あきの忘備録

あきのの外部記憶装置

ロックは死んだのだ。という話

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なんとなくyoutubeを開いたら、お勧めされた動画がこれだった。

ずっと好きだったバンドのトリビュートアルバムが出るって言う。

最近全然邦楽ロックとか聴かなくなったなぁと思って、何気なく再生してみたら細美武士(MONOEYES)が「ROCK STEADY」を歌い出した。

それは結構な衝撃だった、何事だと。

続いてACIDMAN、9mm、スペアザ、バクホン、ピロウズ、アジカンと耳に馴染みのあるバンドが名を連ねた。

10年どころか、それよりもっとずっと昔の楽曲をカバーする懐かしい声を聴いて、自分でもわけのわからない感傷に襲われた。

ヘッドフォンを装着して改まった気持ちで、もう一度再生してみた。

やっぱり説明のできないような謎の感慨があったけれど、でもそれだけだった。

 

俺たちの世代の邦楽ロックファンにとって、ストレイテナーの「ROCK STEADY」はひとつの時代そのものであり、他のどんな曲にも替え難いようなアンセムだ。それを、あの細美武士が歌っている。

それこそ10年前の俺だったらデカい声出して取り乱したはずだし、鳥肌の立つような出来事であったはずだ。

ところがどうだろう、妙に落ち着いた気持ちで噛み締めてしまう自分がいた。もう少し感動するんじゃないかと思ったし、これだけ思い入れの深い曲と人同士の組み合わせだ。泣いたっておかしくなかった。

 

ふっと やっぱり俺の中でロックは死んだんだ、と腑に落ちた。

 

ずっと好きだったバンドやアーティストの新譜をチェックしなくなったのは、いつからだろう。e+から送られてくるメールに隈無く目を通したり、ライブの為に遠征したりしなくなったのはいつからだろう。

 

 

 

10代後半から20歳ぐらいの時、一度ロックというジャンルから離れて四つ打ちの音楽に傾倒した時期があった。上京したての自分には、クラブというちょっとアングラな匂いのする空間がとてもカッコよく思えて、ジャンルも良くわからず遊び方もわからないまま色んな音源を聴き漁った。

今にして思えば、当時流行していたテクノポップ調の邦楽が新鮮に感じただけで、クラブミュージックの良さは全然わかっていなかったのだけれども。当時はファッションもモード系が全盛期の頃で、とにかくギラギラドンドンした音楽を聴いてればイケてる、みたいな風潮があって。何となくそれに流されていた。

 

リア充でもキョロ充でもなく、かと言ってロックキッズでもなく自分を見失っていた俺は、ろくに学校にも行かなくなっていた。その頃初めて深夜アニメと出会った。

別に特別そこに強いオリジンを感じている訳ではない。ハルヒ、らきすたから美少女が前面に出たアニメにハマった量産型だ。ただ、恐らく同世代よりも少し遅れて京アニと出会い、それが入り口になっただけの話。

当時は柊かがみという少女の沼にハマり病むほど愛情を注いでいたとは言え、あの頃の自分に「お前アラサーになってもまともな職にもつかず彼女もいなくて、しかもバッキバキハードコアにオタクしてるぞ」って言っても、絶対に信じないと思う。というか未だに信じられない。

まさかこの歳になるまでアニメファンでいるとは思っていなかったし、高校生の頃からずっと大好きだったバンドも聴かなくなる日が来るとは思ってなかった。

 

変わらない価値観なんてないのかもしれない。

 

大山純やナカヤマシンペイがロン毛をやめてバッサリ髪を切った時はショックだったけれど、自分も気が付いたら肩より下まで伸ばしていたロン毛をやめた。

渡辺曜ちゃんになりたくて1年以上ずっと髪をブリーチし続けたけれど、もうそれをする事もないかもしれない。

 

自分にとってストレイテナーのライブツアーを追いかける事と、Aqoursのライブツアーを追いかける事に大した違いはないし、ツアーのグッズを買う時のドキドキも同じ感覚だ。

ライブならではのエモーショナルの体感と、オーディエンスとの一体感。それらが作り上げるライブという空間が好きなのだ。

 

ただ、比べる必要もないけれど敢えて比較して言うのであれば、バンドよりラブライブを追いかける方がハチャメチャに金がかかるし、多分客観的に見てバンドの追いかけより2.5次元アイドルの追いかけの方がイメージは良くない。多分趣味として公言した時にモテるのは前者だと思うし、後者は人に説明もしづらい。

 

それでも、こんなにわけもわからん程に感動して泣けるのはラブライブだけだし、これだけ夢中になれて、その熱量をたくさんの人達と共有して信頼関係を築けたのも、やっぱりラブライブだけだった。

なんか知らんけど、ラブライブってめちゃめちゃすげーんだよな。

 

ロックのライブやクラブイベント、フェス、それはそれで違った良さがあるし、違うジャンルの現場を比べる必要はない。でも敢えて言うとAqoursは抜群にカッコいい。

これまで数百本ものアニメを見てきたけれど、アニメラブライブは飛び抜けてヤバいチカラがある。別に比べる必要もないし好みの問題だけど、比較にならない良さがある。

 

過去10年ちょっとを振り返ってみて、自分の人生の経験値を全投入して楽しめるだけの魅力があって、脳みそも感性もフル稼働で楽しめる。そんな楽しいモノは無かった。

人生レベルで自分をぶちこめるようなコンテンツなんて、そうそう出会えるもんじゃないと思う。

幸運と思うか、不運と思うかは自分の勝手だ。

 

だから、俺の中でロックは死んだけど、それでもまぁいいかな。

 

そう思えた っていう自分語りでした。