がキャラクターの心情を代弁する装置としての機能を担っていることは有名ですが、信号機がアップになるカットは珍しいです。からの引きのカットで青信号とルビィを映すことで、見知らぬ土地でひとり立ちを果たしたルビィの心細さ、不安な心情を表現しているのだと思われます。すれ違う車の騒音が大きい所も相まって、胸がぎゅっと締め付けられるシーンです。

 

  

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 「あなた......」

「ルビィ......黒澤ルビィです」

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「あの......ルビィにも理亞ちゃ.....

 理亞さんとおなじでおねえちゃんがいて」

「黒澤ダイヤ」

「しってるの?」

  

 

 

 

キミはだれ?

なんて訊かないよ わかってる

おたがいの願いが呼んだ出会い

 

 

 

 

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「やっぱり、聖良さんのことだいすきなんだね」

「当たり前でしょ!!」

 見つめ合うルビィと理亞。お互いがお互いの中に「相手と重ね合わせた自分の気持ち」を見付けていくシーンで、ふたりが鏡合わせになる構図。最強!!!!

 

 

 

 

 こことても良いシーンなのですが、「バク転できないでしょう?」と姉・聖良の推しポイントを語る妹・理亞。あなた......

 

 

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 実は姉より強いですよね??

 

 

 

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 得意げに姉のことを語るルビィが、理亞の目には「輝き」として映っているこのシーン。めっちゃ好き......好きな人やモノを語る時、その人が輝いて見えるという構図。これこそラブライブ!って感じ。たまらん......。

 

 

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「うれしいんだって」 

「なにが?」

「お姉ちゃんがいなくても、べつべつでも、がんばってお姉ちゃんのチカラなしで、ルビィがなにかできたらうれしいんだって」

  そう話しながら歩みを進めるルビィの足が描かれているシーンで、ずっと鎖が映し出されてるのがやばやばすぎませんか。

 

 

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「きっと聖良さんもそうなんじゃないかな」 

 続くシーンが理亞の視点で、ルビィの背中を追う構図になってるのが良すぎる上に、このカットから鎖が途切れるんですよね。自らの意思で歩みを進めることで、自分で自分を縛ってきた鎖から解放されるんです。更に彼女が向かう先には「輝き」。良さみに次ぐ良さみ、良さみオブ良さみ。

 

 

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「だから、がんばってきた」

「姉様がいなくても一人でできるって、安心してって......」

「なのに......最後の大会だったのに.......」

 ルビィの真っ直ぐな気持ちを受け取った理亞が、ついに自分の心を縛っている鎖の存在を打ち明けるシーン。今度は理亞の心を縛っている過去の象徴として、再び鎖が映し出されますが...... 

 

 

 

 

  Ah!「もしも」は欲しくないのさ

「もっと」が好きAngel

 

 

 

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「じゃあ、さいごにしなければいいんじゃないかな!」

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f:id:akino_oniku:20171127221031p:plain  そう言って、震える肩を握ったルビィが理亞を連れて駆け出すんですよね。

 「鎖」の向こう側へ「輝き」に向かって。

 自らを縛っていた鎖から解き放たれたルビィが、今度は理亞を縛る鎖から解き放ってあげる展開、あまりに美しすぎる。何者にも縛られなくなった彼女たちは、純粋な想いのチカラに駆られて走り出します。

 

 

 

 こころの羽ばたきはとまらない

 

 

 

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 同じ構図での対比が効いてきます。8話ではずっと一番後ろを付いて歩いていたルビィが、 今度は先頭で手を引く側になりました。

 

 

・クリスマスツリー(輝きの円環) 

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 夢中で駆け出した先で意図せず見付けた「輝き」こそが、ラブライブ!という作品が描く「輝き」の本質的な在り方。ルビィはついに「自分だけの輝き」に自分のチカラで辿り着いたのです。

 

 

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 星空にゃ!

 劇場版ラブライブで雨の街に向かって駆け出した凛の姿を彷彿とさせるシーンでもありましたね。クリスマスツリーの電飾は人の手で作られた「輝き」であり、誰かの幸せを願って灯された「光」の象徴でもあります。

 

 

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「うたいませんか?いっしょに曲を

 お姉ちゃんにおくる曲をつくって

 この光のなかで、もう一度!」

 クリスマスツリーの「輝き」は短い期間でその役目を終えてしまう、「限られた時間の中で輝くスクールアイドル」の象徴のようでありながら、1年の時を経れば再び灯され、何度でもその「輝き」を取り戻す存在です。

 聖良の輝く場所を失わせてしまったことで自らの「輝き」を追うことを諦めてしまった理亞が、聖良のために歌うことで「もう一度」「輝き」を取り戻します。そして妹・理亞が姉・聖良のチカラを借りずに自分だけの「輝き」を手にすることで、姉・聖良の本当の願いが果たされるのです。美しい「輝きの円環構造」。

 

 クリスマスツリーの電飾は、ツリーの周囲を螺旋状に彩る「輝きの円環構造」そのものを体現した「輝き」だったんですね。そしてその輝きは高みへと高みへと上って行き、クリスマスという短い期間の中で精一杯の「輝き」を放つのです。

 いつの日か、流れ星のようにその「輝き」が消えてしまう日まで。

 

 

 

 

 

Ah! 今宵は一夜限り二度とはないPassion

燃え尽きるまで踊らなきゃダメさ

 

 

 

 

 

なんすよね......。

 

 

 

 

 

 

P.S. 黒澤姉妹の純真な愛情、取り戻した輝き、踏み出した未来への一歩 にまつわる美しいお話につきましては

 

 

 

"親愛なる"瀬口ねるさんのブログにそのうち上がると思います(丸投げ)(無許可リンク)

ameblo.jp


 

 

尚、8話並びに9話の挿入歌を軸に物語を読み解いたお話は

 

 

"親愛なる"十六夜まよさんのブログにそのうち上がると思います(丸投げ)(無許可リンク)

aqours-mayoism.hatenablog.jp

 

 

12/1 追記

 二件とも8話の記事が上がっておりましたので、リンク先をブログトップから該当記事に修正させて頂きました。

 上記の御二方とも、雑なフリで紹介してしまったことを恥ずかしく思うほどに、この上なく愛情に満ち溢れた素晴らしい記事をお書きになられております。あきの忘備録とは違い、作品と真っ向から誠実に向き合った内容となっておりますので、改めて誠意を込めてのご紹介とさせて頂きます。

 無許可リンクにも寛大な対応をして下さった瀬口ねるさん、十六夜まよさん、ありがとうございました。

 

  

 

※当ブログでは黒澤姉妹に焦点を当てて掘り下げた記事は扱いません、それは私の領分じゃないからね。僭越ながら私が絶大な信頼を置く、上記の黒澤姉妹推しのおふたりにご期待下さい。

 

 ↑8話SS番外編、こぼれ話です。