あきの忘備録

あきのの外部記憶装置

「虹」について考えてみた話

あきのです(*> ᴗ •*)ゞ

 

ラブライブ!サンシャイン!!2期序盤の山となるであろう、待望の3話がついに放送されましたね。

 

皆様がどのような感想を持たれたかわかりませんが、Aqoursの活動をずっと追いかけてきた人であれば、特にラストのシーンでは感動した話数であったかと思います。

1,2話と比較すると、展開を詰め込んできた感がありますね...という事は、受け取り手の理解力に委ねて省略している部分がたくさんあるはずです。見落としている部分を確認する意味も含めて感想、考察を書いてみようと思います。

 

 

 

 

 

・アバン

アバンでは恒例の「前回のラブライブ!サンシャイン!!」のあらすじ振り返りを省略して、のっけから本編に入ります。2話のラストで鞠莉ちゃんに届いた不穏な着信。その正体は「学校説明会が延期になり、ラブライブの予備予選と日程が重なってしまう」という事件を告げるものでした。

 

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浮き足立っている千歌ちゃん。

目に映っている世界と現実とのギャップが浮き彫りになります。Aqoursは絆とチームワークの成長を果たし内的に前進するも、またしても外的な問題が彼女達の前に立ち塞がりました。

 

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ふたりが千歌ちゃんと視聴者にもわかるように概要を伝えます

 

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屋根から落っこちる千歌ちゃん。

理想から現実への転落。1話冒頭でも彼女はベッドから落ちていましたね。

 

 

 

・ALL or NOTHING

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「あぁ〜〜ごちゃごちゃごちゃごちゃしてきましたわぁ〜!!」

お、もしかしておねぃちゃあ地図が読めないのです?奇遇ですね、私も地図が読めません。ですので具体的な動線の考察は他の方にお任せします!

雨で道路の補修が必要になるとアクセスに重大な支障が出る、バスと電車の本数も少なく交通ルートが限られている、という問題は内浦らしい現実感のある壁ですね。山奥の特設会場と学校、ふたつの点を結ぶ線を模索する9人。

 

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「と・に・か・く、ALL or NOTHING だと、お考え下っさい! 」

大人たちをねじ伏せて現実を変えるためには、大人の力を借りる事はできない。理事長として責任のある立場にいる彼女だからこその言葉ですね。「なにかを掴む事でなにかを諦めない」とは真逆ですが、二者択一を迫られる中での苦悩が描かれたAパートを象徴するようなセリフだったので強く印象に残っています。

 

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あら^〜うへへっへへへへ〜〜〜〜〜〜いいゾ〜〜〜〜〜〜おほほほ〜〜〜

陸路も空路もだめなら海路を使おう!と考えたようですが、どんどん現実味から離れていきます。

 

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「ラブライブ」と「学校説明会」の一挙両得ができる唯一の方法は、予備予選のステージの順番を決める抽選で1番目を引き当てること。おねいちゃんを押し退けてグイグイ前に出てくるルビィちゃん、激熱です。

 

 

・奇跡は起こらない 

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自らの不幸属性、運の悪さを省みず矢面に立とうとする善子ちゃんの姿、めちゃ良かったです.......他の人が自分から前に出たがらない場面で一歩前に踏み出す所がいかにも、優しい善子ちゃんらしくて、ね。すごいこのシーン好きです。

花丸ちゃんが背中を押す所もいいですね、背中じゃなくておしりですけど。花丸ちゃんの手により、善子ちゃんがじゃんけんで勝つという "奇跡" 人の意思の介在により起こります。しかし逆を言えば、彼女に自力での勝ちはありえませんでした。

 

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8人の希望を一身に背負い、審判の時を迎えるヨハネ。

 

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しかし盛大にズッコケる8人。9人の願いがひとつになっても、神から奇跡は与えられなかったのです。なんたる無常。しかし不死鳥の如く何度でも蘇る翼をAqoursは持っています、善子ちゃんがここでは落ち込んでないのがせめてもの救いです。

 

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「こうなった以上、本気で考えなきゃいけないね」「『説明会』か『ラブライブ』なのか」

「どっちかを選べってこと?」「そうするしかありません」

「そうなったら説明会ね」「学校を見捨てるわけにはいかないもんね」「それは...そうだけど」

「いま必要なのは入学希望者を集める事。効果的なのは、ラブライブではありませんか?」

「たくさんの人に見てもらえるし」「注目されるし」「それもそうずら」

「じゃあどうすんのよぉ?」

 

抽選でステージの順番の1番目から漏れた今、ついにこの問題が二者択一を迫る非情な現実となり、Aqoursの前に立ち塞がります。「やるべき事」がどちらかなのを問われるも、どちらかを選択する事が誰もできません。これまで「やりたい事」と向き合ってきたAqoursでしたが、「やるべき事」を選択するのは何かを犠牲にする事でもあり、それを選択するのは酷な事でした。

このシーンの台詞には彼女たちのグループ内での立ち位置や性質が現れており、後のAqours二分化の際にどちらのライブを担当するのかという動機が見て取れます。

 

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「だって、どっちも大切だもん。どっちも...とても。」

どちらを選ぶべきかを問い掛けたのは果南ちゃんでしたが、8人は千歌ちゃんに向けて言葉を伝えます。しかし9人の意思はまとまらず、投げられた言葉は宙に浮いたまま。リーダーであるが故の孤独を表すかのようなスポットライトが千歌ちゃんひとりを照らし出します。

 

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屋根の上でひとり悩みふける千歌ちゃん。彼女が高い場所にいるのは輝きに近付きたい気持ちの表れでしょうか、それともリーダーとして高い目線で、背伸びして物事を考えようとしている事の表れでしょうか。

1話では鉄棒の上、2話では階段の上、そして屋根の上から。高い場所からみんなに想いを伝えるシーンに共通するのは、彼女がリーダーとしての立場にいる時です。

 

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そんな所に声をかける梨子ちゃんに、自身の胸中を打ち明ける千歌ちゃん。

「それができたのも、学校があったから。浦の星があったから。」

という彼女の言葉が思いもよらないものだったので、私はとても驚きました。その発想ができる事に成長を感じましたし、千歌ちゃんにとってどれだけ学校が大切であるかが伝わってきます。

千歌ちゃんの方から力なく差し出された手は、彼女の助けを求める声のようでした。それを見て手を差し伸べる梨子ちゃん。手を伸ばし合うふたりですが、当然その距離を越えて手を取り合うことはできません。しかし、お互いの気持ちを再確認したかのように、ふたりは当たり前のことに笑い合います。

1期2話のように距離を超える奇跡は起こらない。

ふたりが考えている物事の目線の高さが違うからでしょうか、それともお互いの思い描く理想のカタチが違うからでしょうか。解釈を固めるには至っていませんが、少なからずふたりの差異が描かれたシーンであったと思います。

 

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梨子ちゃん「もうひとつだけ方法はあるけど」の言葉を受けて、慌てて屋根から落ちそうになる千歌ちゃん。ですが今の彼女には現実が見えているからでしょうか、そこから落ちる事はありません。

「つまり私たちはひとりじゃない。9人いるってこと。」「9人?」

のやり取りからは、千歌ちゃんがリーダーとしてひとりで背負おうとしてしまっている事に気付いた、梨子ちゃんの優しさを感じます。

 

 

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4人と5人の二手に別れて両方参加する、という提案をするふたりですが、「それでAqoursといえるの?」「それに、5人で予選を突破できるかわからないデェス」という言葉が重くのしかかります。

 

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「私たちは奇跡は起こせないもの」と、ベストよりもベターな選択をした自分たちを前向きに捉える梨子ちゃん。しかし相槌を打つ千歌ちゃんの声は腑に落ちていないようです。

2期1話で9人で心をひとつにしてキセキを起こす事を誓った後ですが、梨子ちゃんは地に足がついた建設的な道筋を話します。違和感のあるシーンです。

 

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しかし梨子ちゃんは正攻法を肯定する言葉とは裏腹に、道を逸れて道なき道を進んでいきます。

「みかん?もうこんなに実ってるんだ」「そりゃあ、内浦のみかんは美味しくて有名だもんね」「あ...みかん!みかんだよ!!」

という何だか噛み合ってない、リアルなゆるい日常感のある会話。曜ちゃんの当たり障りのない返しが千歌ちゃんの耳に全く入って無さそうな所、絶妙な空気感で見事だと思います。

話は逸れますが、私はこの美しい夕陽の景色を背に話す3人のシーンが大好きです。

 

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「みっかーーーん!!!!」

ふたりも視聴者も置いてけぼりで繰り出される突然のみかん🍊

 

 

 

・やっぱり、私達はひとつじゃなきゃきゃね! 

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Aパートを終えると場面は変わって学校説明会の会場に。むっちゃん達が千歌ちゃん達に代わって盛り上げてくれています。泣ける。

 

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場面は変わり、みと姉としま姉が軽トラで駆けつけたのは予備予選会場。

 

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「ルビィ、ずっとずっと思ってたんだ。お姉ちゃん、絶対似合うのにって」

2期2話の曜ちゃんルビィちゃんが裁縫が得意である事を知っていた点、そしてこの台詞で線が繋げられませんかね。1期9話未熟DREAMERで衣装製作にルビィちゃんが関わっていたのであろうと私は想像しています。

「もちろん、自慢の妹ですわ」という言葉からは、あの話数のラストシーンの「親愛なるお姉ちゃん、ようこそAqoursへ」が思い起こされます。妹を「不肖」ではなく「自慢」と呼ぶお姉ちゃん。

 

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強くなったルビィちゃん。いい表情です。

 

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「次のステージに向けて!」

先に一歩を踏み出して、振り向いて声を掛ける千歌ちゃん。

 

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5人で立つステージの広さ。センターに立つのはルビィちゃん。

 

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あまりに広く真っ暗な客席、歓声も無く聞こえるのはまばらな拍手。「町の人たちの善意」という1期3話の言葉を思い出したシーンでした。

 

不安の色を隠せない5人。

 

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「勘違いしないように!」

 

 

 

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「やっぱり、私たちはひとつじゃなきゃね!」

 

1期3話を想起させてからの「勘違いしないように!」に続いて、あの表情を見せてからのダイヤ様目線でのカメラアングル、4人の登場。完ッ璧にキマってましたね。多角度からのカット、視点の変化、目線の誘導、BGM、全てが完璧なシーンだったと思います。

 

しかしここで問題なのは、4人が学校説明会でのライブを放棄して予備予選に現れたという事です。

なぜ衣装が9人分用意されていたのか に関しては、奇跡が起こる方に賭けてルビィちゃんが用意していたとしか言い様がないので割愛。そんなつまんない事言う人はいないでしょうけれども。

 

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「さあ、やるよ!」の言葉を受けて、9人の中で最後に笑顔を見せる千歌ちゃん。ステージ上に立った5人の表情に笑顔が無かった所にも、やはりAqoursは9人でこそAqoursなんだという事を感じました。

 

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なぜ即座に9人でフォーメーションが組めるのかって?つまんねぇ事言うなよ、黒澤姉妹ダブルセンターが見れるんだから最高なんだよ。

見事に2話2話の伏線の通り、お琴のサウンドを取り入れた和テイストなロック曲になりましたね。「この世界はいつも 諦めない心に 答えじゃなく 道を探す 手がかりをくれるから」の歌詞がすごく好きです。与えられるのは手がかりで、答えを出すのは自分っていう所がすごくラブライブっぽいですよね。

ライブでの盛り上がりが期待できそうな曲調でコーレスもありますし、ライブでまた化けそうな楽曲です。

衣装もまたこれまでのAqoursのイメージとは一線を画す、花魁みたいなセクシーで大人な雰囲気ですよね。オトナで強気なAqoursちゃん、また新たな魅力を見せてくれそうで楽しみです。

 

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「君のこころは輝いてるかい?」のステージの太陽モチーフみたいなカットですね、「焔」でしょうか。

 

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ライブを終えても、歓声が上がるまではこの表情なのがまた。

 

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観客の反応よりも、この表情を見て安心感を覚えました。あ、やったんだな...という気持ち。きっと5人だけのパフォーマンスでは、予備予選を勝ち上がる事はできなかったでしょう。でもきっと9人なら大丈夫だったはず。

 

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「さあ行くよ!」

「ここからが勝負よ!」

「花丸ちゃん達、大丈夫?」

 

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「どういうことですのー!?」

驚き戸惑う6人ですが、9人が揃ったAqoursは最強なのでリーダーは有無を言わさずガンガン引っ張って行きます。「いける!」ってなった時の千歌ちゃんは強いですね。

可能性の有無に関わらず、前に進まなければ奇跡は起こりません。

 

 

 

・虹 

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全員がスカイブルーの無地のTシャツなの、良きです。

まだ真っさらで、何もない自分たちを象徴しているかのようで。その彼女たちが奇跡を信じて一心不乱に駆け抜けていく。先ほどのステージの観客席にはAqoursを待っている人はいませんでした。でも今は違います。彼女たちを待つ学校のみんなや、学校説明会のお客さん、応援してくれている人たちのために。そして自分たちのために。

アンコール、なんですよね

彼女たちはもう一度歌うために駆けて行きます。"みんな" の元へ。

 

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運転席に座るのは果南ちゃん。よしみちゃんとむっちゃんの力を借りて出発を果たします。このふたりは作中では "みんな" の象徴としてメタ的な役割を与えられています。つまり...

 

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こういう事ですね。

Aqours 2nd LIVE TOURのアンコールムービーの "みんな" の声を燃料にして次の駅へと再出発する、そのストーリーと重なりませんかね。HAPPY PARTY TRAINが走った軌跡は虹のレールになります!虹です!!

ここは理屈じゃないと思うので強引に続けます。

 

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「取れ ちゃ った...」

HAPPY PARTY TRAIN TOURのオープニングムービーでは、限界速度を超えた汽車は赤信号を無視して暴走を続け、名古屋駅も神戸駅も埼玉駅をも通過しました。走り出したAqoursを止める事は誰にもできないのです、勿論彼女たち自身でも。つまり...

 

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こういう事ですね。(察してください)

壊れた操縦レバーはラブライブ!のこれまでの在り方をぶち壊して、新たな道を突き進むAqoursを象徴しているかのようです。地図に記されていた道路のルートではなく、彼女たちが見付けた彼女たちだけの道を爆走していく。まさにAqoursの物語そのもの。

 

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やがて雨が降り出し、9人にも疲れが見え始め表情や言葉にも曇りが見えます。彼女たちが不安を口にした事で雨が降ったのかもしれません。

先陣を切って走り始めた千歌ちゃんですが、いつの間にか最後尾を走っています。2期1話で遅刻して来た姿とも重なります。リーダーと言えど常に完璧ではないという事なのか、Aqoursの輝きを追いかける私たち視聴者の目線で「自分にも奇跡は起こせる」という事を印象付けるためでしょうか。

 

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「奇跡は、起こるのかな」

「あたし、思うんだ。奇跡を最初から起こそうなんて人、いないと思う」

「ただ一生懸命、夢中になって、何かをしようとしている、なんとかしたい、何かを変えたい。それだけの事かもしれない」

 

「だから」

 

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「起こせるよ奇跡。私たちにも!」

「起こるかな、奇跡」

「起こるよ」

「だって」

「だって」

 

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「虹がかかったもん!」

 

 

 

 

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1stシングル「君のこころは輝いてるかい?」発売から2年の歳月を経て、ついにAqoursがこの曲を歌うステージにまで辿り着きました。

エンドロールが終わった、と思わせておいて少しの静寂の後にイントロが流れ出した瞬間は最高でしたね。完全に圧倒されました。

 

「虹」は「太陽」の反対側の空に掛かるものです。故にずっと「輝き」を、「太陽」を追いかけてきたAqoursの視線の先に「虹」が掛かる事はなかったのです。ここでAqoursが初めて過去に立ち返り、原点である2年前の1stシングルを披露した事で虹が掛かったのではないかな。とメタ的な観点でこじつけようとしましたが、本編の筋書きと真反対に矛盾してるので通りませんね。Aqoursは振り返る事なく輝きを追い続けていますから。

太陽の方角云々の理屈は必要なく、雨の後の空には虹がかかる、という至極シンプルな出来事をそのまま素直に受け取るので良いと思います。

 

しかし、私はAqoursには虹をかける奇跡を起こすチカラは無かったと考えています。

だからこその「起こせるよ奇跡、私たちにも」→「なぜなら虹がかかったから」という図式になるのではないでしょうか。奇跡が起こせるから虹が掛かった、とは大きく違なります。

 

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千歌ちゃんが見付け出した予備予選会場から学校までの最短ルートには、Aqours9人だけでなくむっちゃん達をはじめとする「みんな」の協力が不可欠でした。Aqours9人の気持ちと足並みが揃ったとしても、恐らく9人だけでは成し遂げられなかったでしょう。

 

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「Aqours」と「みんな」の間に架け橋が掛かった時に、 初めて奇跡が起こせる。そういう意味での3話「虹」だったのではないでしょうか。

 

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最初はシャボン玉を飛ばしていたのは浦女の生徒達でしたが

 

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やがて学校説明会に来たお客さんも。「みんな」の輪が広がってきます。

 

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千歌ちゃんが "何か" に気付き笑顔になります。ライブ中で唯一表情がアップになる瞬間がここなので、恐らくしゃぼん玉を吹くみんなの姿が目に入ったのではないかなと。

「この出会いがみんなを変えるかな」という歌詞に込められた、千歌ちゃんの希望が現実になった瞬間だと思います。

 

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曲が終わり、歓声の中で夕陽を浴びる千歌ちゃんの笑顔。良きです。ずっとこの表情が見たかった。

 

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タイトルどーん。このカット大好きです。見るだけで泣けます。

「君のこころは輝いてるかい?」で言う所の「君」。つまり「みんな」と「Aqours」が同じカットの中に描かれていて、全員の描き分けがなされている。ラブライブ!サンシャイン!!にモブはいないんですよね。ライブパートが2 度もあり、これだけ登場人物が多く作業ボリュームの膨大な回でも「みんな」を大事にしてくれる。これが「ラブライブ!サンシャイン!!」なんですよね。

説明会には何人の生徒を集める事ができたのかはわかりませんが、少なくとも10人は超えていたのではないでしょうか。

 

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「どっちにするかなんて、選べないし。どっちも叶えたいんだよ。」

8人に背を向けて、まるで独り言のように話す千歌ちゃん。これまで重要な場面では高い位置 (鉄棒の上、階段の上、屋根の上) から8人と向き合って言葉をかけてきた彼女ですが、このシーンではAqoursのリーダーとしてではなく、ひとりの人間「高海千歌」として話しているように感じました。

 

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感嘆の声とともに見上げた空に浮かぶのは、無数のしゃぼん玉。

それは神に与えられた奇跡ではなく、人の手によって、Aqoursと「みんな」の力で作られた、まるで奇跡のような美しい光景でした。

 

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「だから行くよ。諦めずこころが 輝く方へ!!」

夕陽を真っ直ぐに見据え、前のめりに「輝き」をその手に掴む千歌ちゃん。

「君のこころは輝いてるかい?」を象徴するような決意を表明する言葉で3話を締め括ります。「未来の僕らは知ってるよ」に登場する "ハートの磁石を握って走る" という歌詞にも通ずる言葉ですね。

 

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夕陽に向けて拳を掲げる千歌ちゃんに続き、同じように夕陽を見上げる8人。宙を舞うしゃぼん玉と相まった美しい情景で3話の幕引きです。

 

 

 

・疑問

いくつか疑問点が残る3話ではありましたが、個人的に最も気になった「学校説明会組の4人がラブライブ予備予選を優先したのはなぜか?」の部分だけ落とし所を見つけて終わりにしたいと思います。

ラブライブ予備予選に4人が合流したという事は、同時に説明会でのライブを放棄した事を意味しています。説明会でのライブを放棄するという事は「学校のみんな」を裏切る行為に他なりません。「みんなで叶える物語」を謳うラブライブ!作品が「みんな」を裏切るような鬼畜な脚本を作るとは思いたくないので、筋の通る解釈を探ってみます。

 

 

・2年生組が事前に1,3年生組に最短ルートを説明しなかったのは何故か

確実性のある案であれば提案しない理由が無いので、現実的に考えた時に確実性が無かったのでしょう。2話の梨子ちゃんであれば、現実味の無い案には反対したはずです。しかもAqoursを乗せて走ったみかん運搬用の機器が制御を失い、暴走するという幸運が無ければ間に合っていなかった可能性もあります。

思えば抽選会の後のシーンで「説明会」と「予備予選」のどちらを選ぶべきか、という話し合いをしていた時に「だって、どっちも大切だもん。どっちも...とても。」と、「やるべき事」ではなく「自分の気持ち」 を口にしたのは千歌ちゃんだけでしたね。そんな彼女が、感情的ではなく理性的な判断をした上で敢えて自分の案を提案しなかったのは、良くも悪くも彼女の成長の表れだったのではないかな、と思っています。

 

 

・説明会組、予備予選組のグループ分けから動機を探ってみる

まず最初に抽選会の後のシーンを振り返ってみます。

 

「こうなった以上、本気で考えなきゃいけないね」

「『説明会』か『ラブライブ』なのか」

「どっちかを選べってこと?」「そうするしかありません」

「そうなったら説明会ね」「学校を見捨てるわけにはいかないもんね」

「それは...そうだけど」

「いま必要なのは入学希望者を集める事。効果的なのは、ラブライブではありませんか?」

「たくさんの人に見てもらえるし」「注目されるし」「それもそうずら」

「じゃあどうすんのよぉ?」 

 

予備予選を優先するべきだと名言、及び同意したのはダイヤ様、曜ちゃん、ルビィちゃん、花丸ちゃんの4名。

どちらとも言えない、中立のスタンスであったのは梨子ちゃん、善子ちゃん、千歌ちゃんの3名。

説明会を優先するべきであると名言したのは鞠莉ちゃん、果南ちゃんの2名です。

 

鞠莉ちゃんが学校説明会に重きを置く事は、彼女の理事長としての立場を考慮すれば自明の理です。果南ちゃんに関しては、自身の行動を鞠莉ちゃんを基準にしている傾向がありますので、意思決定を鞠莉ちゃんに合わせる選択を取るでしょう。

花丸ちゃんに関しては、抽選会の後のシーンではあくまでルビィちゃん達の意見に同調する姿勢を見せていますが、ルビィちゃんにはラブライブに出て欲しい、という動機から説明会組に加わったと考えれば不自然ではないかと思われます。

善子ちゃんはAqoursの中では主体性が弱く中立的な立ち位置ですが、彼女花丸ちゃんの発言や行動に準じて意思決定している傾向があるので、花丸ちゃんと同じ説明会組に入ったと考えるのが妥当でしょう。

 

 

・説明会組のメンバー4人の共通点

説明会組のメンバーは鞠莉ちゃん、果南ちゃん、花丸ちゃん、善子ちゃんの4人です。このメンバーには2年生組を含まず、前回の「雨の音」で行動を共にした4人でもあります。この4人は共通認識として「調和」という要素の重要性は共有していると思われます。

 

 

・説明会組が予備予選に合流するに至る動機とは

「それでAqoursといえるの?」

「それに、5人で予選を突破できるかわからないデェス」 

梨子ちゃんが「二手に分かれて説明会と予備予選の両方でライブをする」という提案をした時に、善子ちゃん鞠莉ちゃんは上記の発言をしていました。

善子ちゃんは1期12話の「自由に走ったら、バラバラになっちゃわない?」という発言にも表れているように、自身の在り方とAqoursとしての在り方については強い拘りを持っています。9人でいる時にはシリアスなムードになると堕天使キャラを繰り出して場を和ませようとするなど、グループの和を重んじる傾向が強い彼女です。予備予選組に合流して、Aqours9人でライブをする事を望むのも自然だと思われます。

鞠莉ちゃんは説明会組の4人の中では最も主体性が強く、人に意見に左右されるタイプではないという事から考えると、彼女自身の意思で予備予選に合流すようと提案したと考えないと不自然です。「勘違いしないように!」 という言葉で先陣を切って予備予選のステージに登場しているように、ダイヤ様の事を少なからず気遣っていたであろう事は間違いなさそうです。面倒見が良くて包容力のある彼女ですから、5人で予選を突破できるかわからないデェス」 という発言にも表れているように、やはりダイヤ様と4人の事が心配だったのでしょう。仲間の為になら我が身を呈する事も厭わない彼女であれば、理事長という立場を返り見ず予備予選に合流したとしても不自然では無いかと思われます。

花丸ちゃんに関しては、「どう行動するべきか」よりも「どう行動したいか」という彼女自身のAqoursメンバーとしての行動原理を考え直した時に「"ルビィちゃんと一緒に" スクールアイドルをやりたい」という大前提があるはずですし、対するルビィちゃんも「"花丸ちゃんと一緒に"スクールアイドルをやりたい」という大前提があります。理屈や都合ではなく自分の気持ちに正直になれば、予備予選組に合流するという選択をすることは至極当然の流れになります。

果南ちゃん「学校を見捨てるわけにはいかないもんね」という発言をしてはいますが、あくまで鞠莉ちゃんの意思に寄り添う形での発言だと思われます。鞠莉ちゃんが動けば彼女の意思を尊重するでしょうし、かなまりのふたりがダイヤ様と行動や意思を違える事に対して、何も不安を感じないはずがないですよね。

 

 

以上の考察を踏まえて、自分なりに結論を出しました。

 

 

・結論

 

説明会組の4人が予備予選組に合流したのは、「やるべき事」よりも「やりたい事」を優先した結果。彼女達にとって大切なものは「説明会」でも「予備予選」でもなく「Aqours」だった。

 

という結論に至りました。もちろん、「いま必要なのは入学希望者を集める事。効果的なのは、ラブライブではありませんか?」という発言は理に叶っており、理性的に考えればそれは限りなく正解に近いかもしれません。しかし、Aqoursにとってそれはどちらかを選択できるようなものでは無く、選択できるはずが無いものだったはずです。

故に、理屈では無く4人が感情で行動したという結果はある意味では正しく、美しい選択になったと私は思います。

彼女達は3話では「どうするべき」という都合の話しかしておらず、「どうしたい」という純粋な欲求の部分を一言も口に出していませんでしたよね。そもそも「やりたい事を貫き通す」ということこそラブライブ!シリーズに通底するテーマのひとつですし。彼女達の中で、「理屈」を「エモーショナル」が上回ったからこそ自然とあの展開になったのだ、という所で私の中では落ち着きました。

 

「説明会より予備予選のライブを優先した」と捉えるよりは「他の何よりもAqoursを大切にした結果そうなった」と捉える方が自然かな、と。

結果的に説明会でのライブを放棄する選択をしたという事実は消えませんが、そこまでしてでも「AqoursとしてのAqoursらしい輝き方」を追い求めて、最終的には「どっちにするかなんて、選べないし。どっちも叶えたいんだよ。」という純粋なこころの欲求を貫き通して、見事に現実を変えて見せた。

 

なんだかんだ言って、めちゃめちゃラブライブっぽいことやってるんですよね。最終的に自分たちがやりたい事全部やって、しかも結果も出して見せた。そこは最高にカッコいい。文句言う方が野暮かもしれません。

 

まぁ...結果がどうなっているかは......4話見ないとわかりませんけれども......

 

 

・総括

2期3話「虹」というタイトルは、ある意味では無印2期9話「Snow halation」のように王道の曲を軸に据えて堂々とネタバレしている回のようでありながら、結果的には確実性のある未来や結果が得られるものではありませんでした。

しかしまだ3話なのです、これからまだ10話もの新たな物語が用意されています。

Aqoursはまだ全然完全ではなく、個々の人物の内的な問題も、人間関係も、グループとしての実力もまだまだこれからです。これまでの3話で引っ掛かりやもやもやが解消されなかった部分も、後々の伏線になってくる要素かもしれません。

そこに捕らわれる事なく、これから起こる出来事についてもありのまま受け入れ、思考停止ではなく良い意味でAqoursの物語に没入していく姿勢で楽しんで見届けたいと思います。